「中国情報ハンドブック」 Web版 速報データー 
第2号
 
          
.2007.7.20

中国共産党党員数

 最新発表(『人民日報』2007年7月9日)のデータに基づき『中国情報ハンドブック2007年版』第Ⅱ部 4章(228-231ページ)の記述を、以下の赤字のごとくに更新する。(図表1、図表2は訂正なし。図表3は訂正。)
21世紀中国総研事務局長 中村公省
4-A.中国共産党員

(a)中国共産党員7239.1万人
中国共産党員数は2006年末現在、239.1万人と公表された。(『人民日報』2007年7月9日)
同時期の総人口は13億1448万人であるから対人口比は5.5%で、約20人に一人の割合で「人民の先鋒隊員」が存在する。
中国国民には参政権(普通選挙権)がない。共産党員だけが独裁党の中央委員会委員を選出する選挙権を持つことによって、政治に物言う権利を持っている。
したがって、共産党が独裁する中国の政治は、直接には共産党員7239.1万人を主体とする政治であると言える。しかし、7239.1万人という数は巨大で、日本の有権者数(2005年総選挙時1億327万人)の7割(70.1%)に相当する。党員を御する政治は一国を統御する政治に匹敵する。

(b)「民主集中制」という名の代行制組織原理
中国共産党が党員を組織する原理は、「民主集中制」という名の代行制である。
「党員は党組織に服従し、少数は多数に服従し、下級組織は上級組織に服従し、全党各組織と全党員は党の全国代表大会と中央委員会に服従する。」(「中国共産党章程」第二章 党の組織制度)
最下層の組織は、企業、農村、機関、学校、科学研究所、街道コミュニティ、社会団体、社会仲介組織、軍隊などにおいて党員三人以上で組織される。党の基層組織は356.5万、そのうち基層党委員会が17.3万、党総支部が21.5万、党支部が317.6万ある。
中国には企業が270.7万社あるが、そのうち党員3名以上いる企業が43.2万社、党組織をつくっている企業が42万社ある。241.9万社の非公有制企業のなかでは17.8%が党組織をつくっている。
党の全国代表大会は5年毎に開催される。代表数は第16回大会(2002年)の場合は2120人である。全国代表大会の最大の任務は中共中央委員の選出にあり、16回大会では委員198人、候補委員158人、合計356人を選んだ。この中央委員会は中央政治局によって召集され通常1年に1回開催され、最高意思を決定する。
その中央政治局員は中央委員会によって選出される。16期中央政治局員は委員24人、候補委員1人を合わせて25人である。
中央政治局の中でも中共の最高意思を日常的に決定をする権利を持つ常務委員が9人いて、この9人が中共中央政治局常務委員会を構成する(2007年6月黄菊が病死し1名欠)
中央政治局常務委員は国家機関、司法、軍隊、行政・議会・政府の最高職を兼務することによって、それらの中央機関に対して中国共産党の独裁を全うする。16期中央政治局常務委員の場合は、常務委員№1の胡錦濤が国家主席、国家中央軍事委員会主席を兼務している。また、№2の呉邦国が全国人民代表大会常務委員長、№3の温家宝が国務院総理を兼ねて、この三人で軍、議会、政府を牛耳ることが出来る体制を築いている。常務委員№4以下は、賈慶林(全国政協主席)、曽慶紅(中央書記処書記)、黄菊(国務院副総理、2007年死去)、呉官正(中共中央規律検査委員会書記)といった具合である。
中央政治局常務委員の№1は中国共産党中央委員会総書記をも兼務して、中央政治局会議と中央政治局常務委員会会議を召集するとともに、中央政治局の常設事務機構である中央書記処の活動を主宰して、党の最高位に位する。

