第40号 2007.8.8発行 by 中村 公省
    中国大学生の人気企業 <目次>へ戻る
 2007年の中国大学生の人気企業が発表された。この調査は「中華英才網」というリクルート専門サイトと、北京大学光華学院、『経済観察』、網易ビジネス報道が共同して毎年行っている調査である。有効収集アンケート総数4万9770、有効票数12万8368票というスケールの大きなもので、香港・マカオ・台湾を含む34省の656大学、1316社の企業と36業種(2007年)に及んでいる。
 幸い、2003年以来5年間の「中国大学生の人気企業トップ50」ランキングも公表しているので、それを借用して「中国なんでもランキング」に大きな図表をつくり、人気企業の変遷がビジュアルにわかるようにしておいた。

中国なんでもランキング<4>中国大学生の人気企業トップ50の変遷(2003-2007年)を参照        http://www.21ccs.jp/china_ranking/china_ranking_04.html
 
 一目瞭然。と思っていたところ、これを見た人から中国企業について矢継ぎ早に質問をうける羽目になって、やはり若干の解説をしておく必要があることに気づいた。以下、作表結果と発表資料を取りまとめて分析し、読者の参考に供する次第である。
1.トップ10企業
 トップ10だけを横に2003年から2007年まで見てみると、5年連続トップ10入りを果たしている常連企業7社が目につこう(表1)。
表1 5年連続トップ10入りの企業
中文名 英文名 業種
海爾 HAIER 耐久消費財
IBM IBM コンピュータ
微軟 MICROSOFT コンピュータ
聯想 LENOVO コンピュータ
宝潔 P&G 家庭用消費財
華為 HUAWEI 通信機器
中国移動 CMCC 電信サービス運営
 このほか、5年連続トップ10入りは逸したが、5年間に4回トップ10入りを果たした常連企業が2社―――米GEと独シーメンスがいる。
 以上のうち、米IBM、米MICROSOFT 、米P&G米、米GE、独シーメンスの 5社は外資で、海爾、聯想、華為、中国移動の4社は大陸民族企業である。海爾が家電、聯想がコンピュータ、華為が通信技術のメーカーで、中国移動が携帯電話キャリアであることは言うまでもない。
 5年連続トップ10入りを果たしている常連企業は、家庭用消費財のP&G、耐久消費財の海爾を除いて、いわゆるIT(情報技術)関連企業であることが、ハヤリ・スタリに敏感な学生の関心のありかを伺わせる。「中華英才網」の宣伝によれば、大学生の企業評価の基準は、その職の発展度、ブランド力、報酬、企業文化にあるとしているが、主観的な要素がかなり強いように思われる。
2. トップ50企業
 ついで、トップ10企業と同様な手法でトップ50企業を見てみると、30社が2003-2007年連続登場している(表2)。そのうち19社は外資グローバル企業で、11社が大陸系大企業である。業種別では、1位がエレクトロニクス耐久消費財製造6社(外資3社、大陸3社)、2位がコンピュータのハード・ソフトの製造会社5社(外資4社、大陸1社)で、両者あわせると11社で全体の3分の1を制している。ほかに食品メーカー(外資3社)、電信キャリア(大陸3社)、携帯電話メーカー(外資2社)、企業コンサルタント(外資2社)が複数社か顔を出している。
 日本企業で5年連続登場しているのはソニーだけである。松下電器は2006年に50位外に落ち4回しか登場していない。
表2 2003-2007年連続登場の常連30社
中文名 英文名 業種
1 IBM IBM コンピュータ
2 微軟 MICROSOFT コンピュータ
3 英特爾 INTEL コンピュータ
4 惠普 HP コンピュータ
5 西門子 SIEMENS 耐久消費財
6 三星 SAMSUNG 耐久消費財
7 索尼 SONY 耐久消費財
8 宝潔 P&G 家庭用消費財
9 雀巣 NESTLE 食品
10 聯合利華 UNILEVER 食品
11 可口可楽 COCA-COLA 食品
12 摩托羅拉 MOTOROLA 通信機器
13 諾基亜 NOKIA 通信機器
14 普華永道 PriucewaterhouseCoopers コンサルタント
15 麦肯錫 McKinsey コンサルタント
16 通用電気 GE 電気エネルギー
17 沃爾瑪 WAL-MART 卸小売
18 匯豊銀行 HSBC 金融
19 強生 Jonson&Jonson 医薬
20 海爾 HAIER 耐久消費財
21 TCL TCL 耐久消費財
22 海信 HISENSE 耐久消費財
23 中国移動 CMCC 電信サービス運営
24 中国電信 CHINA TELECOM 電信サービス運営
30 中国聯合通信 UNICOM 電信サービス運営
25 聯想 LENOVO コンピュータ
26 華為 HUAWEI 通信機器
27 中国石化 SINOPEC 石油化工
28 中国銀行 BANK OF CHINA 金融
29 万科 VANKE 不動産
 逆に、トップ50企業で2006年以降登場した新顔を抽出したのが表3である。2006年にはインターネットのポータルサイトが一気に6社躍進している。2005年に登場した騰訊Tencentとあわせると2006年以後のポータルサイトは7社で、最も人気のある業種となっている。2006年登場の国美は家電量販店で小売業のトップ企業、2007年登場の内蒙古蒙牛乳業は乳製品企業で、話題になった企業に人気が殺到している。2007年に中国工商銀行が新たに加わって銀行が、大陸系3行、外資系1行、計4行となったのも見逃しがたい。
 また2007年には本田が初登場したが、自動車は本田1社のみで、GM、フォルクスワーゲン、第一汽車、東風汽車なども見当たらないのは何故であろうか。かつては(2003年)、トヨタも50位にノミネートされていたものである。中国学生の自動車メーカー嫌いは、モータリゼーションのまっさなかにある中国で解せない現象のひとつである。
表3 2006年以後登場した新顔
2007年登場新顔 内蒙古蒙牛乳業 食品
中国石油天然気 石油
広州本田汽車 自動車
中国工商銀行 金融
2006年以降登場 阿里巴巴 ポータルサイト
百度 ポータルサイト
Google ポータルサイト
盛大網絡 ポータルサイト
新浪 ポータルサイト
網易 ポータルサイト
広東核電 エネルギー
国美 卸小売
百事 食品
3.大陸系企業の増加
 この調査を主催している「中華英才網」の調査報告書が最も注目しているのが、トップ50企業への大陸系企業の年毎の増大である。同報告書のグラフにリンクしておくので参照されたい。
http://content.chinahr.com/Article(50032)ArticleInfo.view
 大陸系企業は、2003-2007年の間に、16社→17社→19社→24社→25社と増加して、2007年には外資系と半々になっている。
 2007年はトップ5社中で4社が大陸系企業である(聯想、中国、移動、海爾、華為)。トップ10社中では広東核電、阿里巴巴、百度が加わり7社が大陸系企業である。
 こうした結果について、「中華英才網」の張廷文副総裁は以下のように述べている。
 「大陸系企業の採用制度、労働環境、職能育成における改善が奏功し、同時にブランドイメー-ジの面でも次第に外資系企業に匹敵するようになった。」
 
 
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