第15号 2005.7.1発行 by 中村 公省
    第11次5カ年計画 <目次>へ戻る
 中国は市場経済に向かっており、もはや計画経済ではない。5カ年計画の地位は著しく低下して、中期目標を明確にして将来ビジョンを描き、内外のコンセンサスを得ることに主眼が移っているが、共産党が主導する社会経済発展政策の中では、なお大きな役割をはたしている。第10次計画(2001-2005年)に続く第11次計画(2006-2010年)は、2005年秋に開催予定の中国共産党中央委員会総会で党の方針が決まり、2006年春開催予定の全国人民代表大会で国家計画として正式に決定をみる。
 そこで、中国の経済社会発展の中期展望を得るために、国務院経済研究センターがまとめた「第11次5カ年計画の考察と2020年長期目標研究」の中枢部をそのまま翻訳紹介してみよう。


 表 第11次5カ年計画から2020年の経済成長シナリオ
シナリオ    2000-2005年 2006-2010年 2010-2015年 2015-2020年
1.基準発展シナリオ 8.70% 8.10% 7.50% 7.80%
2.協調発展シナリオ 8.70% 8.50% 8.20% 7.70%
3.リスキーなシナリオ 8.70% 7.50% 5.80% 4.80%
(資料)李善同、侯永志、何建武「“十一五”至2020年経済増長前景」



 1. 中期展望に当っての諸問題
 第10次5ヵ年計画期(2001~2005年)の年平均GDP成長率は、第9次5ヵ年計画期(1996~2000年)の8.3%を超えた。2005年の1人当りGDPは1300米ドル以上になる見込みである。
 これから5年ないし15年の間に我々が直面する問題には次のようなものがある。
  ①資源と環境の制約が強まっていること。
  ②盲目的投資、低レベルの拡張などが露呈していること。
  ③社会事業の停滞による矛盾が先鋭化していること。
  ④地域間の協調発展が厳しい状況にあること。
  ⑤外部経済環境の不確定・不安定要因が増大していること。
 これらの条件及び矛盾は、将来を展望する立脚点である。


 2. 向こう5~15年の基本任務
 2020年までに全面的小康社会を築くために、経済成長パターンを転換し、全面的、協調的、持続的発展の実現に努力する。向こう5~15年の基本任務は二段階に分けられる。
 第一段階=2006~2010年。
 経済成長パターンを変える。国民生活は初歩的な小康からゆとりのある小康に達する。1人当りGDPは下位中所得国のレベルが上がり、都市化率が上昇し、農業労働力の比重が低下し、都市と農村の二重経済構造の転換が進展する。
 第二段階=2011~2020年。
 二つの5カ年計画を経て、基本的に工業化の基礎の上に、経済成長パターンを実質的に変化させる。一人当たりGDPは中位中所得国になる。都市化率が著しく高くなり、低レベルで、非全面的、不均衡な小康状態は著しく改善され、都市と農村の二重経済構造の転換は大きく進展し、総合国力がレベルアップする。


