北京NOW (B)    
  第18号 2006.4.10発行 by 江原 規由
    色即是中国経済 <目次>へ戻る
 “中国経済の流行色は何か”と問われれば、「緑色」であろう。新聞、雑誌を開くと、この「緑」を修飾語、あるいは枕とする「見出し」や「スローガン」を目にしないことはない。例えば、緑色GDP、緑色観光、緑色鉱業、緑色通路、緑色照明、緑箱子(緑の箱)、緑色営銷(販売)、緑色製品賞、緑色中国年度人物賞、緑色税収、緑色競争力、三緑工程、緑色文章、緑色指令、緑色瀋陽、緑色餐飲(飲食)、緑色連盟、緑色文化、緑色食品、緑色時代、緑色燃油、緑色東港、緑地投資など、同じ緑でも内容は実に多彩である。今や、「緑」を付ければ、それが、国家の政策・方針にあっている、合法的、理想的、健康的、客観的、美的、正当な、安全な、正規な、などといった意味になり、誰もが納得し肯定する対象ということになる。
 昨年7月、本稿で「中国経済に棲む動物たち」を紹介したが、今回は中国経済を彩る「七色」について考察してみたい。中国では、古来より、動物と色の組み合わせは身近に存在した。例えば、中国では東西南北に4神が住むといわれるが、西は白虎、東は青龍、南は朱雀といった具合だ。これから紹介するのは7色。虹も7色だが、ここでは緑、紅、黄、黒、白、藍、銀の七色である。

北京五輪マスコットのイメージ
(画像は、中国网のページより)

<緑色に化粧直しする中国経済>
 では、緑色からはじめよう。上記「緑色事例」の中では、「緑色GDP」が特に目を引く。成長至上主義(1979年~2005年までの年平均GDP成長率は9.7%)でやってきた中国経済は、成長コスト(資源・エネルギー問題、環境問題、腐敗、犯罪、事故などの「成長の代償」)に直面しており、これからは成長率の高さだけを成果指標として競うのではなく、その質を問う姿勢を前面に押し出しているわけである。そのため、GDP-成長コスト=緑色GDPを成果指標注1としていこうというわけである。
 3月閉幕した全人代で採択された第11次5カ年規劃(2006年~2010年)で、年平均GDP成長率を7.5%と過去の実績に比べやや低めにしたのも、成長至上主義の見直しであり緑色GDPを実践していこうという姿勢の表明といえよう。今後の経済発展は、①内需拡大、②産業構造最適化、③資源節約・環境保護、④自主革新(イノベーション)、⑤改革・開放深化、⑥以人為本(人間本位)の6点に立脚するという。大胆にいえば、「人」と「環境」にやさしい発展パターンへの転換が追及されているということである。
 「緑」との関連でもう一つ紹介しておこう。「緑地投資」(合弁、合作、独資)についてである。中国は実質的世界NO.1の直接投資受入国といってよいが、今や、対中投資の主流が緑地投資からM&A方式になりつつある。実際、2005年には外資企業の中国企業のM&A関連取引額は対中直接投資額全体のほぼ五分の一にあたる120億㌦に上ったと報道されている注2。商務部は、「今後革新的な方法で外資を導入していく。例えば、M&A方式によって中国の金融不良債権処理などに外資を導入する」としているなど、対中直接投資におけるM&A方式に大きな期待をかけている。
 参考までに、目下、国家戦略となった「走出去」(中国企業の海外展開)でも、M&A方式が主流になったといえる。2005年の中国企業(金融を除く)の対外直接投資は前年比25.8%増(69.2億㌦)であったが、この内、M&A方式によるものが全体の58.8%を占めた(53.6%増の40.7億ドル、1067社)。

