第13号 2005.5.10発行 by 中村 公省
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 2003-2004年版外資企業トップ500の中の日本企業が出資している日系企業トップ10を割り出して、業態を調べて一覧表にしたのが、表1である。


 表1 2003-2004外資企業トップ500社中の日系企業トップ10
2003年
日系企業ランク
2003年500社 2002年500社 2001年500社 本社 現地法人名 形態 所在地 業種 売上額
(万元)
1 13 11 15 本田技研工業 広州本田汽車㈲ 合弁 広東省広州市 乗用車の生産・販売 2,233,092
2 18       日産自動車 東風汽車㈲ 合弁 十堰市 日産ブランドの乗用車、東風ブランドのバス、トラック、小型商用車などの製造・販売 1,326,701
3 44       三菱自動車 東南(福建)汽車工業㈲ 合弁 福州市 自動車の製造・販売 825,278
4 50 146    松下電器産業 松下電器(中国)㈲ 独資 北京市 中国における統括会社 777,944
5 55       豊田通商 豊田通商(天津)㈲ 独資 天津市 貿易業、中国国内販売 717,976
6 63 85 136 本田技研工業 東風本田発動機㈲ 合弁 広州市 乗用車用エンジン、オートマティック・トランスミッションの製造・販売 655,411
7 64 393    ソニー 索尼(中国)㈲ 独資 北京市 中国における統括会社 654,220
8 67       三井物産 広州日宝鋼材製品㈲ 合弁 広州市 鋼材の加工・販売 636,568
9 71      トヨタ自動車 天津一汽豊田汽車㈲ 合弁 天津市 乗用車の製造・販売 594,125
10 88 48 33 エプソン 愛普生技術(深圳)㈲ 独資 深圳市 プリンターの一貫生産 517,057
(資料)中国商業部発表データをもとに21世紀中国総研作成


 1. 日系企業トップ・ホンダの躍進
 トップは前年と同様に広州本田が占めている。前年の136億元から223億元に63.8%売上げを伸ばした。広州ホンダは撤退したプジョーの広州工場を買い取る形で1998年に設立された合弁会社で、第1号車は翌99年3月、車種は中高級車「アコード」で、年産5万台態勢でスタートした。独自の販売網とサービス態勢が消費者ニーズを捉え注文が殺到、生産が追いつかない状態が続いた。顧客層は経済成長の波を乗り越えてきた若い企業家たちといわれる。2000年12月累計3万台、2001年12月5万台、2002年3月10万台、2003年6月20万台、2004年3月30万台を達成した。その間、「オデッセイ」(2002年4月)「フィットサルーン」(2003年9月)等の新機種も順次投入して、フォルクスワーゲンの独壇場であった自動車市場を切り崩した。資本金11.6億人民元(162億円)、合弁期間30年、従業員4260余,占地面積60万平方米、生産能力24万台。
 乗用車用エンジン、オートマティック・トランスミッションを供給する東風本田発動機は日系6位(500社全体で63位、以下「全」と略称)にある。オートバイではニセモノづくりの中国企業を取り込んだ新大洲本田摩托が2002年に一躍、日系170位(全140位)にノミネートされて人を驚かしたが、同社は2003年日系30位(全180位)に後退した。1992年設立のオートバイの古巣・五羊・本田摩托(広州)のほうは日系55位(全295位)にある。
 ホンダは急速に拡大、変化する中国市場に対応するため、武漢に本田東風汽車を設立してSUV車のCR-Vの生産を始め(2004年4月)、さらに広州の輸出専用生産拠点・本田汽車(中国)が2005年5月に稼動した(中型車フィット)。北京には地域本社機能を持った本田技研工業(中国)投資有限公司を設立し、四輪車、オートバイ、汎用エンジンの三部門を統括する体制を築きつつある。ホンダが遠からず外資企業トップ500のベストテン入りするのを予言し得る。なお、本田は中国語でベンディエンと発音するが、これではグローバル・ブランドとして支障があるということで、中国市場で今後、HONDAブランドの定着を図ろうとしている。


 2. 2002年と2003年との日系企業トップ10の変動
 次いで、トップのホンダを除いて、2002年と2003年との日系トップ10の変動を見てみよう。(表2)