 3. 発展の将来展望


 (1)経済の中長期的成長の潜在力は依然として巨大である。
 向こう5~15年間、中国の経済成長は年平均7~8%の成長を保つ可能性が高い。
中国には巨大な市場の需要と発展の空間があり、十分な発展要素がそなわっている。個人の消費構造は温飽(食える状態)から小康(まずまずの状態)にレベルアップし、新たな最終需要が生み出される。産業の高度化は、旧来の需供バランスを崩し、新たな成長空間を広げる。都市化が急速に進展し、投資需要と消費需要が急速に拡大する。改革開放の深化は経済活力を誘発し、資源配分を効率化する。生産要素間の組み合わせに有利で、経済成長は内発的で余裕があって、市場の巨大さ、労働力の豊かさ、個人の貯蓄水準の高さで突出している。これらは中国経済が持続的に発展する内在的な根拠であり、中国経済を国際競争の中で有利な位置に立たせるであろう。
 (2)投資と消費の関係は次第に合理的に調整され、国民は経済成長の中で実益が得られる。
 投資と消費の関係を変化させる主要な要素は以下のごとくである。
個人所得水準が向上し、消費構造がレベルアップし、需要が消費空間を拡大する。貯蓄率が高く、高度な投資率を支えている。中国は工業化中期にあり、第二産業、とくに重化工業比率が安定的に高い。都市化の加速期及び第三産業発展の前期・中期には、投資需要が第二産業で非常に大きい。第11次5カ年計画期間、投資率は安定的に下がる可能性があるが、消費率、とく個人消費率は次第に上昇するであろう。2011~2020年には引き続き投資率と消費率の合理的な変化が促される。投資と消費の関係が合理的に変動するなかで、都市と農村の一人当たり所得は持続的に伸び、エンゲル係数はさらに下がり、国民の生活水準が上がり、生活の質が一層改善される。
 (3)工業化を段階的に実現し、都市化水準を高める。
 これは中国が全面的小康社会を建設する二つの重要な目標であり、伝統的な二重構造経済を現代的経済構造に切り替える指標でもある。2020年まで基本的に工業化を実現するための主要判断基準は以下の通りである。
 第1に、農業労働力の比重が著しく低下し40%以下になるのが望ましい。
 第2に、産業構造を中所得国家のレベル(第1次産業10%:第2次産業40%:第3次産業50%)に近づける。
 第3に、農業機械化レベルを高める。
 第4に、電子情報産業を国民経済の支柱産業の一つとする。
 向こう15年間、都市化は少なくとも改革開放以来の年平均0.9%を維持するであろう。都市化水準は2010年に46%(2001年の中位低所得国レベル)、2020年に55%(2001年の中所得国家を超える)に達する見込みである。各地区の都市化水準の向上に伴い、地域間格差の拡大傾向が緩和するであろう。
 (4)経済成長パターンの転換で大きな進展を勝ち取るべきである。
 向こう5~15年間、各種改革の深化と技術進歩に伴い、中国経済の成長パターンは粗放型から集約型へと転換し、いっそう有利な体制的条件と物質的技術基礎を備える。しかし、任務は依然として極めて困難である。体制的欠陥のほか、経済発展段階がもたらす客観的要素の制限がある。われわれは、技術革新と制度のイノベーションに力を入れ、経済成長パターンの転換を促進し、第11次計画期内に著しい進歩をもたらすように努力し、2001~2020年には重大な進展を勝ち取り、資源環境の制約を突破しなければならない。第11次計画期及びさらに長期の絶えざる努力で、経済成長の科学技術依存度、質量及び効率は大きく高まり、経済成長の持続力も強化されるであろう。
 (5)人的資源を開発すべきである。
 低出産水準を引き続き維持し、人口数をコントロールする。これを前提にして、人口資質を向上し、人的資源開発に力を入れ、人的資源の豊かさを優勢にして、将来社会発展の戦略重点にする。第11次計画期に、人口資質を向上させるように努め、教育・衛生資源の公平配分を高め、全国の教育年限を発展途上国の先進レベルにもってゆき、全員が基本医療衛生サービスを受けられるようにする。2020年までは、人口資質を著しく向上させ、高等中等教育を普及し、学習型社会を築くために多層多様の教育システムを提供し、都市と農村の住民とも高いレベルの医療衛生サービスが受けられ、ヒューマンディペロップメント指数が現在の上中等発展水準から高発展水準に上がるように努める。
 (6)社会の調和程度を向上しなければならない。
 調和社会の建設は経済発展レベルの制限を受けるため、異なる発展段階ごとに目標を定め、既存の物的基礎の上に重点を公共資源配分に置くべきである。まず、現在の農村貧困人口を温飽(食える状態)にし、有効な貧困対策メカニズムをうちたてる。次に、都市と農村の経済発展水準、異なる特徴に適応する社会保障システム、とりわけ整った老人保障と社会救済制度を築き、次第にそのレベルを高める。また、中間所得層を明確に拡大し、所得格差を調整するための再分配方法を徐々に整えるべきである。最後に、各種の新たな社会矛盾及び要求について有効な解決と適切なリード、異なる社会階層と利益集団(特に社会的弱者)がともに、平等に願望を述べ、公共事業に参加できる機会を享受できるようにする。
(国務院経済研究中心課題組「“十一五”規画思路和2020年遠景目標研究」より抄訳)

このページの上へ <目次>へ戻る