大久保 勲の人民元論壇    
     第46号 2013.01.10発行
福山大学名誉教授
大久保 勲
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2013年の対米ドル人民元相場は3%程度上昇か


人民元の対米ドルレートの推移(2005年7月1日~2012年12月31日)




 2012年12月31日の人民元対米ドル相場中間値は1米ドルが6.2885元となり、
2011年末とほとんど変わらないレベルとなった。2005年7月21日の人民元対米ドル相場2%切り上げを含めて、これまでの毎年末の人民元対ドル相場と対前年末比上昇率を見ると次の通りである。
2005年末   8.0702元      前年末比  2.56%上昇
2006年末   7.8087元              3.35%上昇
2007年末   7.3046元              6.9%上昇
2008年末   6.8346元              6.9%上昇
2009年末   6.8282元              0.1%上昇
2010年末   6.6227元              3.0%上昇
2011年末   6.3009元              5.1%上昇
2012年末   6.2855元              0.2%上昇
 2012年12月16日に閉幕した中央経済工作会議で決まった2013年の経済工作の六つの主要な任務の一つに“全面的に経済体制改革を深化させ、しっかりと対外開放を行う”があるが、その中に“人民元相場の基本的安定を保持しなければならない”とある。従来、“人民元相場を合理的水準で基本的安定を保持する“となっていたものが簡略化されているが、”合理的水準“が抜けても特別な意味はないであろう。
 この一年間、中国の為替当局は人民元はあまり上がらない、と意識的に宣伝してきたように感じる。人民元対ドル相場が、年初来弱含みに推移してきたので、企業や個人が米ドルを売らずに保有してきた面がある。また、当局は、米国が9月13日に出したQE3で、中国へのホットマネーの流入を必ずしも肯定していない。また、FDIも必ずしも順調ではないとみていた。
 そうした見方を裏付けるように外為占款は、7,8月とマイナスになり、9月は1306億元増えた。10月には216.25億元増えた。9月に増えたのは、それまで外貨預金をしていた企業や個人が、人民元相場上昇で米ドルを売ったものが、かなりあるとの見方をしていた。
 しかしながら、年末が近づくにつれて、数字の上ではFDIも必ずしも悪くないし、輸出入額も目標には達しないものの黒字は増えてきた。
 FDIは、2012年11月までで1000.2億ドルで前年同期比3.6%マイナスとなっている。12月28日に開かれた全国商務工作会議で陳徳銘商務部長は実際の外資使用は1100億ドルに達する見込みと述べた。2011年統計公報によればば、2011年のFDIは1160億ドルであり、2012年は2011年の95%前後まで回復することになる。
 中国の輸出入額の推移は次の通りである。
2008年  輸入11326億ドル   輸出 14307億ドル 黒字2981億ドル
2009年    10059億ドル      12016億ドル    1957億ドル
2010年    13948億ドル      15779億ドル    1831億ドル
2011年    17435億ドル      18986億ドル    1551億ドル
2012年1-11月16504億ドル     18499億ドル    1995億ドル
 中国の外貨準備は2011年末に3.18億ドルであったが、2012年3月末には3.31億ドルまで増えたが、2012年9月末現在、3.29億ドルとなっている。2011年に0.33億ドル増えたが、2012年は9月末現在で0.11億ドルの増加にとどまっている。
 2012年のGDP成長率は、7.5%は確保できる見通しだが、2013年は2012年より上向くと期待されている。
 こうした各種要素を勘案して、2013年の人民元対米ドル相場は、おそらく変動幅がさらに拡大され、これまでよりも上下への変動が大きくなるであろう。人民元対ドル相場は、大きく上下への変動を繰り返しつつ、年間では若干上昇し、上昇幅は3%程度までと見たい。
 (注)
QE3とは、米国のFRBが2012年9月13日に実施した第三弾の量的緩和。Quantitative Easing 3の略。
外為占款とは、中央銀行と商業銀行が購入した外貨が形成する実体経済に投入する資金。
FDIとは、Foreign Direct Investmentの略。
以上 
(2012年12月31日記す)


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