第34号 2007.1.3発行 by 中村 公省
    外資企業トップ500社2006年版 <目次>へ戻る
 旧蝋、恒例の外資企業トップ500社2006年版が商業部から発表された。2006年版は2005年売上高によって、中国にある外資系企業をランキングしたもので、2005-2006年版とも称されている。
 2006年12月6日付『国際商報』によれば、500社の売上額総計は3兆6848.86億元(約49兆7459億円)、対前年比24.1%増、1社平均売上高は73.7億元(約995億円)である。売上額25億元(約337億円)を超える企業が473社あり、前年より100社増加している。
 外資企業トップ500社のうち1割の50社について、21世紀総研事務局が出資社、業種、本社所在地を割り出し、前年との比較を試みたのが別表である(クリックすると新しいウィンドウが開きます)。外資企業トップ500社については、「キーナンバー」第10号(2005.2.1発行)で2004年版を、「キーナンバー」第21号(2005.12.26発行)で2005年版を分析してあるので重複は避けて、2006年版から主要な特徴を析出していこう。
 
(1)第1位、第2位は昨年に続き鴻富錦精密工業(深圳)とモトローラ(中国)電子
 第1位の鴻富錦精密工業(深圳)有限公司は台湾最大のパソコン周辺機器メーカー・鴻富集団の大陸投資会社富士康集団(FOXCONN)傘下の主力工場である。売上額1255.87億元(約1兆6954億円、1元=13.5円で換算)、対前年伸び率75.4%である。2002年版で前年157位から19位に躍り出て以後、2003年版3位、2004年版2位、2005年版1位と順位を上げて、2年連続してトップの座をキープした。
 第2位の摩托羅拉(中国)電子有限公司は天津の米モトローラの持株会社で、中国に3独資、5合弁、16研究所を展開し、携帯電話、トランシーバー、無線通信設備などを製造・販売している。2003年版1位、2004年版5位、2005年版2位、2006年版2位とトップグループの地位を安定的に確保し、2006年売上は736億4693万元(約9942億3355万円)、対前年伸び率14.2%増である。
 両社の売上は主に輸出に依存しており、中国最大輸出企業ランキングで鴻富錦精密工業(深圳)は第1位、摩托羅拉(中国)電子は第3位の地位にある。
 
(2)東風汽車が新規参入し、上海GM自動車が上昇
 2006年版のトップ10の出資本社は多国籍企業で、第10位の一汽-大衆銷售有限責任公司を除いてすべて製造業企業である。自動車製造業とハイテク(IT)企業が多く、ほかに資源・エネルギーの石油採掘と華能国際電力が顔を出している。
 トップ10には浮き沈みがある。2004年版、2005年版、2006年版のトップ10を対照した表1を見ていただきたい。
 上海通用汽車有限公司(上海GM)がフォルクスワーゲン系の自動車製造・販売会社をかわして、ついに中国における乗用車トップメーカーの地位に着いた。1997年に上海汽車と折半合弁で設立し、2001年版で12位、2002年版で13位、2003年版で8位、2004年版で6位、2005年版で8位と着実に順位を上げて2005年に中国自動車マーケット販売トップに躍り出て2006年版500社ランキングで第4位(自動車メーカーでトップ)となった。中国販売の4大ブランドは、キャデラック(凱迪拉克)、サーブ(薩博)、ビュイック(別克)、シボレー(雪佛蘭)。5年連続して「中国で最も尊敬を受ける企業」に選出されている。
 中国自動車メーカーとしてナンバー2に座ったのが東風汽車有限公司である。東風汽車有限公司は日産自動車が東風汽車公司との包括的、戦略的提携に基づき、2003年に新設した自動車メーカーである。2004年版18位、2005年版13位に位置していたが、2006年版で早くもトップ10入りした。乗用車(ティアナ、ティーダハッチバック、ティーダセダン、サニー、ブルーバード)、商用車(大型、中型、小型トラック、バス等)をフルラインで製造・販売している。本社は武漢にある。
 2006年版ではじめて、トップ10入りした企業がほかに3社ある。
 聯想国際信息産品(深圳)有限公司。これは聯想(レノボ)がIBMと長城計算機合弁の旧・長城国際信息産品(深圳)有限公司を買収し、再編したパソコンメーカーである。デスクトップパソコンを製造するとともにノートパソコンを調達し、世界に向け輸出している。旧・長城国際信息産品(深圳)有限公司は2005年版4位、2004年版4位の地位にあったもので、2006年は売り上げ収入8.1%減で5位に甘んじ、買収効果が発揮できていない。
 華能国際電力股份有限公司。この会社は1994年に外国で上場して資本を調達した北京の火力発電所である。外資500社トップグループの常連で、2002年版8位、2003年版7位、2004年版12位、2005年は15位と経緯して、トップ10にカムバックしたものである。
 英順達科技有限公司。台湾の英業達(INVENTEC)集団の独資上海法人で、OEM(相手先ブランド製造)でノートパソコン、デスクトップパソコンなどを開発・製造している。
 
