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     第37号 2013.05.12発行 by 岡田 充
    日台漁業合意は「棚上げ」の成果
包囲どころか孤立の安倍外交
 領有権争いは「棚上げ」以外に出口はない。日本と台湾が4月10日、台北で調印した漁業合意(写真 taiwan today)をみて、その思いを改めて強くした。合意は、尖閣諸島(台湾名:釣魚台)を取り囲む日本の排他的経済水域(EEZ)に共同管理水域を設け、台湾漁船の操業を認めた。その一方、尖閣諸島から半径12カイリ以内には台湾漁船が入るのを認めないことで「暗黙の合意」に達した。日本は中国、韓国とは漁業協定を結んだものの、国交のない台湾とは17年に及ぶ協議にも
かかわらず無協定状態が続いていた。この海域を「百年来の漁場」(馬英九総統)にしてきた台湾漁民にとっては、遅すぎた合意と言えるだろう。一方、普天間基地とオスプレー配備で揺れる沖縄からは、「(台湾への)譲歩の代償を沖縄が払わされた」(「琉球新報」4月11日付社説)との強い反発の声が聞こえる。ここではまず、日台合意の背景を分析しよう。合意が実現した直接の理由は、中国と台湾の連携を恐れる安倍晋三政権が、台湾に大幅譲歩した結果である。メディアは「中台分断」の成果ばかりを強調するが、合意実現の大きな背景には、良好な両岸関係があったことを忘れてはならない。安倍首相は訪米に続くロシア・中東歴訪で、相変わらず「中国包囲網」に精力を注いでいるように見える。しかし、麻生太郎副首相ら閣僚の靖国神社参拝は、政権が頼みとする米国のほか、中国、韓国から強い批判を招いている。安倍外交は、中国包囲に成功しているどころか孤立している。それが実相だ。
馬イニシアチブの具現化
 漁業合意に調印した当日は、台北で別の取材をしている最中だった。「調印は近いと聞いていたが、予想以上に早かった」。こう漏らすのは、日台関係に長く携わる台湾財界人である。「日本側は完全に官邸主導。安倍はもちろんだが、杉田和博官房副長官あたりが積極的に動いた。沖縄漁民の反対を受けて当初消極姿勢だった水産庁が姿勢転換したのは、杉田らの工作ではないか。対象になる台湾の漁場は、辺野古漁民の漁場でもあるから、(沖縄を)なだめるのは大変だったと思う」と、交渉経過を振り返りながら分析した。
 調印式の10日は、与党国民党の最高意思決定機関である中央常務委員会が開かれていた。馬英九主席はこの場で「政府は主権ではいかなる譲歩もせずに、逆に漁業権はかなり増加させた。台湾と日本の関係を新たな段階に進めることができた」(4月11日付「聯合報」)と自讃した。馬英九の支持率は依然10%台と低空飛行が続く。どちらかと言えば「緑」(野党)に近い先の財界人は「馬英九が台湾人以上に現状維持の道を探っていることが分かった。李登輝さんでも実現できなかったことを実らせたのだから」と、彼にしてはめずらしく馬に高い評価を与えた。
 馬英九は昨年8月、 尖閣の国有化問題で日中対立が深刻化する中「主権は分割できないが資源は共有できる」と、領有権争いを棚上げして対話による問題解決を目指す「東シナ海平和イニシアチブ」を提案した。さらに9月には、提案を肉付けして、海洋資源の共同開発に向けて日台、日中、中台の三種類の二者協議を進めるよう求めるのである。台湾からみれば今回の合意は、実利の獲得のみならず、馬イニシアチブ前進の第一歩でもあった。