<紅は聖地巡礼色>
 次が紅色。紅色旅游(観光)、紅色資源、紅灯、国企紅利、人口紅利、紅火的市場、紅火的生活、紅頭文件、紅銭、反腐紅包、紅色装飾、紅太陽など。 
 この中で代表格は紅色旅游である。紅色旅游とは、大げさにいえば聖地巡礼である。聖地とは、韶山(毛沢東の生誕地)、井崗山、瑞金、延安などの革命記念地のことである。聖地を訪問して、革命の歴史を知り、革命精神を奮い立たせようというもの。なぜ、観光が紅色なのか。もともと「紅」という字には革命的な、共産主義思想を身につけている、といった意味がある。
 2005年が抗日戦争勝利60周年、遵義会議70周年であったことから、紅色旅游は大いに盛り上がりをみせたようだ。現在、紅色旅游5年規劃(121工程)が進行中で、今後5年間に10大紅色旅游基地、20の紅色旅游都市、100の紅色旅游景勝地をつくり、年間延べ1.5億人の観光客を集め、観光業を大いに振興するという。今後の中国観光では、万里の長城、故宮、桂林、敦煌、西安など歴史的スポットや景勝地のほかにも、百聞は一見に如かずの地が増えたということである。
 紅色旅游を振興しようとする意図は、観光、観光事業の促進という側面もあろうが、何よりも愛国主義教育にあるようだ。1949年の解放から半世紀余、毛沢東が天安門で「中華人民共和国成立了」と宣言し、党と人民が国つくりに邁進していた「あのころ」を思い起こそう。同時に、党員の綱紀粛正という側面もあろう。3月の全人代での検察院活動報告で、2005年に検察当局が腐敗(汚職、職務権限乱用など)で立件した公務員が4万人余。その中には、地方各省トップを含めた閣僚級幹部が8人、中央・地方の局長級幹部が196人、そして一般幹部が2799人いたという。公務員のすべてが党員というわけではないが、このままでは党が人民から乖離しかねない状況が醸成されかねない注3
 蛇足になるが、北京のある大学が選んだ2005年流行語に、「官煤勾結」(官僚と石炭業界の癒着)、「審計風暴」(政府機関の不正会計の実態)、「官賭」(官僚の賭博行為)などがある。
 経済優先の風潮の中で党の存在が形骸化しかねない。聖地巡礼で党の権威を強化し中華のアイデンティティを人民と改めて共有しようというのが紅色旅游のミッションであるわけだ。
 目下、三種の神器の一つはマイカーである。巡礼というと、汗をかきつつ足で回るといったイメージがつきまとうが、中国の巡礼の地にはマイカーで乗りつける若者が増えるとも限らない。建国に先立つ国民党との内戦のころ、毛沢東は2万5000里におよぶ有名な長征をやった。その行く先々が紅色観光、すなわち聖地巡礼の地に指定されている。中国では現在、ラリーやら、カーレースの開催に大いに関心を示しているおり、若者が一石二鳥を狙ってマイカーで2万5000Kmの聖地巡礼スタンプラリーなどやるかもしれない。党にとってはあんまりありがたくない風景ではあろうが。
 中国には世界遺産が多い。内外からの観光客が増えれば、いずれ中国が解放の聖地を世界遺産として申請することになるかもしれない。

<掃黄打非>
 次は、黄色。中国で黄色というと、中華文明を生んだ黄河や黄土平原、中国を代表する名山の黄山、天地創造の黄帝、歴代皇帝の身辺を飾り権力の象徴としたのが黄色であったことなどから、まさに中華(文明)を代表する高貴な色といってよい。しかしながら、現代で黄色が目立つところは、「掃黄打非」の4字成語であろう。掃黄の黄はポルノの意味で掃が付くとポルノ一掃という意味になる。打非は、主として国家や文化の安全、民族の団結を損なうような出版物の取締りのことを指す。
 この1990年から始まった「掃黄打非」は既に16年の歳月を経ている。時代とともに大きく変化してきているようだ。最近の掃黄打非では、インターネットや知的財産権が大きくからんだケース(犯罪)が多い。2005年末時点、中国のインターネット人口は、ほぼ日本の人口に相当する1億人強とされており、第11次5カ年規劃終了時の2010年には2億人に達するという。昨年、IBMのパソコン部門を買収した聯想(レノボ)は、今後農村を対象に安価なPCを販売するという。今後、こうした農村部の人たちがインターネット人口の一翼を形成することになるわけであり、インターネットは世論形成の大きな力であり有力メディアともなり得る。同時に、悪事の温床、世論操作の道具ともなりうるわけだ。知的財産権については、中国はこれまで知財の侵権者とされるケースが多かったが、最近値財保護に大きく踏み出してきている。
 実態を見てみよう。2005年の「掃黄打非」の成果であるが、不法出版物1億7000万件、不法新聞・雑誌79種、有害ゲームソフト50款、不法ディスク生産ライン17ラインを取り締まったというから驚きだ(経済日報 2006年2月27日)。
 さて、今年はどんな「掃黄打非」が展開されるかというと、①地下不法複製印刷拠点の一掃、②破廉恥ポルノなど有害出版物の徹底取締り、③知的財産権の保護強化(教材、音楽ソフト、PCソフト等の不法コピーの取り締まり強化)、④不法新聞・雑誌の取り締まり強化、⑤携帯電話などを通じた不法情報、不法ネットステーション、ポルノ情報の提供者の取締り強化、の5点という。特に、青少年を対象とした不良映画・TY番組、不良ネットゲーム、ネット上のポルノ・破廉恥情報の伝播などには、厳しくあたるとのことだ注4
 筆者の経験だが、友人が携帯電話で毎日面白い情報が入ってくるので、転送してやるとのこと。この種の情報は有料だ。あいにく、ポルノや破廉恥情報ではなかったが、世の中を茶化した、川柳的短信を転送してくれ毎回楽しんで読ませてもらったが、こうした情報であっても、政治批判などへとエスカレートすれば、取締りの対象になるはずだ。
 インターネットなどの普及で、中国にはかつてない大量の海外情報が入ってきている。これを国際化に向けた価値観の多様化としてどこまで許容するのか、当局にとって難しい選択だ。

