大久保 勲の人民元論壇    
     第12号 2005.7.22発行
福山大学経済学部教授
大久保 勲
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人民元為替相場形成メカニズムの変更
 中国人民銀行は突如、人民元為替相場形成メカニズムの変更を発表した。第一段階で大幅な切り上げ、大幅な変動幅拡大は無いと予想されていた通り、とりあえずは、1ドルが8.27元前後であったものが、8.11元となった。その意味では約2%の切り上げとなるが、今回の為替相場形成メカニズム変更は単なる切り上げではなく、今後に与える影響は大きい。

以下に変更の要点を記しておきたい。
1. これまでの為替相場形成メカニズムが、”市場の需給を基礎とする、単一の管理された変動相場制度“であったものが、” 市場の需給を基礎とする、バスケット通貨を参考にして調節を行なう、管理された変動相場制度“となった。
2. 人民元相場は、もはや米ドルとだけ結びついた通貨ではなくなった。バスケット通貨の相場を参考にして、人民銀行が調節するために、今後の人民元相場は対ドルでは上がることも下がることもありうることになる。
3. しかし、バスケットの中にどの通貨がどの割合であるかは公表されていない。その意味で、今後の人民元相場を予測することは難しくなり、ホットマネーが入りにくくなる。
4. 変動幅は、当面は従来通り、上下に0.3%で変更されないが、情勢次第で、変動幅を拡大するとしている。

 以下は、インターネット新華網の“中央銀行が人民元為替相場形成メカニズム改革を完全にする公告の公表報道の仮訳全文である。

 中国人民銀行は7月21日、国務院の批准を経て、2005年7月21日から、中国は市場の需給を基礎とする、バスケット通貨を参考にして調節を行なう、管理された変動相場制を実行すると発表した。
新華網北京7月21日電〈記者張旭東〉中国人民銀行は21日公告を公布した。それによれば、中国の社会主義市場経済体制を打ち立て完全にするために,資源配置の中での市場の基礎的作用を十分に発揮させるために、市場の需給を基礎とする、管理された変動相場制を打ち立て健全にするために、国務院の批准を経て、人民元為替相場形成メカニズム改革を完全にするために、関連事項について以下の通り公告する。

1. 2005年7月21日から、中国は市場の需給を基礎とする、バスケット通貨を参考にして調節を行なう、管理された変動相場制度を実行する。人民元為替相場はもはや米ドルだけに着目するのではなく、更に弾力性に富んだ人民元為替相場メカニズムを形成する。
2. 中国人民銀行は、毎営業日市場終了後、当日のインターバンク外為市場での米ドル等取引通貨対人民元為替相場の終値を公表し、翌営業日の当該通貨対人民元取引の仲値とする。
3. 2005年7月21日19時、米ドル対人民元取引レートは調整して1米ドルを8.11人民元とし、翌日のインターバンク外為市場での外為指定銀行間の取引の仲値とする。外為指定銀行はこの時点から対顧客公表為替相場を調整することが出来る。
4. 現段階では、毎日のインターバンク外為市場での米ドル対人民元取引レートは、引き続き人民銀行が公布した米ドル取引仲値の上下03%の幅の中で変動する。米ドル以外の通貨対人民元の取引レートは、人民銀行が公布した当該通貨取引仲値の上下に一定の幅で変動する。

 中国人民銀行は、市場発育状況と経済金融情勢に基づいて、適時に為替相場変動幅を調整する。同時に、中国人民銀行は以下のことに責任を持つ。国内外の経済金融情勢に基づいて、市場の需給を基礎とし、バスケット通貨の為替相場変動を参考にして、人民元為替相場に対して管理と調節を行い、人民元為替相場の正常な変動を守り、人民元相場が合理的で、均衡の取れた水準での基本的安定を保持し、国際収支の基本的バランスを促進し、マクロ経済と金融市場の安定を守る。
                                               〈2005年7月22日午前1時記す〉



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