 先の財界人が続ける。「馬は大陸との政治対話はやらないとはっきり言っている。中国は漁業合意を非難すると逆効果になる。(北京は)台湾の利益は中国の利益という考えをとっており、両岸関係が良好なことも幸いした」。「両岸関係が良好」という財界人の指摘は重要な背景である。日本の大手メディアは、それを忘れ「中台分断の成果」ばかりを強調している。ひとつだけ例を挙げよう。「産経新聞」(4月11日)の、菅義偉官房長官の合意についての発言を伝える記事である。「官房長官は10日夜、首相官邸で記者団に『歴史的な意味を有するものだ。心から歓迎申し上げたい』と語った。日本側としては、取り決め締結という『アメ』を与え、尖閣に関する中国と台湾の連携を防ぎたい思惑がある」。「アメを与え」という、台湾を見下した下品な表現の是非はここでは問わない。
 注目して欲しいのは、この原稿の見出しである。「中台分断に成功 官房長官『心から歓迎』と満足げ」。官房長官がひとことも発していない「中台分断」を主見出しにとる。記者や編集者の描いたストーリーに読者を引き込む世論誘導の小細工。「禁じ手」である。
良好な両岸関係が大背景
 「両岸関係」に話を戻そう。もし両岸関係が緊張していれば、北京が日台協議に干渉し合意に横やりを入れても不思議はない。中国は今回の合意をめぐって、台湾批判を一切控えている。だが、台湾が自らの存在をアピールし、日台関係を強化することを決して快くは思っていないはずだ。中国の洪磊副報道局長は12日の記者会見で「(合意は)中国の主権と権益に損害を与えるのではないか」との質問に「中日両国は1997年に漁業協定を締結している。日本側が関係海域で一方的な行動を取ることに反対する。日本に対し、中日共同声明で定めた原則と精神に基づき、台湾問題を処理するよう厳格に要求する」と述べた。直接の矛先は日本に向いているが、台湾への不快感も当然込められている。
 両岸の関係改善が、日台関係の進展にもプラスの作用をもたらした-。これが合意の大背景と言っていいだろう。まさに「Win・Win」である。東京と北京は「無人の孤島」を巡って不毛な対立を続けているが、北京はより戦略的な観点から、両岸の良好な関係維持に努めている。習近平は、台湾の現状維持を容認する胡錦濤の「平和発展政策」を引き継ぐ方針であり、国際政治情勢と経済情勢で大変動が起きない限り、今後10年間この政策は継続されるはずである。
 李登輝政権末期や陳水扁政権時代のように、両岸が政治対立と緊張に包まれれば、中米関係はもちろん日中関係にもマイナスの影響が及ぶ。それこそ北京は孤立してしまう。馬政権の当局者もそのことをよく承知している。良好な両岸関係は、台日関係の空間拡大にプラスの作用をもたらしたのである。馬政権にとっては大きなチャンスであった。
 そこに、日本からラブコールがかかった。昨年10月5日、当時の玄葉光一郎外相は、台湾向けメッセージを発表、日台漁業交渉の早期再開を提案してきたのである。日本の外相が台湾向けに交渉を呼び掛けるメッセージを発表したのは、1972年の断交以降初めてのことだ。当時、日本政府がいかに苦しい立場に追い込まれていたか。「(玄葉提案は)台北と北京から足元をみられたのではないか」と、拙著「尖閣諸島問題 領土ナショナリズムの魔力」(181頁)には書いたほどである。これを受け11月末、東京で第17次第1回予備会合が開かれた。日台関係筋によると、この会合では台湾側が尖閣の主権と、その領海内での操業という従来からの主張をくり返し平行線をたどったという。
台湾側に大幅譲歩
 転機が訪れたのは年明けの1月24日。台湾の保釣団体活動家の抗議船と、これを護衛する台湾海巡署の巡視船4隻が尖閣諸島周辺の接続水域に入り、海上保安庁の巡視船8隻が放水した。これに中国海洋監視船3隻も現場に近づき,日
中台の公船が初めて尖閣周辺で対峙した。先の台湾財界人は、このケースと漁業合意の経緯を次のように説明する。「日本では,馬が抗議船の出航を容認したという警戒が広がり、米国も台湾に止めるよう要求した。それで3月13日の第2回予備会合で、台湾側も合意に向け積極姿勢に転じた。そうしたら、今度は日本が譲歩に譲歩を重ねてきた。Give Giveだった」。
