第82号 2014.11.12発行 by 矢吹 晋
    中共政権の爛熟・腐敗②
皇甫欣平「腐敗を終わらせるために」
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 皇甫欣平「腐敗を終わらせるために」(鳳凰網2014年10月9日)を以下に紹介する。皇甫欣平とは1991年2月15日以後の皇甫平の筆名で、鄧小平の南巡講話を支持する一連の評論を書いた周瑞金らの新筆名である。以下は4節からなる「万言書」の第1節である。

 腐敗問題はいま中国を困惑させる重大な課題となっており、高層指導部は繰り返し、腐敗問題は中国共産党と中国の存亡に関わると警告している。中国社会経済の矛盾の根源の多くは、腐敗と関わっており、庶民は官員の腐敗を深く憎んでいる。もし腐敗を根治できるならば、大多数の社会矛盾を解決し、国民の凝聚力を強め、社会の和諧度を大いに高めることができる。
 反腐敗の電撃戦2014年1〜5月に、全国紀律検査・監察機関が党紀・政紀により処分した者は6万2953人で、前年同期より34・7%増えた。2012年11月の第18回党大会から現在までに、48名の「副省(部)級以上」の官員が法令違反・紀律違反で「調査」を受けたが、中には1名の正国級高官〔周永康〕、2名の副国級高官〔徐才厚、蘇栄〕、2名の中央委員〔蒋潔敏、李東生〕、3名の候補中央委員〔李春城、王永春、万慶良。その後に陳川平、潘逸陽が加わり5名〕が含まれる。
 もし現在のスピードで高官が失脚するならば、2週間で1人「副部級以上の高官」が失脚し、「副部級以上の高官」(軍隊と企事業単位を含む)は5000人程度が入れ代わることになる。
 2014年6月には、2名の「副国級領導」を含む6名の高官が相次いで落馬した。新華社はこれについて評論を書いて、「一日に4匹の虎を退治するならば、中国共産党は特殊なやり方で93歳の誕生日〔2014年7月1日建党93周年〕をむかえることになろう。大老であれ、軍の虎であれ、老いた虎であれ、病める虎であれ、党紀・国法に触れる者は、虎のケツに触れて、虎を檻に閉じ込める」と指摘した。
 さらに7月末には内外を驚かせる周永康事件が発覚した。
 「権力と金銭の取引」は高度成長のための「潤滑剤」周知のように、腐敗は一種の疫病であり、人類はそれを経済上効率的な範囲内に閉じ込めることが困難になっている。一旦腐敗を容認するならば、それは社会の肉体と霊魂を破壊し、公正・信任等の基礎価値・理念を破壊する。腐敗の本質は公権力の私物化であり、いま最もよく見られるのは「権力と金銭の取引(権銭交易)」である。個々の腐敗案件の大部分は「権銭交易」である。
 30年来中国では一貫して、政府主導型の経済発展を行い、ビジネスの高度成長のためにはいわゆる「潤滑剤」、「粘合剤」が必要と見られてきた。とりわけ中国特有の「大躍進(原文=大推進)」戦略のもとでGDPペナントレースが行われ、国有企業が市場を壟断する条件下で促進剤の役割を果たしてきた。
年平均10%のGDP持続成長の中で、各級の官僚たちは自己の私的利益を確保するために、土地、不動産、鉱山を開発し、インフラ建設等を行ってきたが、官員の腐敗も高度成長を続けた。プロジェクトの入札、設備の買い付け、企業の株式上場、M&A等はすべて利益を輸送するパイプラインであり、「建設のあるところに腐敗あり」とは常識であった。
 「反腐敗にタブーなし、虎退治に死角なし」より悪質なのは「買官売官」であり、派閥を結び、徒党を結び、特殊な利益集団を形成したグループだ。これらの官員はグレイゾーンに生きることが久しく、すでに習慣になり、もはや後戻りできない。ポイント・オブ・ノーリターンを越えて、黒色の死に至るガンに犯され、もはや数量の区別も、本質上の違いも認識できない。川面に死魚が浮かぶ時には、魚の病を認識できるが、何千何万の魚が死ぬ時、水が悪いと感じるようなものだ。英国、米国であれ、韓国・日本であれ、「金メッキ時代」という高速都市化・工業化の段階では、高額の汚職コスト(このほか外部環境悪化による環境コストもある)を払って近代化を成し遂げてきた。
 落馬する官員が不断に増え、犯罪金額がますます高額になることから見ると、特殊利益集団が国家と社会資源の成長する過程で、これらの集団がすでに中国住民の財富分配の強力な主体になっていることが分かる。
 これらの利益集団はすでに、中央と地方の党・政の高官と結び、地方の黒社会勢力と結び、民営企業、独占中央企業を通じて、エネルギー・交通・資本市場等の重要領域を支配し、国家の政法紀律部隊、否、はなはだ  しき武装力量(解放軍)にまで入り込んでいる。
 いま反腐敗行動は点から面へと不断に拡大している。法の執行者が大衆に殴打され、危機が四伏する環境に置かれ、一方では自身の隊列を強化し、鉄を打つには、自らが硬くなることを求められ、一方では笑顔で迎える支持者の背後に、別な目論見があるかどうか調べなければならない。一方では巨大な民意が後押ししてくれるが、同時に情況をコントロールできなくなるおそれもある。
 1978年以来最長・最強で、最も広範囲の反腐闘争であり、とりわけ軍隊の高層にまで及んでいることが今回の特徴だ。そのスローガンは「反腐敗を最後まで進めよ」、「全天候型の反腐敗闘争」、「反腐敗にタブーなし、虎退治に死角なし」、「蝿も虎も一挙にたたく」であり、これは腐敗を終わらせるシグナルとしてきわめて強烈だ。
 

               
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