 表2 2003年日系トップ10と2002年日系トップ10の比較
2003年日系トップ10
順位 本社 現地法人名 2002年
売上高
(万元)
2003年
売上高
(万元) 
伸び率
(%)
1 本田技研工業 広州本田汽車㈲ 1,363,173 2,233,092 63.8
2 日産自動車 東風汽車㈲    1,326,701   
3 三菱自動車 東南(福建)汽車工業㈲ 476,909 825,278 73.0
4 松下電器産業 松下電器(中国)㈲ 397,794 777,944 95.5
5 豊田通商 豊田通商(天津)㈲    717,976   
6 本田技研工業 東風本田発動機㈲ 414,800 655,411 63.0
7 ソニー 索尼(中国)㈲    654,220   
8 三井物産 広州日宝鋼材製品㈲    636,568   
9 トヨタ自動車 天津一汽豊田汽車㈲    594,125   
10 エプソン 愛普生技術(深圳)㈲    517,057   

2002年日系トップ10
順位 本社 現地法人名 2002年
売上高
(万元)
2003年
売上高
(万元)
伸び率
(%)
1 本田技研工業 広州本田汽車㈲ 1,363,173 2,233,092 63.8
2 エプソン 蘇州愛普㈲ 580,100        
3 三菱自動車 東南(福建)汽車工業㈲ 476,909 825,278 73.0
4 村善 大連春山食品㈲ 469,100        
5 キヤノン 佳能珠海㈲  428,400        
6 東芝 大連東芝電視㈲ 420,400 370,000 -11.9
7 本田技研工業 東風本田発動機㈲  414,800 655,411 58.0
8 松下電器産業 松下電器(中国)㈲  397,794 777,944 95.5
9 シンワ 信華精機㈲ 387,400 367,393 -5.1
10 松下電器産業 中国華録・松下電子信息㈲ 374,700 328,297 -12.3
11 松下電器産業 北京松下彩色顕象管㈲ 372,000 392,095 5.4

