第8号 2006.3.27発行 by 稲垣 清
    香港 VS 上海―体験的競争力比較論 <目次>戻る
 香港は上海を意識するも、上海は?
 華南と華東、あるいは上海と香港、何かと競争相手として比較される今日であるが、華南あるいは香港が意識するほどには、華東(上海)は香港を意識していない。上海は香港を相手にせず、中国の中心、あるいは世界の中心であることを意識ないし目指している。上海の友人あるいは邦人関係者のインタビューを通じて、そうした印象をもった。
 しかし、上海が香港を意識していないはずはない。そのよい例がディズニーランドの誘致である。香港ディズニーランドは2005年9月にオープンした。いろいろなトラブルもあり、入場者も予想を下回っているといわれる。1997年の返還時、香港の招致が決定したが、そのとき、有力な対抗馬が上海であった。返還後の香港の繁栄を維持するために、上海は香港に“譲った”という経緯がある。あれから約10年後の今日、上海が再び、ディズニーランドの誘致に乗り出した。市政府もこれを認め、候補地も2010年の万博会場となる浦東地区に絞られている。スケールが小さい、乗り物・アトラクションが少ない、中国大陸からの観光客のマナーが悪いなどと酷評される香港ディズニーランドを尻目に、上海は東京並みの敷地が確保できるようであり、ここでも、上海は香港を意識しながらも、その上を狙っている。
 1年ぶりに上海を視察したのを機会に、交通インフラ、生活条件など身近な話題をテーマに上海と香港の競争条件を検証してみる。

 交通インフラ―質で香港に軍配
 まず、地下鉄、タクシーなど公共料金を比較してみると、単純に為替レートを1対1とした場合、概ね香港の方が上海よりも高い。上海あるいは中国の方が、安いといえるが、質的にはすべての面で香港が優れているとみてよい。まず、タクシーの基本料金は、上海は全国的平均の10元である。北京も10元、深圳の12元より安いが、広州の8元よりは高い。尤も、広州は2005年8月から1元のガソリン税が追加され、初乗りは9元となる。ちなみに、上海の浦中心からトンネルを利用して浦東中心部までは概ね18元程度である。
 タクシーの質を比較すると、上海でも「5つ星タクシー」も登場しているようであり、その運転手は英語、時には日本語も通じるといわれるが、一般のタクシーはまず、英語は通じない。この点では、香港が断然優れているが、香港に初めて来た人の印象のひとつが「意外に英語が通じない」というコメントも少なからずある。また、北京でも上海でも、最近の地理不案内の運転手が多いことと、場所を提示しても通じにくい。中国も香港も、南京路、あるいはクインズロード(皇后路)など通りの名前を指示する方がよい。
 2006年3月の上海出張時、初めて、空港からリニアカーを利用した。最高速度は431キロ/時であり、空港駅から浦東区内の龍陽路駅まで、30キロ、7分足らずの距離である。そこから最寄りのホテルまではタクシーないし地下鉄が連絡しているが、やや不便であるため、利用者は少ない。駐在員の友人は利用者が増えたというが。50元(ファーストクラス100元)は高いともいえるが、車内は成田エクスプレスと同じように、ゆったりとしている。同じ距離、タクシーを使った場合には、ほぼ同じ料金というから、一人の場合には割高である。この点、香港はエアポートエクスプレスが到着ロビーからそのまま乗車できることや、地下鉄との連絡なども含め、空港からのアクセスは料金、質ともに香港に軍配が上がる。なお、上海のリニア、いずれ、空港から浙江省の省都杭州まで約200キロを26で結ぶという。
 地下鉄も香港が優れている。上海はまだ市中心部をつなぐ1号線と浦東新区を結ぶ2号線までであり、ようやく本格化しようとしている段階であるが、車内、キオスク(新聞売店)、構内など、その明るさ、広告などの色彩センス、構内店舗の質などすべての点で上海が劣る。尤も、地下鉄の歴史が旧い北京よりは上海の方が、パス(乗車の仕方)も近代化しており、構内照明も明るく、センスもよい。南の深圳も地下鉄が開通したばかりであり、車両も新しく、駅の改札もハイテク化している。上海は今後さらに、増える計画であるが、空港からのリニアが延長されるか、新たな地下鉄が建設されないと、2010年の万博の大量輸送は難しいであろう。なお、中国の地下鉄計画については、別稿産業レポート「中国の地下鉄計画と建設条件」を参照されたし。
 
