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XZの  日中メディア批評  第15号
          
.2012.08.18発行

「海上自衛隊は中国海軍に負ける」に中国軍人が異論

 元外務省国際情報局長の孫崎享氏が7月に日中両国のさまざまなメディアの取材に応じ、尖閣諸島(中国名・釣魚島)の領有権をめぐり海上自衛隊と中国海軍が衝突したら、日本側が必ず敗北するとの見方を示した。尖閣国有化運動が盛り上がっている日本側の頭を冷やすためと思われるが、中国海軍は実際にそんなに強いのか。中国軍人からは異論も出ている。

◆「無条件降伏」警告も
 孫崎氏は7月26日付の中国紙「環球時報」に掲載されたインタビューで以下のように答えた。
 環球時報 釣魚島問題をめぐって、日中間で軍事衝突が起きる可能性はあるか。
 孫崎氏 あると思う。もし日中両国に紛争を回避しようという意識がなければ、衝突はあり得る。
 環球時報 日中が釣魚島をめぐり衝突したら、どのような結果になるか。
 孫崎氏 軍事衝突が発生した場合、日本は必ず負ける。
 孫崎氏はその上で、中国の軍事力は強大だが、積極的に尖閣を奪取しようとはしないだろうと述べ、故鄧小平氏らがかつて主張した問題の棚上げが「上策」だと主張した。
 日中の軍事バランスに関しては、中国側にも似たような見解がある。在日大使館勤務の経験があり、日本専門家として知られる中国商務省研究院の唐淳風研究員は8月2日付の「環球時報」に寄稿。尖閣問題について「日本が軍事的に対抗しようとすれば、2回目の無条件降伏という結果にしかならない」と警告した。

◆日本は「海軍強国」
 一方、元中国海軍装備技術部長(少将)の鄭明氏は異なった見解を示している。7月19日の中国ニュースサイト「環球網」によると、鄭氏は次のように語った。
「中国は1980年代、経済建設を中心にして、軍隊は簡素化と忍耐を求められた。一方、日本は米国の支持の下、海洋における力量をはばかりなく発展させた。ここ数年、中国経済と総合国力が長足の発展を遂げたことから、中国海軍の装備は徐々に更新され、先進レベルに向かい始めた。しかし、まだ十分に強大になってはおらず、日本を全面的に超えられるとは言い難い」
 また、海上保安庁の巡視船についても、鄭氏は「トン数が大きく、速度が速く、機動性に優れ、よく訓練されている」とした上で、「長期にわたり、その実力はある程度、我が国(国家海洋局など)の公務船を上回っている」と評価した。
 鄭氏は8月1日付の中国紙「都市時報」の紙上でも「(中国)海軍は大きく進歩したが、世界の海軍強国と比べると、やはり大きな差がある。例えば、日本の海上自衛隊は長年、発展を重視しており、大幅に改善され先進的な兵器を持つ」と指摘。「現在、我々(中国海軍)は西側先進国に遠く及ばず、一部の周辺国にすら劣っている」と語った。中国海軍の装備専門家にとって、日本は「海軍強国」なのである。
 鄭氏が言うように、中国軍は装備面で今まさに発展途上であり、現段階での過大評価はありがた迷惑なのであろう。
  (ジャーナリストXZ)
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