 これに先立ち台湾外務省は2月8日、「釣魚台の争議で中国大陸と協力しない我が国の立場」と題する声明を発表。この中で「大陸の介入により台日漁業交渉が影響を受けている」と、北京の「妨害」を指摘したのも、漁業合意へ向けた馬政権の前向きなサインだった。日台関係筋によると、第2回予備会合では台湾側は尖閣領海内での操業という従来の主張はせず、北緯27度以南での暫定海域の設定に方針を変更。日本側も台湾側の主張するEEZの「暫定執法線」を事実上認める譲歩を示した。実際に合意した協定では、「暫定執法線」より、日本側の海域に「特別協力海域」を設けるなど、日本側は大幅に譲歩した。
 合意の概要(写真 wikipedia)を列挙する。(1)台湾側が自由に操業できる海域は、台湾の面積のほぼ二倍に当たる7万4000平方キロ。このうち4530平方キロは、台湾側の「暫定執法線」より日本側の海域で、台湾側が新たに拡大した海域(2)日本漁船も操業できるが、日本の漁業監視船や巡視船など公船は入れない(3)八重山諸島の北方に設けた「特別協力海域」では、台湾漁船の操業を認めるが、日本も取り締まりの権利を放棄しない(4)日台双方は各4名からなる日台漁業委員会を少なくとも年一回開催し、漁獲枠やトラブル発生時の対応など操業ルールを決める。第1回会合は5月7日、台北で開催した。
 台湾漁業署の統計によると、この海域では2006年以来、計252隻の台湾漁船が、日本側の公船の妨害に遭い、「違法操業」の漁船には、500万円相当の罰金が科されていた。今後、この海域で操業する台湾漁船は年間延べ800隻以上で、4万トン以上の漁獲量が見込まれるという。
沖縄は安保偏重批判
 沖縄漁業者の反対の理由は(1)合意は地元の頭越しに結ばれた(2)台湾に大幅に譲歩し、好漁場を取られた(3)漁獲高減少とトラブル増への懸念―などである。尖閣の領有権に触れた論調はほとんどないことに注意すべきだろう。「琉球新報」は5月6日付けの社説で「安全保障の名の下、沖縄の漁民の不利益を一顧だにせず、また沖縄を“政治的質草”にした」と批判した。社説が特に問題にするのは、安倍首相が国会答弁で「アジアの安全保障環境の大きな前進になる」と述べ、安保に偏重した動機を突出させた点である。
 漁業問題の出発点は、日本が1996年に国連海洋法条約を批准したことに伴い、200カイリのEEZが重なる中国、韓国との間で線引きを迫られたからであった。2000年に発効した中国との新漁業協定は、尖閣諸島の北側の海域に「暫定水域」を設け、中国漁船の操業を認めてきた。今回、台湾と合意した海域のすぐ北に接続する海域である。この海域での日本のEEZは、尖閣諸島を基点にしている。日中漁業協定や08年の東シナ海ガス田開発合意も、尖閣の領有権問題を目立たせず、海洋資源を共有しようという精神に基づいていた。領有権争いの棚上げである。
 「琉球新報」が指摘するように、今回の合意の問題点は、安保を突出させ「中台分断」を図って、「中国包囲網」形成の一環にするという狙いが透けてみえることだ。そもそも「無人の孤島」をめぐる領有権争いに対し、米国を含めた第三者の関心は高くない。「中国包囲網」などという不毛で無益な政策はやめ、中国との対話と協議の糸口を真剣に模索すべきであろう。
  領土、主権は近代国際法上の排他的概念であり、正面から論じても妥協点は見いだせない。この海は近代以前から沖縄と台湾、中国大陸の漁民が漁をする共通の生活圏だった。安全保障の観点からではなく、生活者の視点からこの問題を見直せば、新しい風景が広がってみえるはずだ。琉球新報は4月11日付け社説で「(台湾側には)生活圏の海から『追い出された』との認識があるという。共存共栄できる豊かな海を目指し、今後も地元関係者の声を尊重し、問題があれば内容を柔軟に見直す姿勢で協議に臨むべきだ」と結んでいる。
ほころびる「包囲網」
