第36号 2007.3.6発行 by 中村 公省
    有限責任公司と股份有限公司 <目次>へ戻る
 
 中国にある外資企業の名称は一般に「有限公司」であるが、最近は、「有限責任公司」や「股份有限公司」を名乗るものが増大している。例えば、以下のごとくである。
 
【有限責任公司を名乗る日系会社】 【股份有限公司を名乗る日系会社】
鉄旭広告有限責任公司 維維食品飲料股份有限公司
貴州虹山恩斯克軸承有限責任公司 暁荘保険股份有限公司
黒龍江省龍煤鉱業有限責任公司 慶鈴汽車股份有限公司
鄂爾多斯錳鉄合金有限責任公司 東麗即髪(青島)染織股份有限公司
煙台万海舟化工有限責任公司 浙江景興紙業股份有限公司
攀成伊紅石油鋼管有限責任公司 榕東活動房股份有限公司
広西象州吉東錳業有限責任公司 北京浜松光子技術股份有限公司
広州ES繊維有限責任公司 福州福裕橡膠工業股份有限公司
北京騰信互動有限責任公司 天安保険股份有限公司
北京市市政一建設工程有限責任公司 大連大雪啤酒股份有限公司
北京江河泛亜生態環境景観設計有限責任公司 生命人寿保険股份有限公司
武漢中鉄伊通物流有限責任公司 上海同済同捷科技股份有限公司
南昌硬質合金有限責任公司 上海交大海隆軟件股份有限公司
中盛国際保険経紀有限責任公司 山東凱加食品股份有限公司
中建-大成建築有限責任公司 合肥栄事達三洋電器股份有限公司
三門峡中原精密有限責任公司 江蘇順天紡織股份有限公司
江西昌河鈴木汽車有限責任公司 杭州富通通信技術股份有限公司
海際大和証券有限責任公司 湖南長豊汽車製造股份有限公司
一汽轎車股份有限公司

 有限責任公司」と「股份有限公司」との相違点はどこにあるのでしょうか?
21世紀中国総研事務局には、最近、マスコミや調査研究機関から、臆面もない初歩的質問を受けて、閉口することが多いが、上記質問もその一つである。以下に質問に答えておきたい。
 
 中国の株式会社である有限公司には、有限責任公司と股份有限公司とがある。
 有限責任公司は、一般に有限公司とも言い、Company Limited の中国語訳である。2人以上50人以下の株主が出資し、その出資額に応じて公司に対して有限責任を負う。最低資本金は50万元(ただし小売業は30万元、科学技術開発、コンサルサルタント、サービス業は10万元)。その資産を以って、公司の債務に責任を負う。
 股份有限公司とは、股份公司とも言う。「股份」は株式、「公司」は会社と同義で、日本語に翻訳すれば、株式会社である。 5人以上の株主により成立し、株主の数に制限はない。資本金最低額は1000万元。資本金は等額の株式にして発行し、株主は所有する株式を以って公司に対し有限責任を負い、公司はその資産を以って公司の債務に責任を負う。
 有限責任公司と股份有限公司の共通点は以下の点にある。
  1. 株主は公司に対し有限責任を負う。有限責任公司も股份有限公司も、株主が負う有限責任はその投資額を限度とする。
  2. 株主個人の財産と公司の資産と分離している。株主の投資金は公司の構成資本になり、直接支配することができない。したがって、債務超過の場合にも株主は自分の投資額だけに責任を負うにとどまる。
  3. 両者とも公司のすべての資産を以って、公司の債務に責任を負う。つまり外部に対し、公司もその資産総額を限度に有限責任を取る。
                          
 両者は紛らわしいが、有限責任公司と股份有限公司の違いのポイントを整理しておけば以下の表のごとくである。
 
有限責任公司と股份有限公司の相違点
     有限責任公司       股份有限公司
設立条件 股份有限公司に比べて緩い        厳しい
募集方法 発起人しか資本を集めることができない。公開して募集することができない。 全社会に向けて公開で資本を集めるができる。
株式譲渡の難易度 制限が多く、比較的に困難 比較的に自由で、割と容易
株権の形 出資した証明として出資証明書を発行し、譲渡、流通は禁止されている。 出資の証明は株式であり、その譲渡、流通は自由。
株主会と理事会の関係 株主会の権限が大きく、理事会も株主自身が兼任することが多い。また所有権と経営権の分離度が低い。 株主の人数が多く、分散しているため、多少制限されている株主会より理事会のほうの権限が大きい。所有権と経営権の分離度が高い。
財務状況の公開 財務報告書は公開しなくても、公認会計士の監査も要らず、期間内に株主に渡せばいい。 公認会計士の審査と証明が必要であり、さらに資料として保存しなければならない。


(資料)中国商務部外資投資管理司「中国投資指南2003-2004」
http://wzs.mofcom.gov.cn/aarticle/ztxx/200501/20050100330648.html)、
広東工商信息網(http://www.gdgs.gov.cn/gswd/htm/jy011.htm)、
日中経済協会(http://www.jc-web.or.jp/SME/classify/2.htm)などを参考にして21世紀中国総研事務局まとめ。

 
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