第21号 2005.12.26発行 by 中村 公省
    外資企業トップ500社2005年版 <目次>へ戻る
 外資企業トップ500社2005年版が、昨年より1カ月早く、2005年12月初めに発表された。2004年売上高によって、中国にある外資系企業をランキングしたもので、2004-2005年版とも称されている。外資企業トップ500社については、「キーナンバー」第10号(2005.2.1発行)で2004年版を分析してあるので、贅言は避けて、2005年版500社のトップ10の初歩的分析を急ごう(トップ25をまとめた表1参照:クリックすると新しいウィンドウが開きます)。
 
(1)中国経済を牛耳る台湾IT企業
 2005年版の一番のトピックスは、2004版トップの上海フォルクスワーゲンが6位に転落して、台湾系の鴻富錦精密工業(深圳)有限公司(2004年版2位)がトップに踊り出たことであろう。
 鴻富錦精密工業は台湾最大のパソコン周辺機器メーカー・鴻富集団の大陸投資会社富士康集団(FOXCONN)傘下の主力工場である。富士康は主にコネクターやベアボーン(ケース)などのパソコン部品や携帯電話部品をアップル、デル、ソニーなどの組立メーカーのために受託生産しているEMS(電子製品受託製造サービス)である。鴻富錦精密工業は深圳に1998年設立、資本金1200万ドルだが、2004年の売上額は1兆円に及ばんとしており(716億元、約9300億円)、対前年度増加額は2003年41.9%、2004年30.6%という超高度成長がつづいている。
 同じく台湾の達豊(上海)電脳有限公司も5位につけている(2004年版4位)。達豊(上海)電脳は世界最大のノートパソコンEMSの広達集団(QUANTA)の旗艦工場であり(2000年12月設立、1.7億ドル)、第17位の達功(上海)電脳有限公司も同集団に属する。広達は大陸でHP、デル、NECなどの受託生産をして、世界のノートパソコンの3割を一手に製造している。2004年版では前年比50倍の驚異的な伸びでランキングに初登場したが、2005年版は伸び悩み前年比マイナスに甘んじた。
 鴻富錦精密工業と達豊(上海)電脳の2社は、実は2004年中国輸出企業ランキング第1、2位に並ぶ中国最大の輸出企業でもあり、両社の売上げの大半は、輸出に依存している(『中国情報ハンドブック』2005年版p.468)。同じことは、2005年版外資企業2位、4位にある米・モトローラーの摩托羅拉(中国)電子有限公司、米・IBMの長城国際信息産品(深圳)有限公司についてもあてはまり、2004年中国輸出企業ランキングで摩托羅拉(中国)電子は3位、長城国際信息産品(深圳)は4位に位置している(なお2005年版外資企業3位にある米・HPの上海惠普有限公司、第13位にある米・デルの戴爾(中国)有限公司も同類と見られる)。
 改めて表1の第1位から第5位までを見てみよう。すべてがパソコン、携帯電話がらみで、いわゆるIT(情報技術)ハード製造企業である。中国産業を輸出が主導し、その輸出を外資系IT企業が主導しているが、2005年版ランキングには、そのIT企業の核心が台湾系受託製造企業であるという図式が鮮やかに示されている。
 
(2)自動車メーカーの巨大・未成熟市場競争
 2005年ランキングの第6位から第8位には、自動車組立メーカーガ並んでいる。第6位(前年3位)、独・フォルクスワーゲンの一汽大衆汽車有限公司、第7位(前年1位)独・フォルクスワーゲンの上海上汽大衆汽車銷售有限公司、第8位(前年6位)、米・GMの上海通用汽車有限公司である。第10位以下にも目をやると、日本のホンダ、日産が顔を出している。第11位(前年13位)広州本田汽車有限公司、第12位(前年18位)東風汽車有限公司である。
 サンタナの上海大衆汽車の凋落は、「キーナンバー」第10号(2005.2.1発行)で予言したように、欧米日有力メーカーの中国進出でかつての市場独占を維持できなくなったことの反映である。独・フォルクスワーゲンが中国ナンバーワンの第一汽車とジョイントした一汽大衆汽車有限公司(アウディ、ゴルフ等)、米・GMと上海汽車との合弁・上海通用汽車有限公司(ビュイック、セイル等)の上昇も予想の範囲内である。
 しかし、2004年の中国自動車市場は予想外の異変が生じた。年初にモータリゼーションの到来を告げる活況を呈していた市場が、4月のマクロ経済引き締めをきっかけに一転して停滞したことである。中国で生産される自動車は2004年時点では国内需要がほとんどで、輸出が占める割合は極小であったため、引き締めの影響をもろにこうむった。原因については諸説あるが(丸川知雄、高山勇一編『新版 グローバル競争時代の中国自動車産業』第1章第1節参照)、ともかく乗用車販売が一頓挫して、2005年ランキングでは自動車企業が第6-8位に甘んじ、輸出企業が第1-5位を独占する結果となったと考えられる。
 しかし、2006年版は事情が異なるであろう。中国で生産される自動車が欧米に本格的に輸出され始めて、自動車産業が輸出産業でもあるという状況が出現しているところから、自動車企業がベスト5に入って来るであろう。2005年に第11位にある広州本田汽車は国内販売と急増する輸出販売をあわせて、いよいよトップ10入りすることが予測される。
 なお2004年ランキングの第41位にあった韓国・現代自動車出資の北京現代汽車有限公司が2005年版で第23位に急上昇している(対前年伸び率98%)ことも注目される。中国乗用車市場では価格引き下げ競争が始まっており、外資乗用車の中では比較的低価格帯のヒュンタイが健闘し得ていると思われる。
 
(3)製造から販売へ―――小売チェーン店の台頭
 2005年外資ランキングの第10位の華潤万家有限公司は、前年214位にあったものがなんと10倍売上げを伸ばして一躍トップ10に踊り出たものである。華潤万家は英語名CHINA RESOURCES VANGUARD Co.Ltd.で、香港の華潤集団出資の小売業チェーンストアである。大型総合スパー、生活スパー、コンビニの三種類の業態で、香港、広東、浙江、江蘇、天津、北京などに476店舗を展開し、従業員1万6000人を雇用している。
 2005年外資ランキング中の小売業には、ほかに上海上汽大衆汽車銷售有限公司を除外して、無店舗販売の米・アムウェイの安利(中国)日用品有限公司(広州市)がいる。前年33位だったものが56.7%売上げを伸ばして22位に上昇した。
 外資に小売業が開放されて、外資系チェーンストアの台頭が著しいことは「チエーンストア売上げトップ30」(第11号 2005.3.1発行)でも伝えたが、その「中国商業チェーンストア売上トップ30(2004年)」には、15位華潤万家有限公司の前に、5位仏カルフール、7位蘇果超市(華潤万家が買収)、13位台湾の好又多、14位米ケンタッキーフライドチキンがノミネートされていた。また、華潤万家有限公司の後には20位米ウオルマート、21位タイCP、23位独メトロの中国法人がランクインしていた。調査主体が違い、調査方法が異なるためか、外資ランキングのほうにはこれらの会社はあがっていないが、チェーンストア隆盛は紛れもないことである。今後の外資ランキング中に小売業が増加するであろうことは間違いない。
 
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