<発展の影は黒色>
 次は黒。黒にはマイナスイメージがつきまとうが、ここでも例外ではない。黒は緑の対極にあることが多い。これがつくと違法行為、犯罪に関係したケースがほとんどだ。例えば、黒手機。手機とは携帯電話のことだが、これに黒がつくと、偽ブランドのついた携帯電話となる。ある報道によれば、この種の偽携帯電話の市場シェアーは三分の一、販売台数は毎年1500万機を超えているという。国内携帯電話大手の波導、夏新、康佳、TCL、中華などは売上げへの影響を懸念し、共同戦線で対策を練っているという(中国証券法 2005年8月26日)。

 打黒という熟語もある。これは犯罪の取締りという意味合いだが、この場合の黒は「掃黄打非」の非より悪質な反社会的犯罪行為となっているケースが多い。
 黒洞というのもある。ブラックホールの意味だが、ここでは経済用語である。違法ではないが、法の目をくぐっているといっていいだろう。即ち、民営企業がケイマン諸島、英領バージン諸島などにタックスへブンのペーパーカンパニーをつくって外資化し、この外資企業を通じて中国企業をM&Aするといったケースが多く、国有資産の流失を招いているという。この状況を黒洞と表現しているが、ブラックホールは底なしであり、それほど多くの民営企業が迂回投資で外資企業の帽子を被り国際化しているわけである。外資企業になれば、民営企業には制限されている海外株式市場への上場による資金調達なども楽になる。実際、初歩的統計によれば、既に、270に及ぶ民営企業が海外上場しているという(中国経済信息 2005/22)。
 そのほかでは、最近、黒銭が目を引く。これは、はマネーロンダリング(資金洗浄のこと。不法に得た資金をさまざまな金融機関の口座を転々とさせることで、資金の出所を分からなくする行為)で中国に入ってきた資金のことで、アジア開発銀行の推計では、中国でのマネーロンダリングの総額は、毎年平均で中国のGDP(国内総生産)の2%に相当する2000億元を下らないという。こうした資金が投機的に使われ住宅価格などの物価上昇要因となるなど、経済かく乱要因の一因ともなりうる。

 黒に因むフレーズはまだある。「黒網」の網はインターネットのこと。「黒中介」は、職業紹介などを口実に人をだますこと。「黒油」とは盗油のことで、これを売るビジネスがあるという。
 最後に、黒を代表する言葉は黒社会だ。暴力団、組織犯罪組織を意味する。中国には、国際的にいう暴力団は存在しないということになっていたが、最近では、組織犯罪行為を認め、厳格な法の執行で対応しようとする姿勢が目立ってきた。黒社会は腐敗と結びつくケースが多い。腐敗の氾濫は人民の最も忌み嫌う状況であり、例年ながら、3月の両会(全人代と政治協商会議のこと、前後して同時期に開催される)でも主要テーマの一つとして大いに議論を呼んだ注5
 北京市では、「黒社会」取締りに関するTV会議を実施し、黒社会が財政界の侵入しつつある現状に強い警戒感を表明した、また、海外の「黒社会」も中国社会で勢力を拡大していることを明らかにした。農村などでの土地の強制収用などに抗議する農民鎮圧に、地元幹部や、公安が「黒社会」を動員するケースが増えているという(京華時報 2006年3月22日)。中国では「黒社会」の絡んだ「地上げ」が起こっているということである。
 
