番 外     中国を読み解く本・毀誉褒貶
 

『YOMIURI WEEKLY』京極理恵記者殿


拝啓 益々ご健筆のことお慶び申し上げます。
 さて、貴殿署名の「UFJ総研で盗用騒動」(YOMIURI WEEKLY 2005年2月27日号掲載)に対する我々の抗議状に対して、川人献一編集長から下記のような御返事を頂戴しました。


 「黄 リン様 中村公省様  小誌2月27日号記事「UFJ総研で盗用騒動」につき、おふた方からメールをいただきました。当該記事は、本体銀行の統合問題を控えたUFJ総研が、お粗末な盗用問題で社内の緩みを露呈してしまったこと、そして民間シンクタンクの存在意義が問われていることを伝えたものです。盗用の事実関係についてはUFJ総研の謝罪で決着をしていることから、「両者の主張」を探るということではなく、UFJ総研の盗用を前提として、微妙な時期に揺れるUFJ総研を読者に伝えたく記事にしたものです。以上、ご了解をいただければと存じます。」〔 以下省略〕


 回答に触れて感謝に堪えませんが、これでは、我々の抗議に答えたものとは言い難く、重ねて抗議状を発する所存でおります。編集長に再抗議状をしたためるに際して、つらつら考えをめぐらしたところ、編集長はご存知なく、また我々も知るよしがなく、ただ一人、貴殿だけが知っていることが記事の背後にあることに気づき、ここに貴殿に対して質問状を発する次第であります。


(1)鈴木貴元は、現在、みずほ総合研究所の主任研究員である
 UFJ総合研究所調査部研究員として、「盗用騒動」を引き起こした張本人は、貴殿の記事では「X氏(現在は別企業に勤務)」としていますが、X氏とは鈴木貴元研究員に他なりません。彼は昨年の12月まではUFJ総合研究所調査部研究員でしたが、現在は確かに「別企業に勤務」しております。勤務先は、UFJ総合研究所のライバル会社である、みずほ総合研究所であります。所属は中国部、肩書きは主任研究員です。この情報は業界裏情報というような特殊なものではなく、インターネットの検索サイトで「鈴木貴元」と入力してクリックすれば、たちどころに出てくる公開情報です。以下に私が依拠した情報源を掲げます。

◆UFJ総合研究所調査部研究員 鈴木貴元 中国ビジネスレポートNo.26 2004年12月22日
 「赤字企業が目立つ民営企業の動向」 
http://www.ufji.co.jp/publication/report/china/2004/20041222.pdf

◆みずほ総合研究所 中国部主任研究員 鈴木貴元
みずほアジアンサイト 2005年3月3日発行
「中国経済短期予測(2005年-2006年) 綱渡りに向かう中国経済」
http://www.mizuho-ri.co.jp/research/economics/pdf/asia-insight/asia-insight050303.pdf


(2)UFJ総研研究員・鈴木貴元の旧悪を嗤う、みずほ総合研究所主任研究員・鈴木貴元
 「UFJ総研で盗用騒動」の依拠しているデータは9割かた鈴木貴元に取材したものです(御望みなら証拠を示します)。逆に言えば、9割かた鈴木貴元が提供したネタで、貴殿はストーリーを組み立て、修辞を施して、「騒動」なるコラムを作文したのです。この事実と(1)で示した鈴木貴元の転職という事実を念頭において、記事の流れを読みなおしてみると、実におぞましい構図が浮かび上がります。

 UFJ総合研究所研究員・鈴木貴元の旧悪を、みずほ総合研究所主任研究員・鈴木貴元が嗤っている!
 あるいは、UFJ総合研究所の不祥事を、みずほ総合研究所の社員が告発している!

 これは、放火しておいて消防車を呼ぶ、いわゆるマッチポンプですネ。
 自分自身を公然と嗤うことの出来る神経は常人のものとは思われません。
 鈴木貴元がしでかした盗用事件を、法的係争の場で責任をとった㈱UFJ総合研究所元田充隆代表取締役や宮崎衛夫常務取締役国際本部長をはじめとするUFJ総研関係者の心中はいかばかりか、察するに余りあります。その悪行を始末してくれた恩人を、自らの旧悪で嗤うような所業は人の道に外れます。
 貴殿は、人に嫌悪をもようさせる、このおぞましい構図を承知の上で、文章道にはずれる記事を書きました。人倫にもとることを書けば、人の心をいたずらに傷つけ、寝覚めの悪いことになります。

