第09号 2005.1.1発行 by 中村 公省
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 中国の統計は国民経済計算体系(新SNA)へ向けて改革の途上にあるが、2004年は大きく前進を見せ、2005年も引き続き各種統計体制の整備が図られる見通しである。12月20-22日、北京で開催の全国統計工作会議における李徳水国家統計局長の講話(http://www.zgxxb.com.cn/paper/2808/2808-5-01.htm)を読むと、改革には二つの焦点があるように見える。 


12月20-22日、北京開催の全国統計工作会議
http://www.chinanews.com/news/2004/2004-12-20/26/518889.shtml

 ひとつの焦点は、全国経済センサス(「全国経済普査」)を中心とする動態である。
 この経済センサスは、従来個別に実施されてきた経済関係の三つのセンサス(工業センサス、第三次産業センサス、基本単位センサス)と未実施の建築業センサスとを統合実施すると同時に、個人経営工商業者(「個体工商戸」)をも調査対象にするという大掛かりな調査である。
 「経済センサスの目的は、わが国の第二次産業、第三次産業の発展規模、構造、効率などの状態を掌握し、健全な基本単位の名簿及びそのデータベースシステムを構築し、国民経済発展計画を研究制定するための方策・管理水準を向上する基礎を定めるところにある。」(《全国経済普査条例》第2条)
 「経済センサスは五年ごと実施し、センサス年の12月31日を標準時点とする。」(《全国経済普査条例》第7条)
 第1回全国経済センサスは2004年12月31日を期して行われるところから、国家統計局は2004年はこの準備に追われ、2005年はその集計に精力を集中する。この工作においてデータをありのままに申告書に記入してもらえるかどうか、李徳水局長があげている「三つの突出問題」は我々にとって大層興味深い。                
@ 一部の企業、特に中小企業と個人営業者は経済センサスの意義に対して認識不足がゆえに、疑問を抱き、協力しない。
A 一部地方の統計担当部門は経済センサスの結果が地方の統計年報のデータと大きな開きが生じることを懸念しており、一部の地方政府に至っては、地方統計局職員に人為的にデータを改竄するように求めることさえある。
B いくつか地方、特に貧困地区の末端にあるセンサス機関の経費の調達が困難である。
 このうち、Aが中国統計の積年の宿痾である。これに対しては、断固として懲罰するだけでは始末が付かない。統計データは時間的、構造的な整合を必要とする後処理の問題を抱えている。李徳水局長は噛んで含めるように諭さずにはおれない。
 いわく。「経済センサスの結果が歴史的なデータ、地方の統計年報のデータと一致しないことは、正常なことである。経済センサスの目的は経済発展過程の実際の状況を反映することにある。この問題に対し、国家統計局は対処方法を策定中で、適切な時期に統一的に解決することになっている。経済センサスのデータを登録し、とりまとめる段階では、いかなるセンサス機関と調査員も勝手にデータを改竄することは許されず、ましてやセンサスの対象となる人に対して虚偽の申告をするよう指図することは断じて許さない。」
 ところで、統計改革のもうひとつの焦点は、実情を客観的に反映していない地方の統計データの改革である。この問題については、『キーナンバー』「地方のGDP」(第03号2004.7.7発行)及び「地方の一人当たりGDP」(第05号 2004.8.31発行)で具体的に取り上げたことがあるが、要するに「役人が数字をつくり、数字が役人をつくる」という中国社会主義特有の統計メカニズムの問題である。
 国家統計局は地方統計に含まれている問題を正確に認識しており、2004年の年初来その是正に取り組んできた。       
@ 地方の1人当たりGDP算出で、戸籍人口ベースの計算を廃止し、定住人口ベースの計算を採用するようにした。
A GDPデータ発表時期を改め、各省、区、直轄市の統計局による通年GDPの概算データは、翌年1月15日以前には発表してはならないようにした。
 これらに加えて2005年はさらに、1月1日より国民経済の算出法を全国的に統一し、各地域による独自のGDPデータ発表を廃止することにした。具体的には、以下のような方策が打たれた。        
@ 地方GDP算出法を規範化する。
A 地方GDPデータに対する合同審査制度(「地区GDP聯審制度」)を確立する。
B 農業、工業、建築業、流通業、飲食業の主要統計データ算出法をさらに規範化する。
C 各省GDPデータを、合同審査後に国家統計局が法定データとして統一発表する。
D 将来的には、国家統計局による統一計算の後に、各省(自治区・直轄市)に振り分ける制度(「地区GDP下算一級制度」)を段階的に確立する。
 合同審査制度(「地区GDP聯審制度」)とは、国家統計局国民経済計算司と各省統計局長とが数字を逐一検討し、一省一省が計算と照合を行い、連携比較して、誤差と重複統計を削除する、というものらしい。2004年7月発表の2004年上半期GDP計算では、国家統計局は、山東、広東、浙江、江蘇など10数省の統計局長と合同審査した結果、約2.1%の成長率の「虚高」が修正されと報じられている。(http://www.ce.cn/new_hgjj/guonei/zhbd/200412/22/t20041222_2637042.shtml
「村が郷を騙し、郷が県を騙し、騙し騙して国務院を騙す」(村騙郷,郷騙県,一直騙到国務院)という名言を裏返して言えば、国務院が一級行政区の省(自治区・直轄市含む)の首根っこをようやくつかんだ段階にある。

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