<限りなく透明に近い白色>
 黒の次は白について。中国で白といえば、白酒の白が連想されよう。白酒とは、マオタイ酒、五糧液など蒸留酒のこと。透明色を中国では白色に譬えられるが、酒の話は別の機会として、本題に戻ろう。
 最近、紙面を賑わす白にまつわるフレーズはそれほど多くない。ここでは、白色汚染についてのみ記してみたい。中国では、街中、郊外を問わず、空き地、建設現場や街路樹などにいくと、プラスチックのショッピングバッグが強風にあおられて乱舞していたり、木々にあたかも花を咲かせるかのごとく張り付いている光景を目にする。プラスチックバッグに限ったわけではないが、例えば、ペットボトル。至る所に空になったぺットボトルが捨てられて行き場を失っている情景をよく目にする。中国は、既に1994年の「中国21世紀人口、環境および発展白書」の中で、廃棄物の減少・回収目標を設定し、全国大中都市に廃棄物回収ネットワークを構築するとしているが、プラスチックバッグの乱舞は都市ごみがこれを上回るスピードで都市環境を損ねていることを教えているようだ。
 上海は、2004年から市内のスーパーマーケットで提供されるのプラスチックバッグの有償化を実施しようとしたが、今日に至るまでうまくいかず、結局この措置は休眠状態にあるという。
 しかしながら、最近、中国政府が打ち出した節約型社会や循環型経済の建設、中国人民の環境意識の高まりや権利意識の向上などで、生産、購入後の製品の「後片付け」は今後急速に進むものと思われる。

 企業にとっても、「後片付け」義務がこれまで以上に社会から強く要求されることのなろう。その分、中国での生産販売はコスト高になるということである。企業の社会的責任が求められることも、今後プラスチックバッグの乱舞を目にしたら考えなくてはならないであろう。

<老齢化社会は銀色>
 次は銀色。銀はシルバーシートのシルバーの意味、即ち、シニアーを指す。中国は世界最大の人口大国であるが、1999年に高齢社会に入り、老齢化が急速に進んでいるという注6。2004年末には、60歳以上の老齢人口が1億4300万人(総人口のほぼ11%)に達し、世界の5分の1を占め世界最多となった。21世紀、中国は人口過剰(2033年前後に人口は15億人でピークとなると推定)と老齢化という二重の圧力に直面することになり、中国経済・社会は厳しい挑戦を受けることになるとされる。
 中国が国是として追求している小康社会(誰もが豊かさを実感できる社会)が実現する2020年(2000年水準のGDPの4倍増を実現)には、老齢人口は2億4800万(総人口の17%強)で、このうち80歳以上の人口は3000余万人に達する。
 「銀色拐杖」という言葉がある。シルバー・ステッキという意味で、老人を支えるということだが、中国では、老齢者に対する生活面、精神面のケアーが遅れているという(中国老齢対策委員会事務局が今年2月発表した研究報告による)。今後、中国は福祉施設の増設、遅れている社会保障システムの整備、シルバー商品の開発に注力し、その市場を育成する必要に迫られつつあるのが現状だ。
 現在、中国貯蓄率46%(2005年末残高14兆元強≒200兆円)と非常に高い。医療、教育、老後に備えるため、消費を差し控えているためという。老後に不安があり、頼むは貯蓄というわけだ。中国は、今後の成長パターンを外需優先から内需重視に転換するというが、内需の中心たる消費が老齢化に備えるため伸び悩むようだと、持続的成長に影響が出て、小康社会の実現が遠のきかねない。中国にとって老齢者を支えるセイフティネットの整備は緊急の課題だ。
 中国第3の経済圏として内外から注目されている環渤海経済圏の中心都市の一つである煙台市を訪問し同市状況説明を受けた時のことであるが、同市に属する蓬莱市では、「中国蓬莱健康生活方式中心」をつくる予定で、そこには、国際老年村も建設するという。こうした将来の老齢社会に向けた対応が中国各地で進みつつあるのも事実である。
    