(c)中国共産党員の構成
2006年の中国共産党員の素性をやや詳しく見ておこう。
① 性別、民族、学歴別構成
女性党員は1429.2万人で、全党員の19.7%を占めるにすぎない。天の半分を女性が支えるというタテマエとは裏腹に女性の政治的地位は著しく低いと言わなくてはならない。近年、年々増加の傾向にあり、2004年18.6%、2005年19.2%と経緯して20%に届かんとしている。
少数民族党員は2005年末に6451.6万名で6.4%ある。少数民族の人口比は8%程度であるから、これは共産党組織部が人口構成によって割り当てた枠だと見ていいだろう。
学歴は2005年末の数字で高等教育、中等教育以上の学歴の党員が4108.7万人、58.0%を占めた。ということは、なお初等教育以下の党員が42.0%もいることを意味する。大学・専門学校以上の学歴を持つ者は2006年でも3分の1に満たず30.7%である。
② 年齢別構成
2005年末に35歳以下23.0%、36-59歳53.9%、60歳以上23.1%という構成であった(図表1)。
人口構成のほうは18-35歳以下26.2%、36-59歳35.72%、60歳以上13.0%である(2005年)から、18-35歳以下は組織部の計画数値に合わせた形跡がある。
③ 入党時期別構成
入党時期は、①建国前、②建国-文革前、③文革期、④文革後~14回大会、⑤14回大会(1992年)以後の5期に分けて報告されている(図表2)。
年齢と入党とは必ずしも相関していない。若年にして入党は少なくないが、年をとって各分野の一定の指導者になってから共産党員となるという例も珍しくはない。とりわけ文革中に迫害を受けて党を除名されたり、入党を見合わせていたものが、文革後に復権したり、新規に入党した例は多い。
入党時期を全体的に眺めると、文革以後(1976年10月以後)入党したものが全体の66%、4609万人いて、そのうち2557万人(36.7%)が、この10年余の間に入党している事実が注目される。いわば近年の党員数インフレ化現象である。党組織部によって共産党員の入党条件を緩めて、党員を拡大する運動が進行しているのである。この運動は、中国共産党は①先進的な生産力、②先進的な文化、③広範な人民の根本的利益、の三つを代表すべきだという江沢民の「三つの代表論」と密接に関連している。
④ 職業別構成
中国共産党は中国労働者階級の先鋒隊だそうだが、建党以来、これはフィクションであって、職業別構成で中国共産党が中国労働者階級の先鋒隊であったためしはない。2005年末において労働者(工人)は、795.9万人で11.2%を占めるにすぎない。労働者に農牧漁民(2263.9万人、32.0%)を加えても43.2%で半分に満たない(図表3参照)。
労働者・農牧漁民を凌駕しているのは、幹部とその「離退休人員」をあわせた、共産党員であることを職業にしている層である。幹部1915.5万人(27.1%)、離退休人員1328.3万人(18.8%)。中国において「幹部」とは、国家機関、軍隊、大衆団体にいる公職要員のことで共産党員であることによって地位が保証されている職業である。いわば共産党官僚階級(ノーメンクラツーラ)と言い換えることが出来る。
「三つの代表論」が反映しているのは、「非公有経済単位の管理者および技術専門家」の2005年末131.6万人1.9%、2006年末286.3万人4.0%という急増ぶりである。2002年から2006年までの間に、全国非国有企業の党組織は9.9万から17.8万へと79.8%も増加している。これはわれわれのコトバに翻訳すれば、民間企業経営者および中小企業主であろう。マスコミ流に言えば、「赤い資本家」である。パーセンテージでは4%であるが、富裕で権力を握った赤い共産党員が絶対数で300万近くになっている。これは、社会主義市場経済の人事面における顕著な現象として注目される。
⑤ 新規共産党員の趨勢
今後の共産党員の趨勢を占う上で参考になるのが2004-2006年の新規党員の構成である。
2004年新党員は241.8万人、2005年は247万人、2006年は263.5万人いるが、旧党員の構成とはかなり食い違っているのである。2004-2006年を並列させてみると、図表3のようになる。
これは共産党組織部が計画的にやっている結果であるが、女性、35歳以下の若年層、高学歴者(知識分子)に対する入党勧誘を盛んにやっている。とりわけ、学生党員を増やして、若年化と高学歴化を一気に実現させようという狙いが明らかである。また、企業経営者(先進分子)を共産党に取り込む方策に力が入っている。

図表3 2004-2006年党員内訳  

2004年末党員 うち2004年新党員 2005年末党員 うち2005年新党員 2006年末党員 うち2006年新党員
人数 6960.3万人 241.8万人 7080万人 247万人 7239.1万人 263.5人
女性 18.6% 31.7% 19.2% 32.9% 19.7% 34.0%
35歳以下 22.7% 78.5% 23.0% 80.1% 23.4% 80.4%
中等高等教育卒 56.6% 83.4% 84.5%
大学専門学校以上 29.1% 30.7%
労働者 11.5% 9.6% 11.2% 9.1%
農牧漁民 32.1% 21.2% 32.0% 19.9%
幹部 27.5% 8.9% 27.1% 8.1%
非公有単位の管理者および技術専門家 25.0% 1.9% 23.1% 4.0%
学生     1.8% 29.7% 32.7%
(資料)中国共産党中央組織部発表(『人民日報』2007年7月9日報道)により21世紀中国総研事務局長 中村公省 執筆。

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