(3)上海フォルクスワーゲンがトップ10から退場
 フォルクスワーゲン系の自動車製造・販売会社が劇的に落ち込んだ。

  一汽-大衆銷售有限責任公司(販売)   2005年版6位から2006年版10位へ。売上▲19.3%
  一汽-大衆汽車有限公司(製造)     2005年版6位から2006年版13位へ。売上▲23.4%
  上海上汽大衆汽車銷售有限公司(販売) 2005年版7位から2006年版18位へ。売上▲30.8%
  上海大衆汽車有限公司(製造)       2005年版10位から2006年版28位へ  売上▲33.7%

 上海大衆汽車有限公司(上海フォルクスワーゲン)は、この500社ランキングで2000年までは常にトップの地位にあって、その後も2004年トップに返り咲いたが、ついにトップ10から転げ落ちた。長春の一汽フォルクスワーゲンは販売会社が10位に踏みとどまっているが、同業他社の追い上げ急の中でトップメーカーの地位そのものが揺らいでいる。
 IT企業においても2006年版でトップ10から転落した会社が2社ある。

  上海惠普有限公司(上海ヒューレドパッカード)。2004年版8位、2005年版3位であったが、2006年は深く45位に沈んだ(売上高75.2%減)。
  戴爾(中国)有限公司(デル中国)。2004年版10位であったが、2005年版14位、2006年は11位に甘んじた(売上高14.8%増)。

 世界最大のノートパソコンメーカーである台湾IT企業の雄・達豊(上海)電脳有限公司は、2006年版10位内に踏みとどまっているが、かつての勢いはない。2000年12月、台湾広達集団(Quanta Computer)の独資会社として設立、大工場群を擁してデル、アップル、HP、IBM、ゲートウェイ、シーメンス、シャープなどを顧客にOEM(相手先ブランド製造)でノートパソコン、マザーボード、LCD、モニターなどを製造して破竹の進撃をして、3年足らず2002年には中国外資企業輸出企業トップに踊りでた。外資企業500社では、2002年版271位であったが、2003年版28位、2004年一躍4位、2005年5位。それが2006年版は8位に退いた。売上高は363億3024万元(約4904億5824万円)で対前年18.9%減。
 