 日系第2位(全18位)は日産出資の東風汽車、第3(全44位)は三菱自動車が台湾の中華汽車を介して出資し包括提携している東南(福建)汽車であり、第9位(全71位)には天津一汽車豊田汽車が入ってきている。ホンダの2社を合わせれば10社中5社が乗用車メーカーである。2002年日系トップ10には乗用車メーカーはホンダの2社しかおらず、松下電器3社をはじめとする電気機器7社によって占められていたことを勘案すると、日本の対中直接投資が電気機器メーカー中心の時代から自動車組立メーカーを牽引車にして展開される時代になったことを印象付けられる。
 2003年7月1日に操業を開始した東風汽車はむろんランキング初顔である。2003年は132億元(1856億円)であったが2004年には170億元(1378億円)を売り上げている。2007年までの中期事業計画では乗用車と商用車の合計販売台数を2003年の2倍に当たる62万台とする計画で、2007年総売上高は800億元(1兆1000億円)の目標が立てられているから、近くさらに上位に進出してこよう。
 東南(福建)汽車は直接には台湾中華汽車の合弁であるが、三菱自動車が包括提携して三菱車のランサー、シャリオ・グランディス、デリカなどを生産している。同社は2002年ランキングでは日系3位(全57位)であったが、2003年に売上げを47億6909万元から82億5278万元と73.0%も伸ばした。三菱自動車には他に日系49位(265位)の瀋陽航天三菱発動機製造があり、ここでは乗用車エンジンとトランスミッションを製造している。
 自動車と密接に関連しているのが豊田通商である(日系5位、全55位)。同社はトヨタ自動車及びトヨタ系列の自動車機器メーカー、部品、素材メーカーを流通面からバックアップするとともに、トヨタ自動車の販売サービス拠点を中国全土に広げている。日系78位(全451位)のハルビン華通豊田汽車服務がそのディーラーの一つである。トヨタ自動車の行くところ豊田通商ありで、四大商社を押しのけての堂々のランキング初登場である。
 ところで、電気機器では2003年は、松下電器の統括会社・松下電器(中国)が日系4位(全50位)、ソニーの統括会社・索尼(中国)が日系7位(全64位)、エプソンの深圳工場・愛普生技術(深圳)が日系10位(全88位)に位置している。
 松下電器(中国)は、資本金6億3300万元(88億1370万円)、従業員約800人。2002年12月に独資化して以後、松下電器(中国)は在中現地法人各社の完全子会社化に余念がない。松下の在中現地法人64社の資本金構成を見ると、いまや独資(100%出資)が30社、51%以上の支配権を制した子会社が30社を占め、ほとんどの在中現地法人が子会社化している。この再編成を通じて意思決定の迅速化、効率化を図り、松下電器(中国)は2003年は前年売上げ39億7794万元を77億7944万元へと95.5%伸長させた。
 しかしその一方で、松下電器の大連のビデオ、ビデオCD、DVD基幹工場・中国華録・松下電子信息が2002年には日系10位(全171位)にあったが売上げを12.3%落として日系29位(全217位)に低下し、また日系11位(全134位)にあった北京松下カラーブラウン管も日系18位(全131位)に退いていることは見逃せない。中国地場メーカーは「後発の優位性」を享受しており、世界の最先端技術をいち早く導入して自家薬籠中のものとして現地化に成功しているが、日系電気機器メーカーはそうした中国市場の動態に対応し切れていないところがある。現に大連東芝テレビも大連でカラーテレビ21~34型、デジタルテレビ、プロジェクションテレビ、プラズマテレビを製造しているがテレビ市場の急激な変化への対応に遅れをとって売上げをダウンさせた(―11.9%)。順位は2002年日系6位(全77位)から2003年日系21位(全147位)と下降した。
 松下電器(中国)の統括下にある現地法人で外資トップ500に選定されているのは10社あり、上記3社のほかにメーカーで4社、販社で3社が数えられる。メーカーは、日系14位(全108位)携帯電話の北京松下普天通信設備、日系41位(全216位)エアコンの広州松下空調器、日系52位(全284位)エアコン用コンプレッサーの松下・万宝(広州)圧縮機、日系80位(全457位)カラーテレビ、各種映像設備である。また、販社は、インダストリー関連商品の販売及びサービスを行っている深圳、上海、天津の松下電器機電である。それぞれの順位は日系13位(全99位)、日系51位(全274位)、日系79位(全456位)である。中国外資企業売上高トップ500中の松下電器産業投資企業10社の売上総額は、345億4107万元(4833億2957円)に達する。
 日系7位(全64位)索尼(中国)はソニーの中国の持ち株会社であり、ソニー製品の販売にも携わっている。販売商品は、主にソニー中国現地法人の製品である平面ブラウン管テレビ、背面プロジェクトテレビ、ビデオカメラ、ビデオデッキ、コンポ、DVD再生機、デジカメ、ノートパソコン、リチウム電池などで、全国主要都市に16分公司、14事務所を配している。ソニーブランドは中国でハイアール、パナソニックと並んで認知度の高い三大ブランドとなっていて、2003年初ランクインで34億9010万元(488億2650万円)の売上げを計上した。
 ソニー(中国)の統括下にある現地法人で外資トップ500に選定されているのはメーカーが3社、販社が1社ある。日系25位(全159位)の上海索広電子8ミリビデオ、メカデッキ、デジカメ、光ピックアップを製造する。日系62位(全340位)の索尼愛立信移動通信用品(中国)はエリクソンとの折半のソニー・エリクソンの子会社であり携帯電話のメーカーである。日系67位(全399位)の索尼精密部件(恵州)は光ピックアップ D V D 、L-L C Dを製造する。そして日系73位(全417位)の索尼国際采購(深圳)は中国部品の購入販売、モジュール品の加工販売をしている。
 さて、一方では2003年のトップ500社に社名を見つけることが出来ない会社もある。2002年に日系2位(全42位)にあった蘇州エプソンと日系4位(全73位)であったキヤノン珠海、日系3位の食肉の大連春山食品〔村善出資〕、日系9位のオーディオ用カセットデッキ、CDの信華精機〔シンワ出資〕が、そうした現地法人である。

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