第72号 2016.07.09発行 by 中村 公省
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1.中国における小売りチェーンストアトップ10
 中国における小売りチェーンストアの2015年トップ10は図表1のごとくである。

図表1 中国チェーン店トップ10(2015年)
2015順位 2014順位 企業名 2015売上額
(含税億元)
伸び率 2015店舗総数 伸び率
1 2 蘇寧雲商集団股份有限公司 1,586 24.4% 1,577 -4.4%
2 1 国美電器有限公司 1,537 4.1% 1,932 3.9%
3 3 華潤万家有限公司 1,094 5.2% 3,397 -17.7%
4 高鑫零售有限公司 1,079 4.8 409 9.9
5 5 沃尓瑪(中国)投資有限公司 735 1.6 432 5.1
6 6 山東省商業集団有限公司 637 -0.3% 740 7.6%
7 7 聯華超市股份有限公司 605 -2.1% 3,912 -9.5%
8 8 重慶商社(集団)有限公司 594 -3.3% 340 1.5%
9 10 百勝餐飲集団中国事業部 517 2.0% 7,000 7.7%
10 永輝超市股份有限公司 493 14.8% 394 16.9%
100強合計 20,628 4.3% 111,187 4.7%
*高鑫零售有限公司は、台湾大潤発(RT Mart、前年1位)と仏欧尚(Auchan、前年9位)が合併したもの(香港上場)。
(資料)中国連鎖経営協会「2015中国連鎖百強」

 家電量販店の蘇寧と国美が毎年トップ争いを演じている。3位の華潤万家有限公司は香港系、4位の高鑫零售は台湾大潤発(RT Mart)と仏欧尚(Auchan)が合併したもの。
 他に外資で5位にウォルマート、10位にケンタキー・フライド・チキンの親会社・百勝(ヤンブラウン)が入っている。小売りチェーンストアの2015年トップ100の中から外資系小売店だけを抜き出したのが図表2である。

図表2 外資チェーン店ランキング(2015年)
2015年
順位
2014年
順位
2013年
順位
企業ブランド名称 企業ブランド
(英文)
2014年売上額
(含税億元)
伸び率
(%)
2014年店舗総数
(店)
増加率
(%)
1 高鑫零售有限公司 Sun Art 1,079 4.8 409 9.9
2 2 2 沃尓瑪 Wal-Mart 735 1.6 432 5.1
3 3 3 百勝 Yum! Brands 517 2.0 7,000 7.7
4 4 4 家楽福 Carrefour 401 -12.3 234 -1.3
5 6 9 錦江麦徳龍 METRO 191 1.1 82 1.2
6 10 15 屈臣氏 Watsons 181 9.0 2,483 18.9
7 5 7 百盛 Parkson 181 -6.9 58 1.8
8 8 13 鄭州丹尼斯 Dennis 180 4.7 378 67.3
9 7 10 楽天超市 Lottemart 170 -5.6 120 -2.4
10 11 14 卜蜂蓮花 Lotus 137 -0.7 82 6.5
11 13 19 宜家 IKEA 131 27.9 18 12.5
12 18 12 新世界 New World 128 -7.2 43 0.0
13 14 18 永旺 AEON 107 9.1 54 8.0
14 12 17 麦当労 Mc Donald 100 -13.0 2,300 9.5
15 15 20 伊藤洋華堂 Ito Yokado 65 -10.6 11 -8.3
16 16 22 全家便利店 Family Mart 49 17.1 1,501 17.2
17 17 21 百佳 Parkn 39 -1.0 64 -8.6
18 上海市易実得超市* Emart 13 -30.6 8 -20.0
合計 4,403 0.5 15,277 11.1
*上海市易実得超市は、韓国新世界出資のスパーマーケット。
(資料)中国連鎖協会(2016年5月3日発布)

2.小売業でネット小売異変
 ところで、この小売業でネット小売が台頭するという異変が起こっている。図表3を見るとアリババの「天猫」の躍進がすごい。「天猫」の2015年売上げ1兆192億元はチェーンストアトップの蘇寧の6.4倍、チェーンストアトップ100の売上総額の半分(49.4%)にも及んでいるのだ。

図表3 中国B2C販売網に占める天猫のシェア(2015年)

図表4 アリババ「天猫」のB2Cネット販売(2014-2015年)
販売額(a) 対前年伸び率 B2Cネット販売シェア トップ100強販売総計(b) a/b
2014 7,630 246.8% 59.3% 20,964 36.4%
2015 10,192 33.6% 57.4% 20,628 49.4%
(資料)「中国網絡零售市場数拠監測報告」2014年、2015年

 さらに驚くことに2015年8月10日、そのアリババと蘇寧が資本提携するという大事件が発生した。アリババが蘇寧の株を20%(283億元)取得するとともに蘇寧もアリババ株を1%(140億元)持ち合うという「王者連盟」である。
 そのあおりで、ウォルマートはネット販売2位の京東との包括提携、小売2位の国美はアマゾン中国で家電を販売する「弱者連盟」が発生した。実店舗小売業がネット小売りの台頭にたじろいで、こぞって仮想店舗に秋波を送っているのが実情であろう。
3.お買いものはスマートフォンで
 かつてはネットで買うのは低額・小商品と決まっていたものだが、スマホによるネットの急拡大、宅配物流システム・代金支払決済システムの整備に伴って、消費者がネットで高額・大商品を安心して買えるようになったのである。共稼ぎ家庭が多いお忙しい都会では「商品見本は実店舗で買うのは仮想店舗で」、実店舗のない辺鄙な農村では仮想店舗で都会の一流商品を手軽に買う。2015年に社会消費財小売総額に占めるネット小売りのデータを見ると(図表5)、実に北京では45%、上海では39%、浙江35%、広東28%に及んでいる。買い物の多くがネットからアクセスされているのがはっきり示されている。
 スマートフォンの普及と連動しているネット販売普及のスピードを見ると(図表6)、全国一律に20~50%と爆発的な伸びを示している。内陸の後進地域にも「スマートフォンでお買いもの」生活スタイルが燎原の火のごとく拡がるのは間違いない。


図表5 社会消費小売総額に占めるネット小売の地位


図表6 ネット実物小売の伸び

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