中国を読み解く本・毀誉褒貶
[2] 2004.7.12
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中国市場での販売課題と市場戦略

日本機械輸出組合発行

A5判189ページ  2004年4月刊行
 
 日本企業にとって中国はローコストの工場拠点であるだけではなく、製品販売の巨大市場として立ち現れている。生産は自らの意思の下に置けるが、販売は顧客の意思次第だから、市場風土が全く異なる中国市場攻略は困難度を増す。企業間取引の原材料や中間材はともかく、中国のマスを顧客とする最終消費財においては日本企業は苦戦を余儀なくされている。技術力と製品差別化で抜群の家電においてさえ、いまや中国製品が圧倒的シェアを占めているし、最も売れ筋の携帯電話やパソコンにおいては日本企業は見る影も無い。これはなぜか?
 本書においては、家電、AV機器、情報通信機器、工作機械、建設機械、ベアリングの中国市場における流通・販売が調査・分析・報告されているが、それぞれに異なる「困難」が指摘されており、「巨大市場」がひと筋縄ではない複雑怪奇な事情を秘めていることを痛感させられる。例えば、「中国特需」の絶頂にある建設機械では、油圧ショベルにおいてはコマツや日立建機などの独断場だが、不正ルートで中古機械が大量に輸入されているし、ホイールローダーやブルドーザーでは日本メーカーの出る幕が無い云々。各分野の市場模様は興味尽きないものがあり、中国ビジネスに関心のある方々に是非一読をお勧めしたい。
 ところが、筆者が全編の読破を滞っているうちに、神戸大学大学院の黄磷先生からの知らせがあって、本書には本筋とはかけ離れたところで、他人の著作の剽窃という破廉恥な問題を蔵していることが浮上したのである。
 下表は黄磷先生の編著『WTO加盟後の中国市場』(蒼蒼社刊)144-160ページと本書93-96ページの7箇所の酷似箇所の対照表である。これは単なる偶然的な表現の類似ではない。「第2章 中国流通・物流」は『WTO加盟後』を下敷きにした盗作と断言しうる。まるで絵に描いたような著作者人格権、著作権、出版権の侵害である。
 本書発行の法的責任者は、日本機械輸出組合宮原賢次理事長である。彼は、住友商事の取締役会長でもある。
 本書の「はじめに」を書いているところから察すると、編集責任者は、日本機械輸出組合アジア市場・機械産業対策懇談会貴田捷雄座長であろう。彼は、三洋電機の戦略ユニット担当部長である。
 本書の「はじめに」に「㈱UFJ総合研究所に委託して調査した」とあるところから推定すると、本書の執筆責任者として法的責任を免れないのは株式会社UFJ総合研究所元田充隆代表取締役である。
 筆者は、つい数カ月前、株式会社みずほ総合研究所の著作権侵害問題に直面して、調査研究員の著作権問題に対する倫理崩壊現象を体験させられたが、今度はUFJ総合研究所である。本書では中国の知的所有権問題を槍玉に挙げているが、宮原賢次理事長、貴田捷雄座長、元田充隆代表取締役、いまや他人の非をあげつらっている場合ではないですぞ。
(中村公省/21世紀中国総研事務局長)

酷似箇所対照表
「中国市場での販売課題と市場戦略」日本機械輸出組合 「WTO加盟後の中国市場」黄磷著
P93 5行目~
24行目
2-4-3-1 地域間物流の現状と問題 中国は、アメリカと日本の国土を‥‥~阻害する要因となるといえよう。 A’ P148    
3.物流インフラの整備と現状 中国は、960万k㎡という‥‥~発展してきた。
A” P154 22行目~
28行目
(2)広域物流ネットワークの問題 「第10次5カ年計画」期間中‥‥待たれるところである。
P93 31行目~
35行目
2-4-3-2 情報技術(IT)導入の現状と問題 中央・地方政府と民間による‥‥27%を占めるまでになった。 B’ P148 7行目~
14行目
(1)物流インフラへの投資中央政府と民間による‥‥-1(1)参照。
P93 36行目~
P94 4行目
情報通信に関しては‥‥などが挙げられる。 C’ P150~
P151
24行目~
P151 2行目
(2)物流インフラ整備の現状 情報通信の面では‥‥ネットワークがある。
P94 19行目~
37行目
(日系企業の市場参入)中央政府は、1985年‥‥最後行いっそう激しくなるであろう。 D’ P144~
P147
13行目~
P147 5行目
(4)日系物流企業の中国展開 1985年から‥‥競争はいっそう激しくなるであろう。
P95 27行目~
32行目
(外資系企業参入に関する問題点) 図109に見られる合意内容は、‥‥ ではないかと懸念されていることである。 E’ P108 16行目~
22行目
WTO加盟後、中国に対して‥‥問題視されている。
P96 2行目~
7行目
1.物流インフラの‥‥6.物流情報技術の‥‥。 F’ P158~
P160
4行目~
P160 5行目
C.物流インフラと物流設備の問題 第1第6までのタイトル。
P95 図108 図108大手物流企業の現地法人等の
展開 
G’ P145
表4-1日本の物流企業の中国展開


本書の当該ページ





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