(4)IT、自動車企業が大勢を占め、サービス企業の台頭も目立つ
 表2は『国際商報』よる業種別分布である。製造業企業が386社、77.2%を占め圧倒的である。これは外資製造企業の基本的パターンが先進的科学技術、高度管理能力、マーケティング手法と中国の安価労働力の組み合わせであることを示している。
 業種は多岐にわたり、産業構造が高度化している。とりわけ自動車、情報(IT)、電子、電力、石油化学、鉄鋼、交通運輸、商業小売など支柱産業、ハイテク産業、サービス業の外資投資企業が逐年増加し、規模が増大している。
 トップ50社を整理した別表を改めて眺めてみると、コンピュータ及びコンピュータ周辺機器や携帯電話、通信にかかわる、いわゆるIT企業が多いことが見てとれる(別表で薄水色のマークしてある)。50社中で23社、半数近くがIT企業である。うち台湾系が10社いて、いずれもOEM(相手先ブランド製造)である。世界一のノートパソコン広達集団はトップ50位に3社、達豊(上海)電脳(8位)、達業(上海)電脳科技(21位)、達功(上海)電脳(23位)が名を連ねている。米国系は4社でモトローラ、デル、シーゲート、HPなどである。韓国系はサムソン、LGの2社。日系はシャープの無錫液晶工場が47位に入っている。ソニーとエリクソンのスウェーデン法人出資の北京索愛普天移動通信(31位)を日系に加えれば2社ということになる。
 これらのIT外資企業はいずれも中国国内市場よりも輸出市場をターゲットにして中国をグローバルな製造拠点としている。23社のIT企業のうち11社が2005年中国輸出企業トップ50にも顔を出して、中国のハイテク製品輸出に貢献している。
 IT企業についで目立つのは自動車メーカー及び販社が多いことで、50社中で9社を占めている。トップ10の上海通用汽車有限(GM)、東風汽車(日産)のほかは、12位広州本田汽車(本田技研工業)、13位一汽-大衆汽車(フォルクスワーゲン)、24位一汽豊田汽車販売(トヨタ)、23位日産(中国)投資(日産)、28位上海大衆汽車(フォルクスワーゲン)29位北京現代汽(現代)、35位天津一汽豊田汽車(トヨタ)である。これら自動車製造・販売各社は、輸出は少なくほとんどがモータリゼーションで活気付く中国国内市場をターゲットにしている。
 2006年外資トップ500社のうちでサービス業は107社、21.4%を占める。2005年版では90社、18%であったからサービス商業企業が年毎に増える趨勢にある。別表のトップ50では、無店舗販売の安利(中国)日用品(米アムウェイ)が41位で、売上159億9233万元(約2158億9645万円)、対前年比8.9%減が目立つ。アムウェイの直販は北京、上海、天津など24省市自治区および大連、青島、寧波など5つの計画単列市に限定されてながら、これだけの実績を上げている。
 外資500社ランキングにおけるサービス業の台頭はWTO加盟後の開放と関連している。2004年12月11日に外資小売企業の地域、数量、出資比率などの制限が撤廃され、2005年中1027社の外資商業企業が認可されたから、2006年にはこれらの外資がランキングのより大きく食い込んでくるであろう。卸売では2006年版にすでに日本商社の現地法人がノミネートされている(三菱商事408位、豊田通商418位、伊藤忠商事466位、住友商事482位)。
 
(5)三大集積地は広東省126社、上海市95社、江蘇省84社
 『国際商報』報道によって本社の所在地別を見たのが表3である。
 上海市には2005年12月時点で世界トップ500社に名を連ねる企業の地区総部151社が存在していて、これらの企業の業績が反映している。上海市、江蘇省、浙江省を合計した華東地域は199社であり、広東省を上回る。長江デルタのホットポイントである蘇州市には52社、南京市には13社、杭州市には10社、無錫市には9社が集中している。ちなみに新興集積地としてIT企業の台頭著しい杭州の外資500社企業を表4として一覧にしておこう。
 東部、中部、西部の分布では、東部が圧倒的で451社、90.2%を占める。中部は34社、6.6%で、うち湖北省8社がノミネートされている。西部は15社、3.3%で、うち重慶が4社を占める。3地区の比率は外資投資企業数と符合している。復興が叫ばれている東北地域は遼寧省14社、黒龍江省3社、吉林3社である。
 
