大久保 勲の人民元論壇    
     第47号 2014.01.16発行
福山大学名誉教授
大久保 勲
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2014年は人民元相場の市場化が進み、対米ドル相場は5元台に上昇


中国人民元の対米㌦レート(中間値)変動の推移(2005.7.1~2014.1.10)
 (資料)中国外滙管理局



 2013年12月31日の人民元対米ドル相場中間値は、6.10元台を突破して1米ドルが6.0969元と、2005年の為替相場改革以来の高値となった。2012年統計公報によれば、2012年末の人民元対米ドル相場は6.2855元であった。統計公報によれば2012年に人民元は対ドルで0.25%上昇したが、2013年には3%上昇している。
 2014年に、人民元対ドル相場はどうなるのであろうか。1月1日付けの日経によれば、日本経済新聞社と日経QUICKニュースのアンケート調査では、人民元相場の14年末の予想の平均値は1ドル=6.0005元だという。
 結論から先に記せば、2014年に人民元対米ドル相場は1ドルが5元台になる可能性がたいへん大きい。
 人民元対ドル相場が上昇する理由の一つは、貿易黒字のほかに、内外金利差の拡大を背景に、様々なルートで流入する投資資金だ。
 2013年7月5日付け『経済日報』によれば、中国建設銀行研究部は報告を出して次のように指摘している。
 長期的にみて、3つの要素が人民元のなお上昇する趨勢を決定づけている。
 一に、中国経済はなお今後10年間、毎年少なくとも7%以上のかなり高い成長率を保持し、経済総量の世界に占める比率も更に上昇し、人民元相場上昇の期待も強い。二に、中国の国際貿易も引き続き黒字を保持する。これと同時に、中国と主要な経済体との金利差も長期にわたりかなり高い水準を保持し、国際資金に対し、かなり強い吸引力を生む。三に、人民元国際化の推進は、人民元相場の堅調保持を要求し、市場の人民元に対する信頼を強める。
 そのほかに、人民元が貿易決済通貨として使われる度合いが高まってきていることと、中国当局が人民元相場形成メカニズムの市場化を促進しようとしていることが、結果的には人民元相場を上昇させる要因となるであろう。
 2005年7月21日、中国は市場の需給を基礎とし、通貨バスケットを参考にして調整を行う、管理された変動相場制度を始めた。2012年4月16日から、銀行間直物外為市場の人民元対米ドル取引価格変動幅を0.5%から1%に拡大した。
 2013年11月22日付け『経済日報』によれば、「最近、中国人民銀行周小川総裁が次のように表明した。外為市場の発展状況と経済金融情勢に基づいて、きちんと順序立てて、人民元為替相場変動幅を拡大する。彼は同時に次のように表明した。為替相場に対する市場の作用を更に発揮させなければならず、中央銀行は常態となっている外為市場への干渉から基本的に退出し、市場の需給を基礎とし、管理された変動相場制を建立する。このことは為替相場改革から8年たって、人民元為替相場形成メカニズムは徐々に市場化の歩みをさらに速める望みがある。」
 また、11月27日付け『経済日報』は、「秩序立てて人民元の相場変動幅を拡大し、人民元相場の双方向への変動弾性を強め、人民元相場を合理的で均衡した水準で基本的に安定させる。」これは中央銀行総裁の周小川が《三中全会指導読本》の中で述べた為替相場市場化改革の道筋である、と報じている。
 また、人民元が決済通貨として、使われる度合いが高まっていることを示すニュースが少なくない。
 2013年9月7日の『中国経済網』は、人民元が初めて世界の十大取引通貨に入った、と報じている。報道によれば、国際決済銀行が9月6日、三年に一度の調査報告を発表したが、その報告によれば、人民元が国際外為市場での取引で、3年前に比べて既に3倍以上となり、9番目に外為取引量の多い通貨となった。目下世界の外為取引は一日平均5.3兆ドルに達しており、うち人民元の3年間の一日平均取引額は340億ドルから1200億ドルに激増し、世界の一日平均取引総額の2.2%を占める。人民元の取引額は2010年の第17位から第9位に上昇した、とのことである。
 2013年7月9日付け『経済日報』は、オフショア人民元市場の拡大を次のように報じている。2013年4月末現在、香港の人民元預金とCDの残高は8370億元に達した。これは世界最大のオフショア人民元資金である。今年1-4月に、香港を経て処理した人民元貿易決済取引は11000億元を超えた。昨年同期と比べて48%増えた。
 2014年には人民元の変動幅が現在の上下に各1%からさらに拡大され、当局は人民元相場への関与の度合いを低め、また人民元が国際決済通貨として使われる度合いがさらに高まり、結果的には、人民元対米ドル相場は1ドルが5元台の時代を迎えることになるであろう。
 人民元対米ドル相場は、中国の改革開放で下がり続け、1994年1月に1ドルが8.7元まで下落したが、その後徐々に上昇し、1ドルが5元台への上昇は90年代前半のレベルに戻ることになる。
 
(2014年1月5日記す)


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