第73号 2017.07.17発行 by 中村 公省
    中国小売業100強ランキング <目次>へ戻る
 EC (Electronic Commerce電子商取引)の台頭によって中国小売業に大異変が生じている。中国商業聯合会と中華全国商業信息中心が共同で公布した「2016年小売100強」(注)ランキングによって、その実状を見てみよう。

図表1 2016年小売100強(うち30強)
順位 企業名 店舗形態 販売額(億元) 対100強シェア
1 天猫 EC 14,150 51.3%
2 京東 EC 9,392 34.0%
3 大商集団㈲ 実店舗 2,353 8.5%
4 国美電器㈲ 実店舗+EC 1,824 6.6%
5 蘇寧雲商集団股份㈲ 実店舗 1,735 6.3%
6 華潤万家㈲ 実店舗 1,035 3.8%
7 康成投資(中国)㈲(大潤発) 実店舗 933 3.4%
8 沃尓瑪〔ウォルマート〕(中国)投資㈲ 実店舗+EC 767 2.8%
9 聯華超市股份㈲ 実店舗 598 2.2%
10 唯品会 EC 566 2.1%
11 重慶商社(集団)㈲ 実店舗 561 2.0%
12 永輝超市股份㈲ 実店舗+EC 544 2.0%
13 家楽福〔カルフール〕中国 実店舗 505 1.8%
14 北京居然之家投資控股㈲ 実店舗 489 1.8%
15 物美控股集団㈲ 実店舗 442 1.6%
16 合肥百貨大楼集団股份㈲ 実店舗 417 1.5%
17 長春欧亜集団股份㈲ 実店舗 391 1.4%
18 亜馬遜〔アマゾン〕中国 EC 390 1.4%
19 武漢武商集団股份㈲ 実店舗 356 1.3%
20 石家荘北国人百集団有限責任公司 実店舗 333 1.2%
21 銀座集団股份㈲ 実店舗 329 1.2%
22 歩歩高集団 実店舗+EC 321 1.2%
23 宏図三胞高科技㈲ 実店舗 321 1.2%
24 中百集団股份㈲ 実店舗 315 1.1%
25 農工商超市(集団)㈲ 実店舗 277 1.0%
26 王府井集団股份㈲ 実店舗 276 1.0%
27 天虹商場股份㈲ 実店舗 252 0.9%
28 科群集団股份㈲ 実店舗 239 0.9%
29 煙台市振華百貨集団股份㈲ 実店舗 239 0.9%
30 家家悦控股集団股份㈲ 実店舗 238 0.9%
31~100位合計 15.8%
100強総額 48,200 100.0%
(資料)「2016年零售百強名単」


 図表1は100位までのランキングのうちスペースの都合で1-30位だけを一覧表にした。販売額によるランキングであり、21世紀総研で100強中のシェアを算出してある。また小売店舗の形態は、①EC(Eコマース)、②EC(Eコマース)+実店舗、③実店舗の3つに大きく区分けした。100社企業の内訳は、①EC(Eコマース)6社、②EC(Eコマース)+実店舗6社、③実店舗88社である。
 トップの「天猫」はアリババグループの企業・消費者間取引(B2C)のECであるが、2016年1年間の売上げがなんと1兆4150億元(25兆4842億円相当)である。これは小売100強の全売上高4兆8200億元の3割(29.4%)に匹敵する。100強中の6社のEC専業の売上高総計は2兆4703億元で、100強の全売上高の5割余(51.3%)を超えている(図表2参照)。

図表2 EC6社の小売100強に占める地位(2016年)
順位 企業名 販売額(億元) 対100強シェア%
1 天猫 14,150 29.4%
2 京東 9,392 19.5%
10 唯品会 566 1.2%
18 亜馬遜中国 390 0.8%
57 当当網 125 0.3%
72 聚美優品 80 0.2%
総計 24,703 51.3%


 家電量販店の国美や蘇寧のようにECに乗り出している実店舗+ECは5389億元で100強の全売上高の1割余(11.2%)を占める(図表3)。残りの実店舗一筋は88社で全売上高の37.6%にすぎず(図表4)、しかもその伸び率も年々低下しつづけている。

