毎日新聞 余禄欄  平成16年8月24日     
                  

  余録:
 中国の牛乳消費量が急激に伸びている。1990年を100とすると、02年は340だという。国策として牛乳の消費拡大に取り組んだ成果だ。2億人の小中学生に、毎日牛乳を飲ませようという「学生飲用牛乳計画」も進んでいる▲中国が牛乳をもっと飲もうと旗をふるようになったわけが面白い。北海道大学の渡辺浩平助教授によれば、中国人は日本人より背が高いはずなのに、いつのまにか抜かれたのでショックを受けたせいだという(中国情報サイト「21世紀中国総研」)▲国家体育委員会という政府機関が97年、中国初の全国的な身体測定をした。それと日本のデータを比べると、男性で40歳以上は中国人の背が高いが、それより若いと日本人が高い。7〜22歳では1.96センチ、7〜14歳では2.28センチも日本人が上回っていた▲確かに、日本人の身長は戦後、急速に伸びた。男子17歳の平均身長は50年に161.8センチだったが、03年は170.7センチと9センチも伸びている。食生活の向上の成果だろうが、中国政府はとりわけ、学校給食による牛乳の効果を評価したようである▲それにしても、たかが身長、されど身長だ。背が高いか低いかは、人間の値打ちになんの関係もない。アテネ五輪の女子マラソンは野口みずき選手が優勝したが、身長は150センチだ。だが、中国にとって日本より平均身長が低いことは問題だった。中国の対日感情は複雑微妙だ▲サッカーのアジア・カップでは、興奮した中国人サポーターたちが、「小日本」とののしった。国土の狭さや背の低さを揶揄(やゆ)する侮言のようだ。牛乳の飲み方が足りないのかもしれない。牛乳はカルシウムをたっぷり含み、興奮を静める働きがある。牛乳の癒やし効果で、肩の力を抜いたほうがいい。