<海と空と宇宙は藍色>
 さて、最後は藍色である。現在、中国では藍色は海の色あるいは空(宇宙)の色として輝きを増してきている。21世紀の中国が目指すのは藍色の方向といえる。昨年、中国は「海洋立国」を目指すと大いに喧伝した。なぜか。中国企業の海外展開(中国語で「走出去」という)を国家戦略として積極的に推進していることに大いに関係している。中国経済の発展には、中国企業の海外進出を本格化させ、かつ海外石油の輸入や鉱物資源の権益を確保(M&A など)していかねばならない。シーレーンを確保なしには、経済成長も国家の安全が保障されない。こうした中国企業の海外展開には、資源を買いあさり資源価格を吊り上げているとか、米石油大手のユニカル社やハンガリー航空など国家を代表する企業が中国企業にあわやM&Aされかけた時、米議会などから横槍が入るなど、海外の警戒感もある。
 そこで登場したのが、明代の鄭和である。鄭和は時の永楽帝の命を受け、大艦隊を引き連れ、東南アジアからアフリカ東海岸まで7回航海し、行く先々で平和外交を展開し、当時としては世界最大といってよい友好通商貿易圏を築いた英雄であった。西洋の大航海時代に先立つことほぼ一世紀前の快挙であった。以後、中国は海外展開をやっていない。昨年は、鄭和の処女航海からちょうど600年であった。「前事不忘 後事之師」(前のことを忘れず、後の戒めとする)、即ち、中国の「走出去」は鄭和の平和・友好的的精神に根付いていると、世界に発信したわけである。
 実際、昨年の「走出去」は大いに盛り上がりをみた。「走出去」と海外資源の輸送には、海の安全が確保されねばならない。海の象徴色たる「藍」が中国経済の表舞台に登場したというわけである。

 藍色経済という言い方がある。中国は、2010までに海運強国、船舶工業強国(造船強国)、海洋観光大国、海洋天然ガス資源開発大国になり、最終的には「海洋強国」を目指すという。中国の海岸線は全長1万8000Km、6500余の島嶼があり、手付かずの観光資源やら海洋ビジネス資源が豊富に存在するという。「海洋立国」を強調する姿勢はこれらの資源開発に大いに目覚めたということである。川の流れのように、陸から海へ、そしてその藍色の水平線の彼方へと龍が舞い始めたということであろう。

 その水平線の彼方で、中国はASEANを初めとする国・地域とFTA(自由貿易協定)の締結に熱心だ。鄭和が600年前に築いた友好通商ビジネス圏への回帰であり、まさに「歴史は繰り返される」ことを「藍色」が教えているようだ。
 藍は海色だけではない。昨年は、「龍が藍天を舞った」というフレーズが紙面を飾った。昨年10月、2人乗り宇宙船である「神舟6号」が打ち上げられた。宇宙飛行士の一人の名前が龍であったことから、龍が太空(宇宙)を舞ったと形容したわけだ。神舟6号の見た空間は限りなく藍色であったのであろう。来年からは、月着陸を目指す「嫦蛾(月に住む仙女)1号が、そして初の宇宙遊泳に挑む神舟7号が打ち上げられる予定となっている。前途には揚々たる藍色ビジネスが待ち構えているというわけだ。

『脚注』
注1 最近、「緑色GDP」の算出は難しいという声も出ており、今後試行錯誤しつつ、「緑色GDP」は市民権を得ていくことになろう。
注2 2005年の中国でのM&N投資(内資・外資による)は、金額で前年比34.1%増(464億㌦)と急増(件数では14.4%増の857件)した。信報2006年1月25日
注3 2005年1月~11月までに党籍剥奪受けた党員は2万4000人といわれる。
注4 現在、インターネット上のポルノ情報ページは3.8億超と報じられている(経済参考報 2006年1月5日)。
注5 2005年の中国の刑事事件数は460万件、窃盗が前年比大幅増。公務執行妨害、群衆の衝突、騒乱など貧富の格差拡大や社会的利害の対立、軋轢を背景とした犯罪が増加した(公安省報道官の報道、2006年1月20日 時事速報)
注6 老齢化とともに、少子化もある。1970年代末から始められた一人っ子政策で、急激な人口増抑制策が採られている。なお、2005年末時点の一人っ子の総数は9000万人とされる(北京晨報 2005年11月15日)

    
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