(6)日系企業トップ4は自動車が独占、携帯電話は見る影なし
 外資企業の出資国・地域は、30数国・地域に分布している(表5参照)。そのうち、『国際商報』報道では香港投資企業が118社でトップ。ついでバージン諸島78社、日本76社で2、3位。大陸別ではアジア周辺国家・地域の投資企業が284社、56.8%、欧州が54社、10.8%である。英領バージン諸島が78社と多くを占めているが、税金が割安のタックスヘイブンで、その多くが直接投資を制限されている台湾企業が迂回投資に使っていることは言うまでもない。ケイマン島、モーリシャス、バミューダなども同類である。なお、投資性公司とは外資が中国に設立した持ち株会社である。
 ところで、日系企業は21世紀中国総研の調べでは92社ある。香港やバージン諸島などを迂回した投資、外国会社との共同投資などをどのように数えるかによって違いが生じるものと思われるが、92社に日本企業がかかわっていることに間違いない。その92社すべてについては別の機会(『中国進出企業一覧 上場会社篇 2007-2008年版、2007年3月出版予定)に紹介することにして、ここでは外資企業トップ500社中の日系企業トップ10だけを見てみよう(表6参照)。
 2006年中国外資日系企業トップ10の半分は自動車企業が席巻している。1位東風汽車(日産)、2位広州本田汽車(ホンダ)、3位一汽豊田汽車販売(トヨタ)、4位日産(中国)投資(日産)、そして5位をスキップして6位に天津一汽豊田汽車(トヨタ)が入っている。
 このうち東風汽車(日産)は先に触れたので割愛する。
 広州本田汽車有限公司は乗用車(アコード、オデッセイ、シティ、フィット)を生産・販売する。年産26万台。2005年に12位で、トップ10を狙う位置にあったが、意外に伸びず前年と同じ12位にとどまり、売上収入は343億1338万元(約4632億3063万円)、伸び率は5.2%であった。2005年に日系企業で唯一「中国で最も尊敬を受ける企業」に選出された。
 一汽豊田汽車販売は第一汽車とトヨタとの合弁の販売会社である。天津製造のクラウン、レイツ、コロナ、ヴィオス、四川・長春製造のランドクルザー、プリウス、コースターなどを販売している。2003年9月設立で、2005年版で29位だったものが24位に上げた。売上収入276億6479万元(約3734億7466万円)、伸び率8.1%。
 日産(中国)投資は日産の中国における投資性公司で投資のほか政府機関渉外、関係会社渉外、市場情報収集、中国事業支援などを行っている。同社ホームページによれば2005年の中国における日産ブランド車の販売数18万台で2008年には50万台を売る予定という。
 天津一汽豊田汽車はトヨタと第一汽車との合弁工場で、第一工場でヴィオス、カローラ、第二工場でクラウン、レイツ(日本名マークX)を生産。2005年生産台数15万台、2010年に市場シェア10%獲得を目標にしている。
 コンピュータ及びコンピュータ周辺機器や携帯電話、通信などIT企業が優勢を占める外資企業のなかで日系企業は影が薄い。外資企業トップ500社中の日系企業トップ10中のIT企業は、2社のみ。
 1社は外資500社31位の北京索愛普天移動通信(ソニー、エリクソン)である。携帯電話製造で、中国市場において健在なのはこの1社のみである。2005年以降、松下電器産業、東芝、三菱電機、NECと日系の携帯電話メーカーはすべて撤退に追い込まれた。
 もう1社は外資500社47位の無錫シャープ電子元器件で、液晶表示装置の実装、関連周辺部品およびチューナーなどを製造・販売している。
 パソコンにおいては、以上2社に続いて、外資500社69位の東芝信息機器が健闘。ノートパソコンの創始者としての沽券にかけて、杭州でノートパソコンを製造・販売・修理・研究開発している。
 外資企業トップ500社中の日系企業トップ10中で8位の広東美的製冷設備有限公司は東芝キヤリア(東芝60%出資の日本法人)と広東美的電器集団の合弁エアコンメーカー(2004年設立)である。両社は、エアコンを美的、東芝の両ブランドで製造し、美的ブランド製品は新会社が、東芝ブランド製品は東芝キヤリアとキヤリアグループが販売している。
 日系9位の北京京東方投資発展有限公司は、丸紅が10%出資している北京の投資会社で、電子製品、通信設備、電子計算機の生産、販売、投資をしている。
 第10位の索尼(中国)有限公司がソニーの中国投資性公司であることは言うまでもない。投資性公司が外資企業500社に5社登場していることは注目しておくべきで、日系では松下電器産業の投資性公司松下電器(中国)有限公司が外資500社中で79位(日系では14位)に位置している。
 
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