第27号 2006.6.1発行 by 中村 公省
    中国進出日系外資企業の挫折率 <目次>へ戻る
 1987年以来2005年までに中国商務部が認可した日系企業の中国進出件数を累計すると、3万5124件となる。しかし、この数字は中国に存在する日系外資企業の実数とは異なる。認可されても設立に至らなかった案件もあるし(契約額と実行額の差がそれを表す)、設立しても途中で倒産・撤退したものも、契約期間が切れて営業を終了した企業もある。実数のほうは、中国の中央、地方の工商行政管理局が毎年、検査している登記データに拠らなければならない。その外資登記企業数の推移を見たのが、表1と表2である。

表1 日系外資企業登記数と継続率の推移
登記企業数(社)
〔A〕
資本金総額
(万ドル)
うち外資出資
資本金額(万ドル)
累積認可件数
〔B〕
継続率
〔A/B〕
1994 9,840 1,265,575 771,618 10,314 95.4%
1995 12,447 2,082,036 1,360,557 13,260 93.9%
1996 13,895 2,824,055 1,927,636 15,002 92.6%
1997 14,447 3,047,761 2,010,424 16,404 88.1%
1998 14,495 3,242,074 2,203,687 17,602 82.3%
1999 13,899 3,207,520 2,204,864 18,769 74.1%
2000 14,282 3,715,794 2,534,059 20,383 70.1%
2001 15,164 4,078,417 2,754,238 22,402 67.7%
2002 16,236 4,094,385 3,011,097 25,147 64.6%
2003 18,136 5,186,707 3,863,481 28,401 63.4%
2004 19,779 5,674,068 4,301,223 31,855 62.1%
2005       35,124  
(資料)『中国対外経済統計年鑑』、各年版

表2 各国系外資企業登録数と継続率の推移
登記企業数(社)〔A〕
世界 香港 台湾 米国 日本 韓国
2000 180,606 100,134 24,583 18,283 14,282 9,559
2001 178,801 92,616 25,017 18,821 15,164 11,027
2002 208,056 90,046 25,613 19,389 16,236 13,010
2003 226,373 93,081 26,938 21,193 18,136 16,407
2004 242,284 95,778 27,386 22,445 19,779 18,760

累積認可件数(件)〔B〕
世界 香港 台湾 米国 日本 韓国
2000 363,889 205,323 46,624 31,311 20,383 15,291
2001 390,029 213,331 50,838 33,917 22,402 18,200
2002 424,200 224,176 55,691 37,280 25,147 22,208
2003 465,581 237,809 60,186 41,340 28,401 27,128
2004 508,941 239,228 64,188 45,265 31,855 32,753

継続率(%)〔A/B〕
世界 香港 台湾 米国 日本 韓国
2000 49.6 48.8 52.7 58.4 70.1 62.5
2001 45.8 43.4 49.2 55.5 67.7 60.6
2002 49.0 40.2 46.0 52.0 64.6 58.6
2003 48.7 39.1 44.8 51.3 63.4 60.5
2004 47.6 40.0 42.7 49.6 62.1 57.3
(資料)『中国対外経済統計年鑑』、各年版

 図表1によって日系外資企業の推移を見ると、鄧小平の南巡講話によって対中投資ブームが生じた1994年は1万社近くであったが翌年1万を突破して96年には1万3895社となった。しかし、90年代後半は中国経済が伸び悩んだこともあり停滞して、新規認可案件が97年1402件、98年1167件、99年1167件あったにもかかわらず、在中日系企業数は99年1万3899社で、96年とほとんど変わっていない。この96-99年の間の累積認可数3700件余に相当する企業が、この間に撤退・期限切れになったわけである。
 2000年からはWTO加盟で対中投資ブームが起こり、日本企業の対中新規投資が2千件台(01-02年)から3千件台(03-05年)と連年急増し、2000-2004年の5年間に累計1万3086件新規認可され、全認可件数の4割以上を占めている。しかし、この間に消滅した企業も少なくなく、同じ2000年1万4282社が2004年1万9779社になり、増加数は5497社にとどまる。新規認可増加件数との差は実に7589件(社)にのぼる。
 設立認可を受けたものが実行され、設立登記され、開業し経営運営された結果が毎年、登記検査されているわけだから、毎年の登記企業数を累積認可件数で割った数値(パーセンテージ)を中国進出企業プロジェクトの継続率と言うことが許されるであろう。継続率の反対は挫折率で、100から継続率を差し引くことによって得られる。
 外資企業の継続率を図表1、2で見ると、1994年に94.4%であったものが、連年下がり続け99年には75%を割っている。そして、2000年代にさらに低下して、2004年にはついに60%近くにまで落ち込んだ。中国進出ビジネスはよりリスキーになって、継続率は6割、挫折率は4割となっている。
 日系の中国進出企業の継続率を、主要国別と比較したのが表2である。日系企業を各国系企業と比べると、極めて継続率が高いことがわかる。香港系、台湾系は2004年にはそれぞれ40.0%、42.7%で、挫折率が6割にも及んでいる。各国系とも総じて2000年代に入って継続率を低下させており、全体では半分を割り2004年47.6%で、米国系もこの水準にある。日系についで歩留まりがいいのが韓国系だが、それでも2004年に60%を割っている。
 結論。これまでの中国進出日系外資企業の挫折率は4割である。しかし、中国への各国系企業同士の熾烈な競争、地場企業との生き残り競争の中で、もっと歩留まりが悪くなる可能性がある。中国に新規に進出する場合には、5-6割は当初の目論見が挫折することを覚悟しなければならない。
 なお、巷間流布している中国進出企業経営アンケート調査なるものは、持続・継続している企業、いわば生き残り成功している企業に関する経営データであり、挫折・退出した企業については調査対象外であることに留意すべきである。
  
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