 物価水準―生活は中国が楽?
 上海および中国での生活経験がないため、食料品価格などの生活条件は短期出張での経験によるものであるが、物価も上海の方が安いといえる。米、野菜など中国製、地場のマーケットで購入する場合には、香港も安い。日本製品が高すぎることもあるが、それでも、上海の物価は香港より安い。
 2005年にオープンした上海の第9百貨店と香港そごう(崇光)の合弁デパート「久光百貨店」をのぞいてみた。ここは、日本スタイル(香港スタイル)の「デパ地下」が出来たことで、最近話題となっている。香港そごうの経営に携わった日本人スタッフのアイデアを取り入れたといわれる地下の食料品売り場、テナント、レストランなどスペースは香港より広く、品揃えも豊富である。日本のコシヒカリ、日本酒(大吟醸酒)、冷凍食品、調味料など殆どが揃っている。同じ輸入品であることから、値段は香港のそごう並みである。
 野菜売り場をみると、レタス、キャベツ、人参、ジャガイモ、ネギ、しいたけなどが上海郊外松江県に進出した日系独資の「錦菜園」のラベルが貼ってある。値段は、香港そごう売っている日本からの輸入野菜の三分の一の値段である。みたところも新鮮である。これだけ揃っていれば、便利であり、邦人社会にとっては「福音」である。
 このデパ地下、売り物はヤマザキパンである。1個5元からの調理パンなどが並び、自由に取ることができる。20年以上前に、香港の日系デパートに出来たヤマザキパン、出来たてのパンを興味深く見つめていた香港人を思い出す。いまは当たり前になっている、パンの籠から、自由に自分のトレイに乗せるスタイル、当時の香港でも画期的であった。しかし、トレイに取り損なって、下に落ちたパンをそのままパン籠に戻す人も絶えず、久光のヤマザキパンでその光景をみたわけではないが、当時の様子を懐かしく思い出した。「デパ地下」にみる香港と上海の競争力は、20年のギャップである。

 上海の日本レストラン―400軒がひしめく
 いま上海には日系レストラン400軒以上がひしめき合っているという。うち、日本人経営のレストランは1割の40軒という。残る大半の日本料理店が香港でいう「日式」であり、中には、日本への留学経験のある(遊学生)が見よう見真似で開いた店も多いという。ちなみに、香港も日本料理点が増えているが、現在約250軒、うち日本人料理人のいるレストランは、50軒前後とみられる。
 上海の日本料理店は居酒屋も含めて、香港より安い。ランチは香港の半分の値段であろう。日本料理店に限らず、中華レストランも安い。上海名物の小龍パオは香港の三分の一である。日本料理店といえば、上海も香港も何でもありであるが、最近の上海にはカレー専門店、とんかつ屋など専門店も増えたことが特徴である。その多くが、日本からの進出である。「バルチックカレー」、ラーメンの「味千」、吉野家の牛丼、イタリア料理のサイゼリア、豆腐料理の「梅の花」など目白押しである。また、モンテローザの「白木屋」、「和民」などの居酒屋の進出も盛んである。冷凍技術、低温物流が発達したため、日本から生きたままの水産物が上海に運ばれ、新鮮な刺身食べられるようになったともいわれる。