 ここで私は、貴殿に第一の質問を発します。

◇貴殿は何故、「X氏(現在は別企業に勤務)」ではなく、「X氏(現在はみずほ総合研究所に勤務)」と書かなかったのか、あるいは書けなかったのでしょうか。

 仮に、「X氏(現在はみずほ総合研究所に勤務)」と書いたら、どうだったでしょうか。記者の書いた記事は、編集者―校閲者によって何度もチェックを受けますが、その製作過程で、「UFJ総研騒動」が、みずほ総研社員のタレコミによって書かれているという異常さが発見され、原稿は修正を受けるか没になっていたに違いありません。貴殿は、あらかじめそれを予測して、さりげなく「現在は別企業に勤務」と書いて、重大な事実を故意に隠匿し、編集者―校閲者の目を逃れたのではないでしょうか。川人献一編集長は極楽トンボで、ことここに至っても、事態の深刻さに気づかれていないようです。


(3)「起」と「結」とが相矛盾するトリック
 文章には、起承転結というものがあります。「UFJ総研で盗用騒動」において、「起」は中国経済学会における盗作発表という「相当恥ずかしい話」です。犯人は鈴木貴元に他なりません。
 「結」はこうなっています。「“盗用”した学生は、二十数ページのリポートを十数万円で請け負ったという。アルバイト感覚だったろうが、将来の研究者を目指す身としては、これまた、あまりにも軽率だった。」即ち、“盗用”した犯人は学生にすり替えられてしまっています。「起」と「結」とは、明らかに相矛盾していて、下手な手品を見せられているようです。この点については、先に編集長にこう申し上げてあります。

 鈴木貴元(及びUFJ総研)は、某学生に研究報告を書かせ、原稿を買っただけではなく、その著作者名までも買い取った、逆に某学生は金で名前を売った。某学生は著作権上の責任を彼が取るいわれはない。ワルは、UFJ総研という法人が金で買い取った研究報告を掠め取って、個人の名前で、学会報告した鈴木貴元である。

 ここで、さらに貴殿の記事の中には、盗作事件の最深部の「現場」が露呈していることを指摘しておきましょう。

 「黄磷教授の指摘を受けて照合したところ、この大学院生が担当した部分について、黄磷教授の著作から引用したと思われる部分が十か所以上見つかった。何のことはない。鈴木貴元氏が大学院生に発注する際、いくつか渡した資料の中に、当の黄磷教授の著作があり、「悪気なく」写してしまった、と説明しているとか。」

 鈴木貴元が大学院生に発注する際に黄磷教授の著作を渡したという事実は、鈴木貴元以外に知り得ていないことで、極めて重大な意味を持っています。
 盗作事件を引き起こした著作は『中国市場での販売課題と市場戦略』第二章ですが、その個所は以下のようにして作成されたのです。

 「第二章は、××大学大学院生のYH氏(経営学専攻で本年3月に卒業。【住所・電話略】)が執筆致しました。第二章は、流通と物流から構成されておりますが、流通の部分は、UFJ総研の鈴木研究員が校正致しました。後から入稿した物流の部分は、○○大学講師で□□大学大学院博士課程後期のTS氏【住所・電話略】に論理チェックと校正を依頼しました。入稿後の校正時にすべての資料と原稿を照会・確認し切れなかったため、本問題を事前に察知できていなかったことが、その後の調査で明らかとなりました。」(宮崎衛夫UFJ総合研究所常務取締役国際本部長の2004年8月16日付 私宛書簡)

 鈴木貴元は黄磷教授の著作を資料として用立てておきながら、学生が書いた原稿を「校正」して、盗作に気づかなかったようです。これは鈴木貴元のヘマです。また、その後、本になってからも気づかなかったらこそ、その盗作を使って黄磷教授の面前で学会報告をやるというドジをやらかしたのでしょう。全く滑稽な話です。ともあれ、お蔭様で、盗作の現場責任はすべて鈴木貴元にあることが推察可能になりました。


(4)貴殿は何故、鈴木貴元の盗用を弁護する必要があるのか
 さきに私は、貴殿署名の記事につき川人献一編集長に、「記者の取材が甘ければ、被取材者の謀略に乗せられる羽目になる好見本であります」と書きました。婦人モノを専門にする貴殿が慣れないスキャンダル記事に手を染めて、「ウラをとる」という取材の鉄則を放擲したと思われたからです。しかし、今回、貴殿の書いたほかの記事を参照し、あらためて考え直してみると「未熟」というのは私の間違いではなかったか、貴殿は実は「老獪」な記者ではないのか、という疑念にとらわれています。出版編集業に40年ほど携わっている私としては、そういうことは考えたくなかったのですが、いまや疑念を払拭することやみ難く、以下、第二の質問を発します。

◇貴殿と鈴木貴元とは、単なる記者―被取材者という関係ではなく、それ以上に特別に親しい関係にありはしないでしょうか。
◇ 貴殿は旧知の鈴木貴元から、「UFJ総研盗用騒動」のタレコミを受けて、ストーリーを組み立てて、情報提供の御礼に鈴木貴元の不祥事を弁護し、彼の転勤祝いに献じたのではないでしょうか。


 編集長への抗議状では、私は、取材方法の偏りにしか触れませんでしたが、ここでは目的を問うています。これは、貴殿の良心だけが知っていることです。YOMIURI WEEKLY 記者としての矜持にかけて、私の、考えたくもない疑惑を晴らしてくださることを願ってやみません。
                                                    敬具

                                             2005年3月15日
                                   ㈱蒼蒼社代表取締役 中村公省





 
『YOMIURI WEEKLY』川人献一編集長殿


  貴誌2005年2月27日号28ページ掲載「UFJ総研で盗用騒動」記事につき、一筆啓上仕候。

1.