 スタートから来月で半年を迎える安倍政権は、70%超の高水準を維持している。円安・株高が主たる原因だが、安倍の「躁状態」は昂じる一方。麻生太郎副総理ら3閣僚の靖国神社参拝(22日)では、中国、韓国の反発を「わが閣僚はどんな脅かしにも屈しない」(4月24日 参院予算委員会)とかわし、「憲法改正に関する中韓両国への説明は不要」(5月1日 記者懇談)とまで言い切ってみせる。本来なら、中国との対話と協議の糸口を真剣に模索すべきなのだが、もっぱら「中国包囲網」作りに傾注している。成果が上がって中国が「折れてくれる」なら話はともかく、「包囲網」はほころびが目立ってきた。もはや官邸と外務省、それに取り巻きのマスメディアの主観的願望に過ぎない。
 まず、初の日中首相会談への期待が高まった5月の韓国での日中韓3国首脳会議は延期された。「成果が上がらなければ意味がない」という中国側が、開催時期で異議と唱えたためとされる。続いて4月23日、韓国の尹炳世外相が、閣僚の靖国神社参拝に抗議して日本訪問を取りやめた。日韓関係も冷却が続く。安倍首相の歴史認識をめぐっては、4月24日付のニューヨーク・タイムズが「日本の不必要なナショナリズム」と題した社説を掲載。安倍政権が中国や韓国との間で不要な摩擦を引き起こし「敵対心を無謀にあおっているように見える」と批判した。社説は、安倍自身も靖国神社に供物を奉納したことを挙げ、中国と韓国の反発は容易に想像できたはずだと指摘。北朝鮮の核問題に日中韓が結束して対処すべき局面において取るべき行動ではないと主張した。さらに「歴史の傷を悪化させるのではなく、経済再生とアジアの指導的民主国家としての役割を強調した日本の未来像を描く作業に力を入れるべきだ」と注文を付けた。
オバマ政権が懸念表明
 批判はメディアにとどまらない。見かねたオバマ政権の国務省当局者は24日までに、在米日本大使館を通じ、安倍政権の一連の動きが周辺国との関係にもたらす悪影響について懸念を伝えた。国務省のベントレル報道部長は「公式な抗議」ではないとした上で「中国や韓国のように他国も懸念を表明している。各国間の強く建設的な関係が地域の平和と安定をもたらすことを、われわれは今後も訴えていく」と述べ、安倍政権に中韓を刺激しないよう自制を促した。
 オバマ政権の自制要請にもかかわらず、安倍の「躁状態」は止まらない。高支持率は毒薬なのだろうか。第1次安倍内閣時代には自制した「歴史修正主義」の本音が、次々と鎌首をもたげる。オバマ政権を3年余りウォッチし最近東京に戻った同僚記者が、オバマの「アジア重視戦略」について次のように解説する。
 「そもそも成長著しいアジアから経済的利益を得るのが目的で、中国と対決するのが目的ではない。不必要な摩擦を中国と起こせば、アジアから経済利益を得るという本来の目的にマイナスになる」。
 その後も安倍は、植民地支配と侵略を認めた1995年の村山富市首相談話を「安倍内閣としてそのまま継承しているというわけではない」「侵略という定義は国際的にも定まっていない」などとも発言。米紙ワシントン・ポストは26日、「侵略の定義」発言に対し、「歴史を直視していない」と強く批判する社説を掲載した。社説は、日本が韓国や中国を侵略したのは疑いのない事実だと指摘。中韓が内政上の動機から反日感情をあおることがあるとしても、それは「安倍氏が陥った自己破壊的な(歴史の)修正主義を正当化する理由にはならない」とした。さらに、戦前の帝国主義への郷愁に浸っているようでは、正当な主張である防衛予算の増額などを隣国に納得させたりすることも困難になる、と論じた。このほか英紙フィナンシャル・タイムズ(4月29日)も「天皇崇拝の国粋主義的カルトと分かち難く結び付いた靖国神社は間違った場所だ」と断じる社説を掲載したことも付け加えたい。