 住宅・教育事情―高所得者層は家事と子供の教育で「時間を買う」
 今回、初めて浦東のホテルに泊まった。周りは、相変わらずの建設ラッシュ、台湾と競う世界一高いオフィスビルも建設中である。上海在住の消息筋に聞くと、オフィス需要は引き続き堅調という。マンションは2~3割下がっているというのも共通の評価である。上海の銀座、青山、渋谷と呼ばれるような都心(南京西路、准海中路、陸家嘴など)のマンションでは1㎡あたり30,000元(45万円、日本の丸紅が建設する中心から15キロ離れたマンションの例では、平米当たり9,000元。また、大連や広州では10,000元前後)、平均140平米(1~2LDK)として、4500万円である。東京や香港に比べれば、半分以下かもしれない。しかし、中国の一般庶民には、「夢、また夢」である。
 上海で会ったキャリアレディーのSさん、夫婦ともの日本との合弁会社勤務、マンション3棟を持ち(亡くなった父親が不動産会社を経営)、ホンダアコード(30万元相当)に乗り、お手伝いさんを雇い、5歳のお嬢さんはピアノと英語のレッスンに通う。典型的な「白嶺族」(ホワイトカラー)である。そういえば、いま上海で、ヤマハのピアノ教室が盛況だと聞いたことがある。「一人っ子政策」の中国、ピアノはいまの中国における富裕層のシンボリックな現象である。上海におけるピアノ教室のレッスン代は。おおむね1時間100元といわれる。Sさんのお嬢さんは週に8回も通っているという(1ヶ月800元)。また、教室以外に練習教師として、大学生を雇っており、その学生の時給は40元という。
 Sさんによると、上海あるいは中国の教育に熱心な母親たちは子供の将来のため、自分の出費を抑え、子供に最大投資しているという。
 中国では、「格差問題」がクローズアップされているが、この小さなSさんを取り巻く社会にも大きな「格差」がある。お手伝いさんの給料は月900元(13500円)という。お2人の月収は分からないが、あわせて、おそらくお手伝いさんの10倍はあるであろう。収入格差は大きいが、江蘇省からきたお手伝いさんは雇用(部屋・食生活)と収入が保証されている。いまの中国、「ダブルインカム、ノーチャイルド、しかしペット(犬・猫)付」が流行っているそうである。都市部の富裕層は、家事と子供・年寄りの世話(時間)をお金で買う(お手伝いさんを雇う)のが当たり前になりつつある。
 Sさんのマンションは香港と同様に、お手伝いさん(アマ部屋)の専用部屋があるそうであるが、旧いマンションはそれがないため、お手伝いさんはパートが多いという。パート代は時給5~10元という。さらに、豪華マンションはお手伝いさん専用のエレベーター(貨物用か?)もあるという。上海市内を走ると、豪華マンションには入り口にガードマンは配置され、門扉も豪華である。浦東新区のマンションには、まだ電気がつかない、洗濯物が干していない、カーテンがないなどの「バブルマンション」も見えなくもないが、世間がいうほどに上海の不動産バブルははじけていない印象である。

1表 上海 VS 香港―その1(物価水準・生活条件)

上海 香港 上海VS香港
(コメント)
タクシー初乗り値段 10元 15香港ドル 香港の方がやや高い、上海の運転手には「5スター」あり。上海の運転手、英語は無理。
空港から市内アクセス リニアカー50元
(空港―浦東龍陽路駅まで、30キロ、7分)
エアポートエクスプレス
100ドル(空港―香港駅片道、12分、同日往復は100ドル)
リニアの最高速度431キロ/時、距離短く、不便、一人の場合、タクシー代とほぼ同じ(同じ距離の場合)
地下鉄1駅 3元 4ドル 上海、1、2号線のみ
マルチパス 100元(保証金30元、70元、地下鉄以外も可能) オクトパス保証金あり、100ドル以上、追加可能(「付加増殖」) 香港はオクトパス使用の場合、初乗り3.8元
生鮮野菜の値段 5~10元
(久光百貨、日本農園)
10~30ドル
(そごう、日本からの輸入)
キャベツ1個の場合、上海は香港の三分の一から半値。
米(こしひかり2キロ) 250元
(久光百貨、輸入)
160~280ドル
(そごう、輸入)
銘柄によって、価格は異なる
日本料理店ランチ標準定食(日本人経営) 30~50元 80~120ドル 香港の方が断然高い、香港はセントラルと下町では値段と内容が異なる。
ビール(日本製、レストラン) 10元
(大瓶)
25~30ドル
(350㎜、缶)
上海の大瓶はサントリー(現地生産)香港は缶か、小瓶が普通
小龍包(上海料理店、1皿6個) 10元 30ドル 上海豫園(南翔)、香港上海料理店
住宅価格(都心、1㎡) 10,000~30,000元
(15~45万円)
15,000~70,000香港ドル
(22~105万円)
上海は浦西の高級住宅街、香港はコースウエイベイ近く
お手伝いさん手当て(1ヶ月、住み込み) 900元
(食費込み、休み適宜)
3,200ドル
(食費込み、週1回、法定休日休み、有給あり)
上海はS宅家族4人の例、時給は5~10元
ピアノレッスン代(1時間) 100元 200ドル~400ドル 上海のヤマハ音楽教室は週1回1時間100元(半年契約)、音大生の自宅個人教授は時給40元。香港は音楽教室からプロによる個人教授によって幅。
注、資料:人民元と香港ドルは公式には、1香港ドル=1.06人民元であるが、ここでは、1対1として比較、上海、香港での百貨店調査、レストラン、個別ヒアリングなどによる。