 当該記事が取り上げているUFJ総研著作権侵害事件を告発したのは、黄磷神戸大学大学院教授(記事中で「Y教授」とされている)と私(中村公省蒼蒼社代表取締役)ですが、二人は、読売新聞社からも『YOMIURI WEEKLY』からも署名人の「本誌 京極理恵」からも、取材を受けたことはありません。即ち、訴訟事件の当事者に取材することなく、当該記事は書かれています。

2.



 読売新聞社あるいは『YOMIURI WEEKLY』あるいは「本誌 京極理恵」は、「UFJ総研研究員X氏(現在は別企業に勤務)」には取材しています。X氏とは、鈴木貴元であり、彼はUFJ総研研究員として著作権侵害を引き起こした張本人です。(その詳細は本サイトの「鈴木貴元UFJ総研研究員、中国経済学会発表の怪」に詳しく書いたので、繰り返しません。)  
3.


 犯人の言い分をだけを聞いて犯罪を報道するとは、あきれ果てた取材方法です。読売新聞社は何時から、こんなヨタ記事を書くようになったのでしょうか。貴誌が取材の基本ルールを放擲したことに対して、黄磷、中村の両名は、断固抗議いたします。
4.


























 事実は複雑です。編集長はまるきり御存知ないでしょうから、事柄を単純化して、コトの要点をかいつまんでおきましょう。
 (1)当該記事の書き出しで、犯人の鈴木貴元が登場、「本当に、びっくりしました」と言わせています。それはそうでしょう。ゴーストライターに書かせた研究報告を、自分のものとして、中国経済学会で報告したところ、コメンテーターの黄磷教授から「盗作だ」と指摘されたのですから。鈴木貴元がもくろんだ完全犯罪は思いもよらなかったことで崩れ去ったのです。
 (2)当該記事の最後に、鈴木がゴーストライターとして使った学生が登場しています。この学生にも読売新聞社あるいは『YOMIURI WEEKLY』あるいは「本誌 京極理恵」は取材していないと断言できます。なぜなら、当該著作権侵害事件で、彼の名前は完全に伏せられているからです。この最後の段落で、20数ページのレポートに10数万円金が支払われたことが明かされていますが、これはわれわれにも初耳です。ゴーストライターの研究代行請負料を知っているのは、依頼人の鈴木貴元以外にありません。
 (3)鈴木貴元(及びUFJ総研)は、某学生に研究報告を書かせ、原稿を買っただけではなく、その著作者名までも買い取ったのです。言い換えれば、鈴木貴元(及びUFJ総研)は、某学生から10数万円の金で、財産権としての著作権だけでなく、著作者人格権まで奪い取ったのです(その道のプロの編集長には釈迦に説法というものでしょうが)。逆に、某学生は金で名前を売ったのであり、著作者人格権は彼の元を離れていますから、著作権上の責任を彼が取るいわれはないでしょう。ワルは、UFJ総研という法人が金で買い取った研究報告を掠め取って、個人の名前で、学会報告した鈴木貴元と思われます。「盗作だ」と指摘されるアクシデントさえなかったら、鈴木貴元の業績は中国経済学会の権威によって高まり、彼の令名はよりいっそう轟き渡ったに違いないのです。
 (4)当該記事では、犯人はいつの間にか、被害者になっています。犯人にも自己弁護する権利はあるでしょうが、犯人の言い分をだけを聞いて記事を書けば、こういう珍奇なストーリーになるのは必定です。鈴木貴元はUFJ総研で著作権侵害事件を引き起こした後、さっさと同業他社のM総研に鞍替えしていることも重大です。当該記事は、UFJ総研を貶め、結果的にM総研に利益をもたらすに効果絶大です。記者の取材が甘ければ、被取材者の謀略に乗せられる羽目になる好見本であります。
 以上、「本誌 京極理恵」の記者としての未熟さを糾弾すると同時に、こうしたヨタ記事を採用、掲載した編集長の社会的責任を問う所以であります。
                                 上記照会得貴意候。敬具
                                       2005年3月4日
                                    ㈱蒼蒼社代表取締役 中村公省







参考文書
中国市場での販売課題と市場戦略 六論

2004.12.07

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2004.11.02

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2004.09.30

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中国市場での販売課題と市場戦略 再論

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中国市場での販売課題と市場戦略

2004.07.12