第61号 2012.03.010発行 by 中村 公省
    日本の第4次中国投資ブーム(2)
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 日本の2006~2011年対中投資の高波は、いかなる業種・産業が牽引しているのか。中国は国別業種別の外資導入データを公表していないので、投資側の日本の国際収支データに頼るしかない。
 日本の対中業種別国際収支統計によって、2005~2011年第3四半期の投資額をみたのが図表1である。この総額の棒グラフの推移と前ページの図表1-2のアップ・ダウンとは異なる動きをしているが、これは双方の統計ベースが根本的に異なることに起因する(例えば中国のデータには金融部門が入っていない)。しかし、日本国際収支の2011年対中投資が大きな伸びを示していること、中国の日本からの外資導入が異常な伸びをしていることでは一致している。
 さらに図表1で業種別動向を追ってみると、2005~2011年の間に製造業の投資が減少し、非製造業の投資が増大している趨勢がくっきり表れている。これはWTO公約に沿って中国が非製造業部門の市場を開放した動きを反映している。例えば、流通や金融分野で地理的制限・出資制限が全面的に撤廃され、それに呼応して実際に投資が動きだしたのが、ちょうどこの時期なのである。



図表1 製造業・非製造業別対中投資の推移
 (資料)日本銀行



 非製造業を業種別にした対中投資動向をみてみよう(図表2)。最も大きな投資をしているのは卸売・小売業と金融・保険業である。2005~2011年第3四半期累計で非製造業投資のうち42%を卸売・小売業が、31%を金融・保険業が占めている。両者を合わせると73%で約4分の3に及ぶ。とりわけ2011年は卸売・小売業が1133億円、対前年比22%増と大きく伸びた。これは日本における卸売・小売業市場の伸び悩みに直面して、新規投資を成長力に富む中国市場に切り替える動きと推測される。同様な動きをしているのが不動産業で、中国都市での商業施設、住宅団地開発に巨額の資金を投入している(577億円)。


図表2 非製造業の対中投資の推移
 
  (資料)日本銀行

 次いで製造業を業種別にした対中投資動向をみてみよう(図表1-6)。日本の対中投資は従来製造業が主導してきた経緯があり、依然として7割という大きな地位を占めている。しかし、製造業内部を見ると産業構造が大きく変化しつつある。
 2005~2011年第3四半期累計で製造業においてシェア10%以上を占める大きな投資をしているのは、輸送機械器具19.7%、電気機械器具17.3%、一般機械器具14.6% 、化学・医薬10.4%である。この4業種で合計61.9%になる。
 伸び率をみると、輸送機械器具は3年連続マイナスである。2000年前半の投資ラッシュで投資が一巡し、構造的調整に直面している。一方、電気機械器具は2007、2009両年のマイナスを脱し、部品メーカーが新規投資増大させている(40.7%増)。一般機械器具、化学・医薬も同様に2011年にそれぞれ19.6%増 、22.8%である。ほかに鉄・非鉄・金属の素材メーカーの伸びも注目される(同26.6%増)。
図表3 製造業の対中投資の推移
 (資料)日本銀行

 
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