 金融センター・貿易センターを競う上海と香港
 さて、上海と香港の本格的な競争は金融センター、貿易センターとしての地位である。両者とも国際都市であるが、戦前は上海の方が栄えていた。現在の人口は上海が香港のほぼ2倍である。一人当たりGDP(所得水準)は香港が上海の3倍近い水準にあるが、実際にはこれほどの差はないように思える。上海の人のほうが、身なりはきれいであり、衣食住のうち、「衣」にあまりこだわらない香港人、片やプライドが高く、ファッションの先端は「上海にあり」と自負している上海人のほうがいいものを着ているようにも見える。
 経済力をコンテナ取扱量でみると、上海が香港の8割水準にまでキャッチアップしている。世界的にみても、香港はこれまでの第1位をシンガポールに譲り、深圳が3位として急激に追い上げている。そして、上海が第4位に位置し、深圳、香港を追い上げるレースを展開しており、深圳、上海が香港を抜くのは時間の問題であろう。
 しかし、金融市場、株式市場でみた場合には、上海と香港の差はいまだに大きい。時価発行総額でみると、香港は上海の4倍である。また、上海市場の場合、新規上場がほとんどなく、流動性も少ないことから、株式市場は低迷。非流通株の開放が少しずつ行われているとはいうものの、深圳市場との統合問題を含めて、株式市場の改革が頓挫していることも低迷の背景にある。
 人民元がこのところジワジワと上昇しているが、自由化への道のりも遠く、上海は国内金融市場、香港は国際金融市場という基本的は役割と地位が今後10年で逆転することはないであろう。
 金融関連人材・インフラも上海は不足している。人材が相対的に不足しているため、コストは上がっている。金融・証券系企業の大卒出の初任給は香港の6割程度までキャッチアップしているほか、業暦者(経験者)は香港並のコストにもなりつつある。

 日系・非日系企業の進出
 日系企業の進出件数だけをとると、上海が圧倒的に多く、一時に比べると、上海、江蘇などの華東地域への進出は衰えをみせている(JETRO上海によると、相談件数がやや減っているという)。しかし、日系企業の上海(華東)への進出意欲は堅調といってよい。香港の場合には、新規進出が少ないことと、隣接する深圳や広州への進出が盛んであり、この両市を含む珠江デルタへ(華南)の進出を考慮すると、上海に匹敵する規模となる。それは、商工会議所ないし商工クラブの登録企業数でみることができる。
 非日系企業(グローバル企業)の進出数でみると、2005年11月末現在、上海には約4万件の外国投資プロジェクトがあり、投資額は560億ドル(実行ベース)に達している。4万件のうち、日本の投資は5,725件、米国4,813件、台湾4,898件などが上位を占めている。
 上海の外資進出の特徴は、上海をグローバル企業の中国地域本部、投資公司(統括本部・傘型企業)および研究開発センター(R&D)としての位置付けていることである。商務部多国籍企業研究センターの調べによれば、地域本部と位置付けている多国籍企業は124社、傘型企業130社そしてR&Dセンターは170社という。中国ビジネスの本部としての機能強化と企業誘致は上海と北京は競っており、華南に地域本部を置いている企業は少ない。香港は依然として、アジアの地域本部の有力な都市であり、香港投資推廣署によると、香港をアジアの地域本部とする企業は1,000社に及んでいる。このうち、一部の企業は中国・アジア本部としているが、上海に移している企業もある。
 企業進出にあわせて、日本人学校や在留邦人数などを最近、香港・華南では家族帯同が増えており、それだけ中国の生活インフラが整いつつあることを示している。先に、上海の百貨店・スーパーの紹介を行ったが、広州、深圳に日本のイオン(ジャスコ、中国名「吉之島」)、米国のウオールマート、フランスのカールフールなどが進出しており、香港と遜色ない消費生活をおくることができるようになっている。

