第75号 2019.6.25発行 by 中村 公省
    改革途上の地方GDP統計 <目次>へ戻る
 地方GDPデータの虚偽報告が白日の下に晒され、2009年から国家統計局の監督の下で国家と地方の統計局が協力して集計すべし、という改革が断行された。
図①は、31省市自治区のGDP合計額と全国中央のGDP値とを較べたものである。二つの棒グラフにおいて、これまで地方合計額が全国数値を上回ってきた。折れ線グラフが水ぶくれ率〔(地方GDP合計-全国GDP)÷地方GDP合計(%)〕である。これが2012年以来急激に低下し、2014年7.5%、2016年3.7%、2018年は0.02%、ついに水ぶくれが解消された。めでたし! 
 しかし、「役人が数字をつくり、数字が役人をつくる」という旧弊は根が深い。図②は、2018年の31省市自治区の名目GDP成長率と実質GDP成長率とを棒グラフで描き、さらに名目GDP成長率と実質GDP成長率の差を折れ線グラフにしたものである。名目GDP成長率と実質GDP成長率のギャップは、物価変動を表す物価指数で、0以上であればインフレ、0以下であればデフレだ。
 図表②において、右端の河北から雲南までがマイナスだ。即ちデフレ状態にある?
中国の物価指標はこぞってインフレ状態だ。これは何故か? 国家統計局がツジツマ合わせのために地方統計局に強いて、矛盾を押し付けたに違いないのだ。
話変わって、図③は2018年のGDPとその成長率を、東部―中部―東北―西部別に描いたものである。注目点を列挙しよう。
(1) GDPでは広東、江蘇、山東が傑出していて、うち広東、江蘇は9兆元を突破した。
(2) 東北の落ち込みが顕著で3省合わせて全国の6.3%を占めるにすぎない。
(3) 成長率のトップ3はチベット、貴州、雲南で、西部後進省が躍進している。
(4) 中部の成長率が高く中国の成長軸となってきている。
(5) 東部では統計虚偽報告が露呈した天津が全国ラストに転落した。福建の健闘があり、他は全国レベルを維持している。

①GDP全国値と地方GDP合計値とのギャップ(2001-2018年)
 (資料)『中国情報ハンドブック』各年版


②2018年地方GDPの名目成長率と実質成長率とのギャップ
 


③省レベルGDPと成長率(2018年)
 (資料)各省市自治区の2018年統計公報

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