 冒頭に紹介した「産経新聞」は、日台の漁業合意に関する官房長官談話の記事の中で「尖閣周辺海域における日本と台湾の漁業上の実利が一致したことで、台湾との共闘を目指した中国は孤立した形だ」と書いた。欧米メディアの論調をみれば、「孤立しているのはどちら?」と首を傾げざるを得ない。
尖閣国有化に反対していた米国
 安保偏重と歴史修正主義の「安倍イズム」を支持するため、すっかり濁ったマスメディアの目のくもりを晴らすような記事を紹介したい。オバマ政権で東アジア政策を中心的に担っていたキャンベル前米国務次官補が、共同通信ワシントン支局記者のインタビュー(4月9日配信)に対し、オバマ政権は、日本政府による尖閣諸島の国有化に先立ち、中国が強く反発し危機を引き起こす恐れがあるとして、強く反対する考えを当時の野田政権に伝えていたと証言したという、ショッキングな記事である。
 読者の頭には、尖閣国有化では米国の支持があったのではないかという固定観念はないだろうか。中国の反発こそ異常で、日米同盟の強化によって、「夜郎自大」な中国を孤立させ包囲網を敷くべきだという論調が多くのマスメディアに横溢しているから、そうした認識を抱くのも無理はない。しかしオバマ政権中枢にいたキャンベルの証言は、野田前政権が、中国側も国有化を容認するとの甘い見通しを持っていただけでなく、米国の理解を得ることにも失敗していたことを示す内容である。記事の全ては掲載できないので、発言のポイントだけを紹介する。
 1, 国有化前、日本政府から相談を受け、非常に緊密に協議してきた。
 1, 日本側に国有化の方向に行かないように非常に強い忠告をした。
 1,なぜなら、日本側が(実効支配を強めるため)現状を変更しているようにみなされる可能性があるからだ。
 1, 国有化を進めれば、危機を引き起こす恐れがあると日本側に伝えた。
 1,われわれは警告したが、日本は(米国の忠告とは)異なる方向に向かう決断をした。
 1,日本は中国の支持を得たと考えたが、そうではないとの確信がわれわれにはあった。
矛盾する佐々江発言
 では、当時外務省の事務方のトップ(次官)はどのような認識だったか。昨年10月31日付けの「朝日新聞」は、佐々江賢一郎・新駐米大使のインタビュー記事を掲載した。「尖閣国有化米反対せず」という大見出しの記事の中で同氏は「米政府は、日本政府が(国有化の)可能性を探っていることを知らされていた。反対しなかった。日本が決めることがという立場だった」と述べている。
 キャンベル証言と真っ向から対立する証言。いったいどちらが本当なのか、読者の判断に委ねたい。その大使は5月1日付の米紙ワシントン・ポストに、安倍首相の歴史認識を批判した同紙社説に反論する文章を寄稿「日本政府は痛切な反省と心からのおわびの気持ち、第2次大戦の全ての犠牲者に対して哀悼の意を表明してきた」と書いている。忠僕のつらい役回り。もしキャンベル発言が正確でないとするなら、是非反論を出して欲しいものだ。
 さて、安倍倍首相に日中関係を打開する意思が本当にあるのか。第1次安倍政権時代に対中外交をになった関係者の一人に聞いた。「安倍には包括的な対中政策はない」とした上で、「安倍は中国との関係を重視しており、関係改善を考えているのは本当だと思う。ただその改善は、安倍の望む条件での改善。条件については明らかにできないが」とも付け加えた。第一次内閣時代、安倍が訪中する上で、王毅元駐日大使(現外相)と谷内正太郎元次官の連携は重要な役割を果たした。安倍も谷内に全幅の信頼を寄せていた、と関係者は証言する。その谷内は、第2次内閣に「参与」として参加したが、安倍はあまり谷内の進言を聞かないという。安倍は一体だれをブレーンに、対中政策を進めるつもりだろうか。(一部敬称略)
(了)
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