第45号 2008.1.8発行 by 中村 公省
    2007年日系中国進出企業 10大ニュース <目次>へ戻る
 21世紀中国総研では、初めての試みとして、2007年中に生じた日系中国進出企業に関する10大ニュースを選んでみた。ニュースと言っても、マスコミが伝えたニュースだけではない。マスコミは無視したが、21世紀中国総研は重要と判断する人目に触れなかったニュースを含んでいる。順位は、今後の展望をする上で影響度が大きいと判断される順とする。
(1)日本の新規対中投資は激減して、2年前の半分に縮小
 中国商務部データによると、日本の対中投資は依然として後退局面にある。
 先行指標の契約件数では、2004年3454件をピークにして下降し、2005年対前年比マイナス5.4%、2006年マイナス20.8%(2590件)。2007年は11月末現在2323件で対前年同期比マイナス21.8%となっていり。2005-2007年3年連続してマイナスを重ねることが確実である。
 実行ベース金額は一年遅れのサイクルを描き、2005年65億ドル余がピークで2006年は対前年比マイナス29.7%、46億ドルと落ち込んだ。2007年は11月末現在30億ドル弱で対前年同期比マイナス26.6%。2007年全年で2005年の半分程度に激減するであろう。
(2)日系最大投資の江蘇王子製紙有限公司が起工式
 11月26日、王子製紙は、南通市経済技術開発区に設立した江蘇王子製紙有限公司の紙パルプ一貫製紙工場の起工式を行った。同公司は資本金9億1151万ドル(約1000億円)、総投資額19億ドル(約2000億円)と、日系最大規模のプロジェクトで、環境問題などで計画発表から4年半の曲折を経て認可されたもの(10月26日公司設立)。2008年年初着工、2010年後半に1台目の年産40万トンの高級紙生産設備を稼動させ、2015年には高級紙生産設備を倍増、高級紙年産80万トン、クラフトパルプ年産70万トンを生産・販売する予定と発表されている。
(3)松下グループが『中国環境貢献企業宣言』
 松下グループは9月26日、北京で「中国環境フォーラム2007」を開催して、『中国環境貢献企業宣言』発した。宣言は次の3つの骨子からなっている。

1.全ての製品を“グリーンプロダクツ”にします。(全ての製品の環境性能を向上させ、対象となる全ての製品で環境ラベルを取得する。)

2.全ての工場を“クリーンファクトリー”にします。(全ての工場の生産過程での環境保全を加速させ、全ての工場で公的認証を取得する。)

3.中国の全ての松下グループ会社で、“従業員による環境活動”を展開します。(松下グループのすべての在華会社の従業員がエコ行動を職場・家庭・地域で実践する。)
(4)上海ヒルズ(上海環球金融中心)が上棟
 森ビルが企画・建設している地上101階建て超高層複合ビル「上海環球金融中心」が、9月14日、上棟式を行った。アジア金融危機で計画が中断し、2003年に再始動、2004年11月に建設を再開したもの。2008年春に竣工すれば、上海の金融、情報、文化の中心・「上海ヒルズ」として上海を象徴するポイントになると期待されている。全体事業費1050億円。
 なお、最上部の台形の「穴」は、原案では、丸い「穴」だったが日本の日の丸に似ているというクレームが中国側からつきデザイン変更された。
(5)新日鐵出資の宝鋼新日鐵自動車鋼板が黒字化、設備増強
 新日本製鐵、宝山鋼鉄、アルセロールミタルの3社合弁の高級自動車鋼板供給基地・宝鋼新日鐵自動車鋼板が、操業2年にして黒字化し、設備増強に踏み切った。同社は、2005年3月の立上げ以降、中国自動車マーケットの拡大をうけ、順調に生産販売を伸ばし、2年目で単年度黒字を実現、9月には立上げ2年半で累損を一掃した。さらに同社の親会社3社は12月、第3溶融亜鉛メッキラインを、現行ラインの隣接地に新設することを正式決定した。新ラインは、生産能力年産45万トンの自動車用高級メッキ鋼板を生産、2010年の稼動を目標にしている。
(6)日立(中国)がグループ内金融子会社として日立(中国)財務を設立
 日立製作所の中国のグループ統括会社である日立(中国)有限公司は、中国における日立グループの資金効率の向上等を目的とした業務を行うグループ内金融子会社として、日立(中国)財務を設立し、12月1日より営業を開始した(資本金3億元、約45億円、独資)。日立グループは、100社を超えるグループ会社が2010年度の中国売上高を120億米ドルとする目標に邁進しているが、財務公司の設立は、この新中国事業戦略の達成を資金面で支援するもの。
(7)伊勢丹が北京に出店、中国で7店舗目に
 伊勢丹が4月18日、北京に出店すると発表した。開業は08年秋の予定。伊勢丹の中国における百貨店展開は、上海2店舗のほかに、天津、済南、成都、瀋陽に続き、6都市目(7店舗目)となる。北京店は西単地区で建設中の複合ビルの地下1階から5階を賃借、売り場面積約3万5000平方メートル。
 なおその後、経営統合に合意した三越の台湾法人出資の新光天地が4月19日に開業している。また、年末には高島屋の北京出店のニュースが伝えられ、スパーのイオンも2008年夏にも大型ショッピングセンター(SC)をオープンする予定で、日系小売業の北京出店ブームとなっている。
(8)ヤクルトが中国各地で販売攻勢
 ヤクルトでは、9月から上海ヤクルト販売により、天津、蘇州、無錫に続き杭州でも「ヤクルト」の販売を開始した。「ヤクルトレディ」によるヤクルトの宅配営業は、2004年広州、2005年上海で開始し、2007年4月からは北京でもはじめたが、続いてその他地区でも「ヤクルトレディ」を登場させる予定。なお、ヤクルトは、中国で統括の中国ヤクルトを中心にして、製造・販売会社として広州ヤクルトと上海ヤクルト、販売会社として北京ヤクルト販売、上海ヤクルト販売の5社で事業展開している。
(9)タカラトミーが中国生産を縮小、東南アジアに生産移転
 玩具大手のタカラトミーは11月1日、中国での生産量を3分の2まで縮小し、ベトナムやタイに生産移転すると発表した。現在9割を占める中国での生産比率を今後3年間で最低でも7割、最大で4割まで引き下げるという。理由は、労働力不足で生産コストが急騰していることを挙げているが、中国製玩具の安全性が指摘されていることが大きく影響していると見られる。
(10)ホンダ、トヨタ、日産、2006-2007年中国外資企業トップ10社入りならず
 中国商務部恒例の2006-2007年中国外資企業トップ500社ランキングによれば、ホンダとトヨタの合弁会社は、ともにトップ10入りがならなかった(2006年データで2007年にランキング)。2005-2006年ランキングで12位だった広州本田汽車は14位に後退し、販売収入は343億元から394億元へと微増にとどまった。また、日産の合弁会社の東風汽車は前年7位391.5億元であったが、2006-2007年ランキングでは16位400億元にとどまった。日産の中国統括会社の日産(中国)投資有限公司のほうは 302億元で28位につけている。
 しかし、合弁販売会社である一汽豊田汽車販売有限公司 が405.5億元を売り上げ、14位に大躍進した。また、前年35位だったメーカーの天津一汽豊田汽車は25位へと上昇し、販売収入を204億元から328億元へと61%急増させた。
 なお、トップ10に入りした自動車メーカー・販社は、5位上海GM汽車有限公司 569.9億元、7位一汽フォルクスワーゲン販売有限責任公司 538.6億元、9位一汽フォルクスワーゲン汽車有限公司 477.4億元の3社である。
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