図表3 実店舗+EC6社の小売100強に占める地位(2016年)
順位 企業名 販売額(億元) 対100強シェア%
4 国美電器㈲ 1,824.3 3.8%
5 蘇寧雲商集団股份㈲ 1,735.0 3.6%
8 沃尓瑪〔ウォルマート〕(中国)投資㈲ 767.0 1.6%
12 永輝超市股份㈲ 544.1 1.1%
22 歩歩高集団 321.5 0.7%
34 銀泰商業(集団)㈲ 197.2 0.4%
総計 5,389.0 11.2%


図表4 小売100強に占める店舗形態の地位(2016年)
店舗形態 100強販売額に占めるシェア
EC 51.3%
(天猫) 29.4%
(京東) 19.5%
(その他) 2.4%
実店舗+EC 11.2%
(国美) 3.8%
 (蘇寧) 3.6%
 (その他) 3.8%
実店舗 37.6%
合計 100.0%


 しかしながら、ECも異常な伸びをしているのは普及期ゆえのことで、伸び率は2012年134.1%、2013年76.2%、2014年110.1%、2015年56.2%、2016年34.2%と徐々に低下していっている。アリババの馬雲会長は「純電子商取引の時代がまもなく終わる」、オンラインとオフラインと物流が結合した「新小売」の時代が来ると予言している。
 こうした中で、外資系の小売実店舗企業はどうか? ECへの立ち遅れを反映して販売比重、販売伸び率の低下は覆うべくもない(図表⑤)。図表⑥に100強にランクインした外資系19社を一覧にしてみた。販売額で仏カルフールが25.9%増、ファミリーマートが26.5%増、上海のIFCモール21.0%増、デンマークの宝石専門店パンドラ15.6%の4社が気を吐いているのが注目されるが、その他は総じて停滞気味である。日本勢ではイオンが4.9%増、そして北京から全面撤退に追い込まれたイトーヨーカ堂はマイナス7.7%である。

図表5 外資小売企業の販売額の比率と伸び率

図表6 2016年外資系企業売上額
小売100強順位 企業名 企業ブランド(英文) 2016年売上額(万元) 伸び率(%)
7 康成投資(中国)㈲(大潤発) RT Mart 9,329,000 4.0
8 沃尓瑪(中国)㈲ Wal-Mart 7,669,751 4.3
13 家楽福中国 Carrefour 5,047,523 25.9
32 鄭州丹尼斯百貨㈲ PANDORA 2,080,000 15.6
34 銀泰商業(集団)㈲ Intime Retail 1,973,234 5.8
35 錦江麦徳龍現購自運㈲ METRO 1,930,000 1.1
36 屈臣氏中国 Watsons 1,852,980 2.3
37 欧尚(中国)投資 Auchan 1,806,748 -0.4
42 金鷹国際商貿集団(中国)㈲ GOLDEN EAGLE 1,701,868 -1.7
44 百盛商業集団㈲ Parkson 1,659,850 -8.3
47 宜家(中国)投資㈲ IKEA 1,514,095 15.8
54 江蘇華地国際集団(中国)㈲ Springland 1,323,342 2.7
55 卜蜂蓮花 Lotus 1,300,000 -5.0
61 永旺(中国)投資㈲ AEON 1,117,145 4.9
76 恒隆広場(上海) Plaza 66 745,000 4.9
79 全家便利店 Family Mart 657,500 26.5
81 遠洋太古里 Sino-Ocean 630,000 3.3
86 伊藤洋華堂 Ito Yokado 600,000 -7.7
87 上海(IFC)国金中心 IFC 600,000 21.0
(資料)「2016年零售百強名単」


 なお、コンビニのセブンイレブンやローソンは、この中国小売業100強ランキングにはノミネートされていない。中国連鎖経営協会発布の「2016年主要連鎖便利店企業発展情況」によれば2016年店舗数はファミリーマート1810店・対前年比20.6%増、セブンイレブン1371店・2.26%増、ローソン1003店・79.56%増で、セブンイレブンの伸び悩みが目立っている。


注:「2016年小売100強」は中国商業聯合会と中華全国商業信息中心が共同で2002年以来公布している、販売額による年度ランキングである。2016年ランキングは15回目のランキングであり、小売業態として百貨店49、スーパーマーケット27、専門店8,ショッピングセンター10,EC6からなっている。
「小売100強」とは別のランキングに、中国連鎖経営協会の「中国連鎖百強」がある。これはチェーン店のランキングであるが、販売額と店舗数を公表している。
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