 2015年の上海と香港
 2001年、香港貿易発展局(TDC)は2015年に上海が香港を追い抜くというレポートを発表した。TDCの予測前提は、上海が今後20年12.3%の成長を維持した場合、また香港は4.2%成長した場合である。2004年の時点で、両者の一人当たりGDPの差は4倍ある。しかし、一人当たりGDPの伸びでみると、上海は12%、香港は2.4%でしかなく、この差が維持されるとして、今後10年では成長スピードからみて、上海が香港を抜くという計算である。
 この予測数字の是非はともかく、「上海が香港を追い抜く日」というところに、香港の上海への対抗意識と危機感が表れている。しかし、数字の問題とは別に、香港の国際的機能、金融センターとしての役割までが、2015年にとって代わるとの見通しは現実的ではないだろう。まず、2015年までに人民元の自由化が進むかどうかがポイントである。しかし、人民元の対米レートが現在の1米ドル=8.03元から、香港の対米レートである1米ドル=7.8香港ドル(ペッグ制)に限りなく近づくないし上回る可能性は否定できない。つまり、香港に限っては、人民元が香港ドルと同一になる、すなわち交換性をもつ市場になる可能性が高い。しかし、それでも、香港の国際金融センターの地位が上海にとって代わることはないであろう。あくまで、問題は上海の金融市場の開放であり、人民元の開放である。
 さまざまな指標を通じ、急激な成長をとげる上海、安定成長の香港について、都市計画、生活条件、経済力を比較してみた。交通インフラ、公共料金、住宅条件など上海はまだ香港の三分の一程度のコストといえる。しかし、リニアカー、地下鉄、お手伝いさん、ピアノ教室、デパ地下など香港との比較指標が上ってきただけでも、急速なキャッチアップである。浦東の開発も進み、オフィスビル、マンションだけでみると、香港並あるいは香港以上でもある。都市つくりでも、旧市街区、浦西中心部には、高級デパート、高級ブテイック、高級ホテルが立ち並び、香港はもとより東京・青山、銀座の町並みを彷彿されるものがある。しかし、他方で、マックスマーラなどが入る南京西路から少し入った商店・住宅街の街路樹(プラタナス)に制限されているはずの洗濯物が干されているなどの上海の風物詩が残っており、およそ高級ショッピング街とは程遠い景観を残している。このように、ビル建設などのハードのキャッチアップは早いが、そのれに見合う街づくり(ソフト)が追いついていない。今後の上海の発展と開発はコストの上昇にともなって質の向上がついていくかどうかである。

2表 上海 VS 香港-その2(経済力・日本企業関連指標)

上海 香港 上海VS香港(コメント)
人口(2005年) 1,300万人 697.1万人 上海は戸籍人口、常住人口は1,700万人。
一人当たりGDP(2004年) 6,800米ドル 27,374米ドル 上海は人民元を米ドル換算。香港は2000年価格の実質。
コンテナ取扱量(2005年) 1,800万TEU 2,230万TEU 上海の前年比は30%、香港は3%
空港旅客数 1,660万人 3,980万人 香港は世界第5位、上海は30位
国際貨物輸送量 160万トン 340万トン 香港は世界1位、上海浦東は7位
株式上場企業数(2006年2月末現在) 877銘柄 1,139銘柄 上海はA株823、B株54の合計。香港はメインボード935銘柄、GEM204銘柄。
時価発行総額 2兆3096億元(約34兆円) 9兆1918億香港ドル(138兆円) 香港はメインボード、9兆1129億ドル、GEM789億ドル
金融関係初任給(サンプル) 3,500元(アシスタント)6,000元(業暦者) 10,000~30,000ドル 上海のアシスタントは復旦大学出、香港は大卒平均、30,000ドルは業暦者
日本商工会議所会員数(2006年2月現在) 1,575社(法人) 609社 広州、深圳を含めた珠江デルタの合計は1,275社
在留邦人数(2006年3月現在、在留届け出ベース) 34,200人 26,500人 外務省調べ。
日本人学校生徒数(2006年2月現在) 2,111名 1,600名 上海はバンコクを抜いて世界1位
観光客数(2004年実績) 492万人 2,336万 香港の観光客の6割は大陸から(2005年)。
うち日本人(同) 120.7万人 120万人 上海の日本人観光客はトップ。
注、資料:上海市、香港特別区政府公式発表、JETRO統計などより。


写真:上海南京西路にある久光百貨店
写真:上海南京西路にある久光百貨店

以上

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