中華点点 メモリアル(第2回)

竹内 実
(京都大学名誉教授)

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電子礫・蒼蒼
第58号 2013.10.01
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【解題:中村公省】

 中国との関係が冷えこんでいる。
 輸入も輸出も、日本の対外貿易で首位を占めるにもかかわらず、その中国との関係が、よそよそしい。
 「政冷経熱」。
 世間には「嫌中感」がひろがっている。

 竹内実先生が、こう記した日付は2005年3月7日である。それから8年余のいま、日中関係は、とげとげしいまでの状態に陥っている。「政凍経冷」。「嫌中感」は拡大し、中国に「親しみを感じない」ものが2012年10月調査で80.6%に上っている。ちなみに8年前の2005年12月調査では同数字は異常に上昇したがなお63.4%にすぎなかった。いまや世間は「嫌中感」一色に覆われた感がある。
 
 個人としては対応の方法がない。
 ただし、突破口がないわけではない。それぞれのひとの見識と智恵が、突破口をみいだすだろうが、その一つに、歴史をふりかえるという突破口があるだろう。
 歴史はまだ終わっていない(といえるだろう)。
 歴史が自分(歴史じしん)を完結したものとして示すということはありえないから、われわれは解決困難な懸案を示されるだけかもしれない。
 しかしながら、歴史にちなむ素材には場所、いわゆる史跡、モノ、いわゆる遺品がある。歴史の旅、歴史への旅をすすめたい。
 さらには文書、文献というものがある。これを読み解くことによって、結論とまではいかなくても、結論(らしきもの)のヒント(思いつき)はえられるはずである。
 そこで、これも一つの突破口として本書を刊行する。


 本書とは
 竹内実+21世紀中国総研編『必読 日中国交文献集』(蒼蒼社2005年4月刊、471ページ)
である。なかみは、日清修好条規(1971年)から、APEC首脳会談における小泉総理-胡錦濤主席会談(2004年)までの、日本と中国の国交に関する基本的な84文献を集積し解説した資料集である。

 〈明るい未来があるよ、と叫ぼうが、困ったことになりそうだと嘆こうが、文献はしぶとく、死と蘇生をくりかえす。〉

  ものには陰と陽があり、陰と陽は交替、循環をくりかえす。ひとにも国にも波があり、高いのと低いのとが、いれかわってあらわれる。
 閉塞の状態は、いつまでもつづき不変なのではない。
 いまのような時代にこそ、しっかりと基礎を勉強しよう。


 竹内実先生は「まえがき」を、こう結ばれている。

 「政凍経冷」に状態にあって、まず検証すべき歴史は、日中国交正常化以後30年余の間に、いかなる関係があったか、無かったかである。なにより重要なのは、1972年、昭和47年の「日中国交正常化」と、1978年、昭和53年の「日中平和友好条約」の、基本文献である。「必読」文献であり、この精読なくして、眼前の日中関係を語ること勿れ。


 
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『必読 日中国交文献集』
竹内 実

 日中国交正常化 PDF891KB
 日中平和友好条約 PDF545KB



 
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