中華点点(第17回)

竹内 実
(京都大学名誉教授)

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電子礫・蒼蒼
第17号 2007.4.5   
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光華寮裁判について(その2)
  
 光華寮の裁判については、最高裁は20年にわたって棚上(たなあ)げしてきた。
それが突如、とりあげるときき、わたしは『蒼蒼(そうそう)』でとりあげた「中華点点・第16回・『蒼蒼』16号、2007.1.15」。
 最高裁がいまごろなぜとりあげるのか意外だったが、判決も意外にはやくでて、しかも明快だった。3月27日にでたのである。
 前回の原稿を執筆したとき、わたしは最高裁の意図をかんぐっていて、台湾に軍配(ぐんばい)をあげるのではないかと心配したが、「日中共同声明」がここに貫徹(かんてつ)されたわけである。
 わたしは裁判が棚上げになっていたあいだ、いろいろ考えて、光華寮は外交機関の建物に準ずるべきだと、自分なりに判断していた。戦時中、京都大学(当時は国立大学)の管理下にあったのだから、民間の施設ではなかったと考えるべきで、終戦後は京都大学からはなれたから、民間の商取引として扱うべきだろうが、しかし買ったのは民間人ではなく台湾の外交機関である。
 台湾の「特命全権大使」には当事者たる資格がないという点は、各紙ともみとめている。しかし財産権については最高裁は判断を示していない、と指摘されてもいる。
 この点は、裁判の今後の推移を見守りたいが、判決いいわたしの法廷に当事者も傍聴人もいなかったということであるから、つまり自動的に有効であるわけなのだろう。 
 
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 裁判はこれで決着したのだろうか。
 「一審京都地裁にさしもどし」ということは、また京都地裁で審理がおこなわれるようにとれる。
 当事者がいれかわったともいわれているから、原告となるべきは中華人民共和国のはずだが、「民事裁判だから」という理由で、中国外交部は論評をしていない。
 北京が、居住者に立ちのきを要求するということは考えられないから、あとは台湾側のでかたしだいということだろうか。
 「中華民国」という国号も認めたくないうごきも台湾にはあるから光華寮という財産をどうとりこむか、そもそもこのことを台湾のどのような行政機関で考慮するのだろう。
 
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  この裁判については要領よくまとめた記事が『産経新聞』3月28日付に掲載されている。読者の参考までにつぎにかかげる。
 
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『産経新聞』3月28日の記事
『産経新聞』3月28日
 
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