北京NOW (A)    
     第5号 2005.3.1発行 by 武田 勝年
    北京日本学研究センター訪問記

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 2月17日、北京外国語大学の中にある「北京日本学研究センター」を訪問し、竹内信夫主任教授(東京大学教授)を煩わして、センターの概要を伺い、施設を見学することができた。その立派な施設、素晴らしい教育・研究環境、充実した図書に驚き、このようなセンターの設立を提議・実現した先人達、運営に努力されている日中双方関係者に心から敬意を表したいと思った次第である。このセンターは、大平正芳首相と華国鋒主席の合意に基づいて1980年に設立された「大平学校」(日本語研修センター)を引き継ぎ、発展させて1985年に開設されたもので、小渕恵三首相の英断で決定された無償援助で現在の素晴らしい施設が2002年に完成した。

北京日本学研究センター
(独立行政法人 国際交流基金 資料より)

 日本語学、文学、社会、文化の大学院修士課程が設けられており、来年度からは日本経済も加えて課程が再編され、募集人員を増やすことが計画されている。現在までに400名近い修士、約20名の博士が生まれている。今回訪問出来なかった北京大学には「現代日本研究講座」があり、既に300名近い社会人・北京大学大学院生が受講している。これらの人々は、間違いなく日本に興味を持ち、日本を理解しようと努力している訳で、日本国、日本国民にとって貴重な存在であるが、中国政府や中国共産党、更には中国の一般国民に対する影響力は、私の知る限り残念ながら限られている、或いは非常に小さい様に思える。現在の微妙な両国関係の中で積極的な発言を控えておられるのかも知れない。

北京日本学研究センター 内部
(独立行政法人 国際交流基金 資料より)

 中国と日本は間違いなくアジアの大国である。アメリカの外交専門家の間で日中間の緊張が懸念されていると聞くが、日中両国政府、民間は自国の利益のためにも、アジアの安定のためにも、知恵を絞り、最大の努力を払って緊張関係を改善しなければならない。その施策の一つは、地道で即効性はないが、やはり人材の育成ではないだろうか。長所・短所も含めて正しく日本を理解する中国人と、中国の歴史、文化、政治、経済等を深く研究する日本人をより多く生み出すことがお互いの国益に繋がる。日本側で政府、財界、教育界が力を合わせて骨太の長期計画を作り、官民共同で必要な資金を提供する。中国側にも理解を求め、堂々と協力・支援を要求する。80年代前半に行われた数千人規模の若者交流、日本の大学による中国分校の設立も良いだろう。中国政府が日本に大学、研究所等を設立して、中国研究のメッカとなってもよい。次代を担う若者の世代に知日・親日派、そして知中、親中派が増えて欲しい。
                                                           以上



      
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