第55号 2010.06.07発行 by 中村 公省
    中国経済デジタルマップ(その2)
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 ①日本の国土地理院が提供している数値地図25000分の1(地図画像、空間データ基盤)のような中国全土の地図、せめて50万分の1か25万分の1の基礎地理情報データ。
 ②中国の国勢調査(人口センサス)、経済センサスや県レベルまでの歴年及び最新年次の電子化された経済数値データ。
 この二つを求めて、この数カ月あちこちさまよった。
 中国に「国家社会経済統計電子地図」にかかわる情報はかなりある。全人代や政協の特権階級の閲覧に供されていて、「2007国家社会統計電子地図」というCD-ROMが統計出版社から出版されているらしい。また、ん十万円という高額な「経済統計電子地図」を販売している業者もあり、金さえ出せばなんとかのごときである。ウエブサイトにおいても「国家動態地図網」http://www.webmap.cn/help/about.phpというサイトが立ち上がっている。
 しかし、どれもこれも、オカミのお仕着せもモノばかりである。一歩立ち入って調べてみると、利用者が自由な発想のもとデータを操作して創造的に地理的事情を解明していくことができない。察するところ、とどのつまりは軍事関連情報管理とかかわりがあるらしい。そもそも基礎地理情報データは公開されていない。事大主義的な法的規制が敷かれていて外国人及び中国人一般庶民にはアクセスできないのである。
 そのうえ統計情報が電子化されていない。活字レベルではかなりのデータが存在するが『中国統計年鑑』や一部地方の年鑑を除いて、電子データになっていない。スキャン、スキャンの苦労はまぬがれがたい。ましていわんや歴史統計データと歴史地理データのマッチングは全くお手上げである。
 この分野における中国の情報公開の遅れは著しい!
 しかし、ないものねだりは、してもしかたないわけで、手作りでやれる範囲でやるっきゃない、といういつもの結論に立ち戻る。中国に過大な期待をしない、ということになると、頼るは中国外の中国についての情報である。
 居直りをしてから、最も勇気づけられたのは丸川知雄東京大学教授のサイトに掲載されている「中国の県(および県レベルの市・区)別人口密度」http://www.iss.u-tokyo.ac.jp/~marukawa/chinapopdensity.htmの制作体験記である。
 中国の県レベルの2000年センサスに基づく人口密度(および県レベルの市・区)別人口密度デジタルマップを見事に作り上げている。しかし、1枚の地図を描くのにデータ整理だけで2週間余の時間を費やしている。その執念に敬服する。
 
 デジタルマップ一般についての解説書では、矢野桂司『デジタル地図を読む』(ナカニシヤ出版)が、日本のデジタルマップの歴史と現状をやさしく解説している。何をどこまでできるか。実際にデジタルマップを描くに際してのガイドも怠りなく、大変参考になった。
 やや専門的な領域に踏み込んだところでは、東京大学空間情報科学研究センターが世界各国のGIS研究情報を提供してくれている。この分野の中国のセンターは、中国科学院地理科学與資源研究所でhttp://www.igsnrr.ac.cn/、この研究所は1999年9月成立した、中国科学院知識創新工程の戦略部署であるらしい。
 そして実践的にはデジタルマップソフトとして、MANDARA というフリーソフトが非常に優れていることを知った(http://ktgis.net/mandara/)。ガイドブックとして『MANDARAとEXCELによる市民のためのGIS講座』(古今書院)があり、わからないことはメールで答えてくれる。右から左に使える中国省レベル地図が用意されていることが何よりありがたい。製作者の谷謙二先生らに厚く感謝したい。
 さて、以上のような回り道をして、ようやく描くことができたのが、以下のような矢吹晋編『一目でわかる 中国経済地図』(仮題)テスト版である。このテスト版は、矢吹晋ディレクターと21世紀中国総研事務局との間を行きかうこと、5往復。初期プランを徹底的に修正して事務局のデジタルマップ技法の向上に伴い、次第に形を変えてここに至ったものである。むろんまだ不満も多い。読者諸賢のご意見を伺い、これからさらに修正を重ねていきたいと思っている。ここにあえてご協力を仰ぐ次第である。

『一目でわかる 中国経済地図』(仮題)テスト版(クリックするとPDFファイルが開きます)
 1.p2-p3  (595KB)
 2.p4-p5  (3,328KB)
 3.p6-p7  (2,665KB)
 3.p8-p9  (4,779KB)
 

 
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