北京NOW (A)    
     第1号 2004.5.15発行 by 武田 勝年
    山東省と華北の復活

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 昨年(2003年)来、中央政府の重点施策として東北振興が提唱されているが、より身近な華北地区、特に山東省、天津市そして北京市の発展と今後の変貌に注目したい。

 山東省
 山東省は、面積15.7万平方キロ、人口9千万人、農産品の一大生産基地として名をなしているが、原油や石炭などの各種鉱物資源にも恵まれている。煙台、威海、青島を含む山東(膠州)半島は黄海に突き出た形で朝鮮半島の目の前に広がっており、日本からも文字通り「一衣帯水」の距離にある。
 
中国山東省省情資料庫ホームページ [山東省行政区画図] より
http://sd.infobase.gov.cn/intro/sdmap/index.htm

 今年に入って山東省を二回訪問する機会があったが、「80年代の珠江デルタ、90年代の長江デルタ、そして21世紀初頭10年は山東省」とのスローガンの下で、意識改革が省政府のみならず、各地方都市レベルでも進んでいることが感じられた。従来韓国との提携を重視していた同省は日本との関係強化に本格的に乗り出しており、日本企業が中国への投資・進出拠点を選定するに際して、山東半島に一大産業基地を建設するという同省の政策も一歩踏み込んで検討する必要があると思われる。
 更に注目したいのは、同省人材の資質である。山東省の北半分「斉」は、周王朝創建の功臣「大公望」が封じられた大国で、春秋五覇のトップバッターは斉の「桓公」であった。南半分「魯」は、言うまでもなく「孔子」を生んだ国である。二千数百年前の春秋時代の輝かしい伝統が現代にまで伝わっているのがいかにも中国らしいが、人々が山東人であることを誇りに思い、その平均的資質が高いことは、同省の発展を支える底力である。
 以上の通り、21世紀に入って「持続可能は安定的経済発展を目指す」中国で、山東省は今後目覚しい発展を遂げるのではないかと予感させるに十分な条件を具備している。

 華北
天津市は、昨年初、戴相龍市長が就任されて以来明らかに変わった。何がどう変わったのか?具体的に言えないのだが、従来の淀んだ保守的雰囲気が薄らぎ、前向きに変化を求める動きが生まれつつある。モトローラ、韓国LG、トヨタ、京セラなどの国際的大企業の進出も影響を与えているかも知れない。戴相龍市長は、中央政府とのパイプも太いと言われており、北京・天津を55分で結ぶ高速鉄道建設も準備が進められていると聞く。
 北京市は、今後オリンピック開催に伴う都市改造と各種施策が大きな影響を与えると思われるが、それと同時に市政府が正面から投資環境の改善、整備に取り組み始めたことを特筆したい。中央政府のお膝元で、タクシーの運転手まで政治を論じる一方で、政府機関はサービス精神が欠如しており、市場原理よりも伝統的「関係」を重視する気風があることは否めないが、徐々にそして明らかに変化しつつある。

 華南と華東の市場経済の進展、産業発展が、前者は「中央からの指示、要求を面従腹背で潜りぬけて」、後者は「中央との駆け引きと妥協を通じて」実現されたとすれば、華北地区経済は更なる改革・開放政策を忠実に実行する形で伸びてゆくことが期待される。